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ならば、中国の原発は安全なのか

「原発大国、原発技術輸出国になるかもよ」

2011年3月30日(水)

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 東北・関東地域を襲った大地震は、津波、福島第一原発事故という2つの大災害が重なり、復旧がままならないどころか、いまだ食糧などの救援物資が行き届かない被災地もある。原発事故に関しては、当初の対応に誤りがあったのか、あるいは意図的な情報隠ぺいがあったのかよく分からないまま、状況は深刻化、悪化し、いまだ終息の見込みも見えておらず、その不安が福島県の被災地の復旧や救援の足を引っ張っているようでもある。

 そういう状況下で、中国人の友人たちが「日本の原発産業はこれからどうなると思うか」と聞いてくるので、私は個人的な考えとして「事実上、日本の原発技術はこれで第一線から退くことになるのではないか」と答えておいた。

 福島原発の事故がどういう結末を迎えるにしろ、日本人はしばらく、原発はこりごりと思うだろう。反原発の市民の声が強くなり、新規の原発建設は難しくなるだろう。日本はまがりなりにも民主主義の国なので国民の多くが「原発は嫌だ」と言えば、その声を無視することはできない。そうなると技術力も衰退してくるのではないか。

 そして半分リップサービスも含めて「その代わり中国が原発大国、原発技術輸出国になるかもよ」と言っておいた。あれほど「放射能が怖い」といって慌てて帰国する中国人が多かったのに、そう言われると意外なことに「そうかな」と、ちょっと自慢げな声色だった。

 中国人は、中国の原発を恐ろしいとは思わないのだろうか。

中国の原発は13基、全消費電力の2%あまり

 中国では今回の大震災関連報道では、福島原発の事故報道にかなりの紙幅を割いており、特に日本の原発政策、安全対策、事故の初期対応に問題があったという見方が少なくない。しかし全体的に「それでも中国の原発開発計画に変更はない」「中国は福島の原発事故の教訓を汲んで、より安全な原発を開発してゆく」といったニュアンスでまとめられている。

 日本は狭い国土でしかも地震・津波災害の頻度が非常に高い国で55基もの原発が動いている(今回の震災までは)。消費電力の78%を原発に依存するフランスでも58基。日本の25倍の面積がある米国は104基だから、国土面積で比較すれば日本はかなり原発が多い。しかも今回事故を起こした福島第一原発の技術は40年前のものだった。だから中国としては、日本の今回の事故と中国は状況が全く違う、というのが基本的な立場のようだ。

 1991年に完成した中国最初の原発・秦山原発の総設計師で「中国の原発の父」と呼ばれる中国科学院の欧陽予院士は3月22日に行った講演「世界原発発展情勢と安全要求の引き上げ」で「福島の原発事故は、第2世代原発の弱点をさらした。第3世代原発は今回の炉心融解の予防、危険の緩和について設計上の補強、補完がなされている」と説明し、第3世代原発であったらこのような事故には至らなかったとの見解を示した。

 中国で目下運営されている原発は第2世代だが、あの広い国土に13基であり、消費電力の2%あまりという規模の小ささだ。さらに数年前から改良を加えており、建設当時よりは安全性が増しているという。また今後建設される原発は第3世代、第4世代。第3世代原発である米国のAP1000型(改良型加圧水型)やABWR型(改良型沸騰水型)、欧州のEPR型(欧州加圧水型)などは、第2世代に比較してその重大事故発生率は100分の1以下で、中国で今後展開される原発はこれら安全な型の原発をモデルにした自主開発技術である、というのである。

脅威なのは、放射能より大気汚染!?

 中国がこのように原発の安全性を強く訴え、原発開発にこだわるのは切実な背景がある。中国はCO2排出量が世界1位であり、地球温暖化の責任者のように国際社会から非難されているからだ。加えて、国内でも火力発電による環境汚染の問題は深刻になってきている。

 例えば広東省の土地の70%以上に酸性雨が降っており、農産物被害などは毎年40億元に上るという。「青年参考」紙(3月25日付)は「このまま石炭火力に頼っていれば、原発事故による死者よりもずっと多くの人間を死に至らしめ、その数は数百万人単位だ」とし、中国にとって脅威なのは、放射能より大気汚染だと訴えている。

 放射能が怖いと言って帰国した広東省メディアの記者も「考えてみれば、広東の大気汚染による呼吸器疾患の方が問題かもしれない」と苦笑いしていた。中国は火力発電燃料である石炭資源の輸入国でもあり、今後の資源確保の問題にも今後直面する。

コメント14件コメント/レビュー

福島さんもツイターでつぶやいていましたが、2008年の真山仁の小説『ベイジン』作中の日本人技術顧問のセリフに「実は、大連市郊外の原発は、当初、遼東半島の西側に計画されていたんだ。それを思うと背筋が寒くなる」とあります。小説では断層を避けましたが、現実には紅河沿原発は断層の上。あと2年で正式運用です。ところが去年、ニューヨーク・タイムズがそのプロジェクトにおいて康日新という人物が予算の4分の1近くを抜き取ったことがスクープされて以来、一切報道がなくなりました。大連の紅河沿原子力発電所の問題は以下の3点。1,断層の上の原発2,汚職議員により低予算でつくった原発3,中国そもそもの原発開発の独自性、安全性への疑問(これは中国国内の幹部が一番恐れているので間違いなく問題ありでしょう)福島さんによる、紅河沿原発のその後のレポート期待しています。中国の電力事業はここ約10年、赤字を出していたり、まだ発展途上ですよね?忌野清志郎さんのサマータイムブルースにあるように「電力は余ってる」状態です。中国の原子力開発研究の独自性も、つい最近その安全性の失策を認めたところ。立ち止まるには十分すぎる時間が中国にはまだまだある。超低予算でつくってしまった紅河沿原発の問題だけは、せめて命をかけてでも今すぐスクープしていただきたいテーマです。よろしくお願いします。(2011/04/08)

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「ならば、中国の原発は安全なのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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福島さんもツイターでつぶやいていましたが、2008年の真山仁の小説『ベイジン』作中の日本人技術顧問のセリフに「実は、大連市郊外の原発は、当初、遼東半島の西側に計画されていたんだ。それを思うと背筋が寒くなる」とあります。小説では断層を避けましたが、現実には紅河沿原発は断層の上。あと2年で正式運用です。ところが去年、ニューヨーク・タイムズがそのプロジェクトにおいて康日新という人物が予算の4分の1近くを抜き取ったことがスクープされて以来、一切報道がなくなりました。大連の紅河沿原子力発電所の問題は以下の3点。1,断層の上の原発2,汚職議員により低予算でつくった原発3,中国そもそもの原発開発の独自性、安全性への疑問(これは中国国内の幹部が一番恐れているので間違いなく問題ありでしょう)福島さんによる、紅河沿原発のその後のレポート期待しています。中国の電力事業はここ約10年、赤字を出していたり、まだ発展途上ですよね?忌野清志郎さんのサマータイムブルースにあるように「電力は余ってる」状態です。中国の原子力開発研究の独自性も、つい最近その安全性の失策を認めたところ。立ち止まるには十分すぎる時間が中国にはまだまだある。超低予算でつくってしまった紅河沿原発の問題だけは、せめて命をかけてでも今すぐスクープしていただきたいテーマです。よろしくお願いします。(2011/04/08)

本当にゴシップ程度の文章ですね。中国政府も国内世論の圧力によって、すべて稼動中の原子力発電所を再点検、新規の建設について、見直しするとの発表がありました。新聞を読んでないみたいですね。(2011/04/03)

もし最近の中国政府の原子力発電所の建設に関する決定のニュースをお聞きになりましたら、中国人でも原子力発電所の安全性に対して、不安を持っているのがお分かりだと思います。本当に中国の友人がいるなら、これほど連載を書き上げている作者はもっと情報が仕入れられたんではないかと思います。ただの挨拶程度の会話だったんではないでしょうか?(2011/04/03)

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三品 和広 神戸大学教授