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アジア激甚災害の経験を踏まえた4つの重点

東日本大震災からの復興に向けて

  • 黒田 東彦

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2011年4月4日(月)

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 3月11日午後2時46分に東北地方太平洋沖で生じたマグニチュード9.0の日本史上最大の地震は、巨大な津波を引き起こし、東日本の太平洋岸一帯を襲いました。その結果、死者・行方不明者は2万8000人にのぼり、16~25兆円ともいわれる固定資産が失われました。さらに、福島第一原子力発電所の事故が深刻な被害をもたらすとともに、東北・関東地方に大幅な電力不足を引き起こし、生産の停滞を招いています。

 当分の間、人命救助、避難者対策、ライフライン確保などが最大の課題となりますが、内外の激甚災害の例から見ても、1、2カ月のうちに、建物などの残骸の撤去や仮設住宅の建設が本格化し、次いで、道路、鉄道、空港、港、電力網、通信網、病院、学校などの復旧が図られ、工場、店舗、住宅などの再建も同時並行的に行われることでしょう。

 アジアは、昔から、地震、津波、火山爆発、洪水、台風などの自然災害が多い地域であり、アジア開発銀行(ADB)も、ほとんど毎年のように、途上国の自然災害からの復興を支援してきました。そこで、このようなADBの災害復興支援の経験を踏まえ、東日本大震災からの復興に向けた道筋を考えることにしたいと思います(ADBはこうした経験を日本側とシェアする用意があり、ウェブサイトにもいろいろな資料が掲載されています)。

アジアにおける激甚災害からの復興

 アジアに自然災害が多く、しばしば多大の人命が失われることの背景には、環太平洋地震帯の存在や台風の襲来などの自然的な要因もありますが、アジアの人口密度が高く、しかも、多くの人々が海や大河のそばに住んでいることもあるといわれています。

 アジアの大半は依然として途上国であり、これらの国が災害に見舞われた際には、常にADBが他の開発パートナーとともに復興支援を行ってきました。私がADBに来てからでも、2004年末のスマトラ沖地震とインド洋津波、2005年10月のカシミール地震、2008年5月の四川地震などの激甚災害の復興支援を行っており、私自身、これらすべての被災地を訪れました。

 なかでも、北スマトラ沖で起こったマグニチュード9.1の巨大地震により生じたインド洋津波は、インドネシア、タイ、インド、スリランカ、モルディブなどを直撃し、22万人を超える死者や500万人ともいわれる被災者を記録するなど大災害をもたらしました。ADBは、「アジア津波基金」を創設して6億ドルを拠出し、贈与による支援を行うとともに、さらに貸し出しによる支援も行いました。

 インドネシアの北スマトラでは、14万人以上が亡くなり、沿岸の農漁村の道路や橋梁などのインフラ、住宅、生活手段などが壊滅的打撃を受けました。私が現地を視察したのは、被災から数カ月後で、壊れた住宅などは除去されていましたが、被害は想像を絶するものでした。ADBは、北スマトラのインフラ、住宅、生活手段などの復旧再建のため、「アジア津波基金」から3億ドル(すべて贈与)の支援を行いました。

 北スマトラの災害復興に際して起こった困難は、緊急援助や人道支援の段階から見られた内外の多くの支援の重複や欠落、あるいは相互調整の不足などでした。これに対応するため、インドネシア政府は、復興庁を設立し、役所間の調整などを図りましたが、その設立や幹部の人選に時間を要したほか、復興庁と各省との関係を明確にするのにも時間がかかってしまいました。ただ、いったん軌道に乗った後は比較的スムーズに行ったようです。

 こうしたなかで、北スマトラのインフラなどの復旧は比較的順調に進みましたが、住宅の再建はなかなか進みませんでした。その大きな理由は、政府が将来の地震や津波に耐える住宅の基準を定め、支援対象者を選定するのに長い時間を要し、住民合意の取り付けにも時間がかかったことにあります。結局、住宅の再建には5年を要したと思われ、その間、住民の多くがテントなどの仮設住宅での生活を余儀なくされました。

 カシミール地震は、山岳地帯で起こったマグニチュード7.6の地震でしたが、9万人の人命が失われ、250万人以上が被災したといわれています。私は震災の数週間後に現地を訪れましたが、破壊された住宅や公共施設が広範に広がっていました。避難家族に対する緊急支援が続くなかで、復興に向けた道筋を力強く語る地方政府幹部が印象的でもありました。

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