「中国発 経済観察報」

中国産食品、対日輸出急増のジレンマ

震災特需の商機到来も、安全性の保証に不安

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2011年4月4日(月)

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極洋中国采購記:農葯阻碍蔬菜“東渡”
 経済観察報記者 龐麗静

今週の読みどころ(ミニ解説)

 東日本大震災の影響は日本国内にとどまらず世界に広がっています。今週は、中国産食品の対日輸出急増にまつわる意外な裏話をお届けします。福島の原発事故や計画停電を受け、日本の商社や食品メーカーが中国産の野菜や常温保存可能な食材の調達を急増させる一方、中国側は“震災特需”の積極的な取り込みに慎重で、むしろ対応に苦慮しているというのです。

 背景には、2002年の中国産冷凍野菜の残留農薬問題や、2008年の「毒餃子事件」のトラウマがあります。中国産食品の安全性に対するイメージが大きく傷つき、対日輸出を手がける中国メーカーは品質管理の見直しとコスト増加を余儀なくされました。今回の震災特需に安易に乗れば、品質管理がおざなりになり、かつての二の舞になりかねないと危惧しています。

 食の安全は極めて重要ですが、日本が自ら定めた厳しい基準のため、非常時の調達に支障を来しているのは皮肉です。国内産野菜の“風評被害”の問題とも相通じる面があり、規制のあり方を抜本的にチェックし直す必要があると思います。

(岩村宏水=ジャーナリスト)

 中国産食品の対日輸出を手がけている日本の食品商社、極洋の青島駐在員事務所は今、中国南部での野菜の買い付け拡大に追われている。

 「日本の震災の影響は大きい。原発事故が起きた福島県のホウレンソウやかき菜など11種類の野菜から日本の基準値を超える放射性物質が検出されたうえ、計画停電の影響で食品メーカーの冷凍倉庫や家庭の冷蔵庫が使えなくなるかもしれない。このため中国産の野菜や常温で保存できる加工食品に、日本から注文が殺到している」。極洋青島事務所の調達担当者はそう話す。

 中国の食品業界にとっては“震災特需”の到来だ。しかし意外なことに、多くの中国企業は受注を積極的に増やすことを躊躇している。なぜなら、日本が輸入食品に課している極めて厳しい安全基準のトラウマ*があるからだ。

*2002年の中国産冷凍野菜の残留農薬問題や2008年の「毒餃子事件」の影響により、対日輸出を手がける中国の食品メーカーは品質管理と安全検査体制の抜本的見直しを迫られた。それによるコスト増加を嫌い、対日輸出から撤退したケースも少なくない。

 「一度でも検査に引っかかれば、二度と日本に輸出できなくなる。特需のチャンスをつかみたいのはやまやまだが、企業の長期的な信用をリスクにさらすわけにないかない」。ある中国企業はそう本音を漏らす。

野菜の輸出価格は25〜30%上昇

 日本から中国食品メーカーへの発注は、通常は四半期毎に行われる。中国側は受注状況を見て食材の調達計画を立て、作付けする野菜の種類や量を調節する。だが震災後は緊急オーダーが激増したうえ、中国北部の野菜産地がまだ春の出荷シーズンに入っていなかった。このため南部の産地に引き合いが集中し、輸出価格はすでに25〜30%も上昇している。「日本向けの輸出価格は今後大幅に上がる」と、極洋青島事務所は予測する。

 緊急オーダーは、現時点ではホウレンソウやかき菜が主体で、少なくとも「量」の面では十分確保できるという。だが、問題は「質」の保証だ。日本向けの野菜は、通常は事前に指定した産地で厳しい品質管理をしながら栽培している。しかし緊急オーダーに対応するには指定外の産地からも調達せざるをえない。

 「日本は中国産の輸入野菜の残留農薬を厳しく検査している。中国の国内市場に一般に流通している野菜は、残留農薬が日本の基準を超過しているものが少なくない。いくら非常時とはいえ、日本の検疫当局が検査を甘くするとは考えられない」と、極洋の担当者は気をもむ。

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中国の「経済観察報」は2001年創刊の週刊経済情報紙。発行部数は約68万部。政府系の機関紙ではなく、民間資本によって創刊・運営されている新興経済メディアの草分けの1つ。経済政策から金融、産業まで幅広くカバーするとともに、「理性、建設性」という編集方針を掲げ、センセーショナリズムを排した客観的な報道や冷静な分析に定評がある。北京を中心に、若手インテリ層の支持を集めている。

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