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台湾から義援金100億円、どう受け止めるか

最も近い民主主義国、日本にラブコール

2011年4月6日(水)

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 台湾からの義援金が官民合わせて1日までに106億円を突破した。9割以上が民間からだ。時事通信などが、そう伝えている。米国からの義援金は3月30日までで99億円。ちなみに日本赤十字社に集まった義援金総額は716億円以上。台湾の平均月収は13万円前後だ。10倍以上の格差がある社会なので、一概にはいえないが、庶民の暮らしは日本人サラリーマンよりつましい。食品など生活物価も安いので、暮らしは貧しくはないが、そんなに余裕のある社会ではない。

 エバーグリーングループの張栄発総裁が日本赤十字に10億円出し、大企業トップの出す義援金の大きさはニュースになっているが、台湾の各地で行われているチャリティー番組やチャリティーイベント、チャリティ・コンサートで集まる一般市民からの募金も大きい。なぜ、台湾人はここまで日本の大震災に心を寄せてくれるのか。この現象を台湾は親日家が多い、台湾人は心が熱い、という言葉だけで納得していいのだろうか。

日本の台湾へ支援表明は早かった

 理由としては、台湾人自身も大震災を経験していることが大きいだろう。

 1999年9月21日の台湾大地震だ。この日未明に台湾中部をマグニチュード7.6の大地震が襲い、当時、新聞記者だった私は夜が明けるのをまって現地へ取材に飛んだ。それが私にとっての初めての台湾訪問だった。

 当時の産経新聞台湾大地震取材班で、阪神・淡路大震災の取材経験があり、中国語を話せる記者は私を含めて2人いた。そのもう1人の記者はスーツケースいっぱいにミネラルウォーターの2リットル・ペットボトルを詰めて持ってきていた。東京から派遣された被災地取材経験のない記者が「あいつ馬鹿か」と言って笑っていた。

 私はその重いミネラルウォーターのスーツケースを引きずってきた記者が阪神・淡路大震災当時、阪神支局勤務で、記者であると同時に被災者であることを知っていたから笑えなかった。彼は阪神・淡路大震災なみの台湾大地震の規模を聞いて、同じような惨状を覚悟して来たのだ。震災を経験したものはその苦しみを忘れることはできない。

 だから阪神・淡路大震災から4年しか経っていなかった日本の台湾へ支援表明は早かった。その対応の素早さに対する感謝の気持ちは、その後も何度も台湾人の口から聞いた。

初動の指示を的確にできたリーダーの有無

 結果的には、台湾大地震での被災地での水や食料の心配は無用だった。被災地では、すぐに被災者自身やボランティアによる炊き出しが行われ、救援物資は都会に近い地域から続々と到着した。

 被災地の雰囲気が、私たちが覚悟していたほど悲惨でなかったのは、気候が夏の盛りを過ぎ、比較的過ごしやすい季節であったこと、震源地が台湾中部の南投県集集鎮という農山村地域で、もともと大都市のようなインフラに頼り切った生活をしていなかったため、被災者自身に過酷な環境での生活力があったことなどの要因もあるだろう。

 極寒の季節、都市を襲った阪神・淡路大震災や、高齢者の多い東北の海岸沿いに津波が押し寄せた東日本大震災とは比較できない。ただ、あえて阪神・淡路大震災、東日本大震災と比較するとしたら、初動の指示を的確にできたリーダーの有無の差はあっただろう。

 「台湾大地震救済日記」(PHP出版)にまとめられてあるが、台湾大震災当時の総統・李登輝氏は地震発生1時間後に10万の軍の出動を命じ、翌早朝には自らヘリに乗り込んで被災地に入り、現地の自治体の首長に自由に使える相当額の現金を渡して、いかように使っても自分が責任を取ると言明した。

コメント24件コメント/レビュー

台湾からの善意に対してお礼すら述べていないことに国民の一人として深く恥じ入ります。国家間としての問題はあるでしょう。中国への斟酌もあるでしょう。しかし、歴史を無視してはいけません。私の経験範囲ですが、台湾震災の時には援助しました。インフルエンザ蔓延の時には大量のマスクを調達して送りました。大型台風被害の時にも支援しました。とても多くの感謝とお礼をいただきました。阪神大震災の時、台湾からはいち早く支援を受けました。中越地震、能登地震、北海道と九州の噴火など様々に心配してもらっています。台湾は、他の近隣諸国とは異なった親身の交流が続いている国だと思います。唯一、日本の統治下にあってそれを感謝されている国が台湾であり、歴史教科書においても正しく評価されている国です。この震災で弱体化している日本に対して、中国、韓国からは政略的な動きも見え始めています。尖閣諸島や竹島問題についても絶好の機会でもありますから、当然のことでしょう。清濁合わせて賢い判断と行動を示せる毅然とした日本の姿でありたいと希求します。福島香織さま。真のジャーナリストからの常にニュートラルな情報発信が尊重され尊敬される日本社会となることを応援します。(2011/05/14)

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「台湾から義援金100億円、どう受け止めるか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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台湾からの善意に対してお礼すら述べていないことに国民の一人として深く恥じ入ります。国家間としての問題はあるでしょう。中国への斟酌もあるでしょう。しかし、歴史を無視してはいけません。私の経験範囲ですが、台湾震災の時には援助しました。インフルエンザ蔓延の時には大量のマスクを調達して送りました。大型台風被害の時にも支援しました。とても多くの感謝とお礼をいただきました。阪神大震災の時、台湾からはいち早く支援を受けました。中越地震、能登地震、北海道と九州の噴火など様々に心配してもらっています。台湾は、他の近隣諸国とは異なった親身の交流が続いている国だと思います。唯一、日本の統治下にあってそれを感謝されている国が台湾であり、歴史教科書においても正しく評価されている国です。この震災で弱体化している日本に対して、中国、韓国からは政略的な動きも見え始めています。尖閣諸島や竹島問題についても絶好の機会でもありますから、当然のことでしょう。清濁合わせて賢い判断と行動を示せる毅然とした日本の姿でありたいと希求します。福島香織さま。真のジャーナリストからの常にニュートラルな情報発信が尊重され尊敬される日本社会となることを応援します。(2011/05/14)

台湾にこれ程の善意を受けていながら、未だに日本政府は公式のお礼状すら出していないのです。これは、とあるテレビ局で知りえた情報ですが、政府の中国に対する無意味な遠慮と、何時もの弱腰政策の典型です。善意を受けたら感謝の意を表明する事は、当たり前のこと、何故台湾に冷淡でいられるのか、私には全く分からず、納得が行きません。(2011/05/12)

>国家の総力を挙げて災害を乗り切るべき時期に首相が辞任などしたら、どれだけ世界から国家としての信頼を失い日本の国益を損なうか分からないのでしょうか?それ以上に、現首相が政権にい続けることの方が、より国益を失う結果になると思っているからです。台湾をはじめ諸外国の援助には感謝の限りです。(2011/04/20)

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