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春のお彼岸「清明節」に提起された問題の数々

葬儀業界に見る中国の世相

2011年4月15日(金)

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 唐の詩人“杜牧”(803~853年)の有名な七言絶句に『清明』がある。“清明時節雨紛紛、路上行人欲断魂、借問酒家何処有、牧童遙指杏花村”これを現代語訳すると、「清明節の時期で雨がしとしと降っている。道行く旅人はうんざりして、酒が飲めるところはどこかと尋ねると、牛飼いの少年が杏の花の咲く村を指さした」となる。のどかな春の情景を彷彿(ほうふつ)とさせる名詩であるが、この詩からも分かるように、「清明」あるいは「清明節」という言葉は唐代には既に存在していたし、その起源は2500年前の周代にさかのぼる。

 1年の季節の移り変わりを示す「二十四節気」は「立春」から始まるが、「清明」はその4番目の「春分」に続くもので、本格的な春が到来して新たな息吹に満ちた清々(すがすが)しい季節、それが「清明」である。中国では毎年「清明節」の日には、先祖の墓に参り、草むしりをして墓を掃除する習慣がある。春分の時期に行われる日本のお彼岸に相当するものと考えれば良い。2011年の清明節は4月5日で、中国では4月2日を振替出勤として4月3日から5日までが連休となった。中国では毎年のように「清明節」が近づくと、中国の世相を映し出す墓や葬儀に絡んだ記事が新聞やネットで盛んに報じられるのである。

情報料は1回当たり1000元

 3月31日付の全国紙「人民日報」は、安徽省の省都、合肥市における「葬儀業界の激烈な競争がもたらす乱れた現象」と題する記事を掲載した。この記事の要点は以下の通り:

【1】2008年頃から葬儀業界の人間が病院にやってきて、病院の看護ヘルパーや清掃員に名刺を配り、患者が亡くなったことを電話で連絡してくれたら「情報料」を支払うと誘いをかけるようになった。多数の葬儀社が1カ月に何回も病院に出向いて来て、名刺を配って情報提供を呼びかける。一般的に情報料は1回当たり1000元(約1万2500円)で、情報提供者の看護ヘルパーや清掃員はこれを仲間で分配するのが普通である。

【2】葬儀業界には不文律の決まりがあり、最初に現場に駆け付けた業者がその葬儀を受け持つことになっているため競争は激しく、時間を争い、少しでも早い情報の提供を良しとする。このため、時には病人が救命処置を受けている間に誰かが葬儀社に連絡してしまい、何社もの人間が救急救命室の外で待っているという現象まで出現している。

【3】病院側は、このような病院に押しかけての「客引き」行為は、患者とその家族を当惑させるのみならず、病院の正常な医療秩序を混乱させ、各種のもめごとを引き起こすものとみなしている。しかし、合肥市民政局社会事務所の所長によれば、病院内における客引き行為を禁止するのは、民政部門だけでは実現が困難で、合肥市では「葬儀業界管理規則」を制定する準備を進めている最中で、今年の後半には公布できる見込みだという。

 日本でも葬儀業界の競争は激しいのだろうが、上述したような中国の状況は行き過ぎと言わざるを得ない。1回の情報料が1000元だとすれば、これは病院の看護ヘルパーや清掃員にとって給与1カ月分の半額に達する金額である。恐らく1カ月に稼ぐ情報料は給与額をはるかに上回ることは間違いなく、彼らにとってこれほどうま味のある仕事はほかにないだろう。葬儀業界がそれだけの情報料を支払えるというのも、中国で暴利業界の1つと数えられているからなのである。

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「春のお彼岸「清明節」に提起された問題の数々」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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