• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「中国は日本の被災を喜んでいるの?」

ネット上にあったとされる500万人署名が意味するもの

2011年4月14日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 4月7日の午前中、ある女性から「中国人は、本当は日本人をどう思っているのか?」というテーマで、面と向かって質問を頂いた。多くの示唆に富むやり取りがあったので、その内容を読者の皆さんとシェアーしたい。

「中国は日本の被災を喜んでいるの?」

 「加藤君、ずうっと聞きたいことがあったんだけどさ、2つ質問があるの。一つは、中国のインターネット上で『祝日本大地震』みたいなキャンペーンがあって、そこに500万ものユーザーが署名したらしいの。日本が震災に遭ったことを喜ぶというか、あの戦争と関連づけて「自業自得だ」みたいに主張する運動。これって、今の中国社会ではどう受け止められているの? 中国人たちはみんなそう思っているの?」

 「2つめは、今回、中国政府も救援物資や救援隊とかを送ってくれたと思うんだけど、国家の規模の割には、その額も人数も決して多くないよね? もちろん援助してくださることは日本人としてうれしいけれど、何でこんなに少ないのかなと思って、何か政治的な理由があるの?」

 明確かつ率直な質問だ。中国人と中国政府、統合されているようで相容れない、一つであるようで実はニつのアクターが、日本を、日本人をどう思っているのかを考察するうえで、またとないケーススタディーである。

 まずは一つ目の質問に答えよう。

 500万という数字がどれほどのものかを考えるために、筆者自身の経験をサンプルとして挙げたい。筆者が半年くらい前から取り組んでいる中国版ツイッター新浪』のフォロアー数は、2011年4月11日現在で42万強に達している。新浪は、中国四大ポータルサイトの一つ。筆者のサイトは新浪全体のランキングにおいて300位くらいに位置する。

 新浪のデスクに伺ったところ、筆者が1回つぶやくと、数百から時には1000以上リツイートされる。最終的に、平均800万くらいの人間に伝わるのだという。

 何が言いたいか。筆者ごときのつぶやき1本が、800万人に伝わる。それが昨今における中国のネット世論というものだ。500万なんていう数字はまるで意味がない。まして、サイトにアクセスし、一時の感情や勢いに任せてクリックするだけで署名したことになってしまうのだから、その信憑性は疑わしい。

 筆者が中国で言論活動を行ってきた経験、筆者自身が震災発生以来実施してきた聞き取りインタビュー、さらに統計によれば、『祝日本大地震』などと本気で思っている人間は1%にも満たない。そういう過激な見解は決して中国世論のメインストリームではない。むしろ、日本を支援しようという主流派の世論に反撃され、埋もれているのが現実だ。「1%もいるのか!」と反論されてしまえば筆者もなす術はないが、どこの社会にも過激分子はいる。

「中国からの支援はどうして少ないの?」

 次に二つ目の質問に答えたい。

 震災発生後、日本政府は中国政府から3000万元分(約3億7500万円分)の援助物資と15人からなる救援隊を受け入れた。不足するエネルギー面に関しては、総額1億5000万元(約19億円)に相当するガソリン1万トンとディーゼル油1万トンの提供を受けた。さらに、ミネラルウオーター6万本、ゴム手袋325万枚の計96トンの支援物資を受け取った。

 どういうプロセスを経てこうした援助内容になったのか、筆者には交渉の内幕を知る術はない。これらの援助が多いか少ないか、という判断は個々の価値観によるであろう。

 また、これらの政府間援助は外交行為である。つまり、援助をする側と受ける側の利害関係が一致し、コンセンサスが得られて初めて成立する。外交の担い手である政府が国家を代表する以上、国民の意思が当然反映される。民意からの支持が得られない外交は足腰が弱く、長続きしない。つまり、中国からの援助が多いか少ないかは、評価する人それぞれだが、中国が援助してくれたこと自体は中国国民の意思を反映している、と言える。

コメント13

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

一覧

「「中国は日本の被災を喜んでいるの?」」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師