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「電力不足先進国」中国に学べ!?

停電回避にあの手この手、日系企業かく戦えり

2011年4月14日(木)

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 東日本を巨大地震が襲ってから1カ月が経った。大津波の被害はいまだに全容がつかめないほど大きく、今も余震が続く。また、東京電力の福島第1原子力発電所の事故は一進一退の攻防が続いている。改めて思うのは、「東日本大震災」は現在進行形の大災害であるという事実だ。

 産業界にとっては、むしろこれからが正念場かもしれない。日本政府は4月8日に電力需給緊急対策本部を開催し、東京電力による計画停電(輪番停電)を原則として終了させることを決めた。また、電力需要が増える夏場に向けて、工場など大口の電力需要家(契約電力500キロワット)に対しては25%程度の削減目標を課すことになった。今後は企業や業界単位あるいは地域ごとに、電力使用量の削減計画をまとめる必要がある。

 「3・11」の前の日本であれば、電力が不足するとか不安定になるという事態はあまり想定する必要がなかった。電気は水や空気と同じように常に我々の身近に存在するものだった。家族や健康と同じように、失って初めてその「ありがたみ」に気が付いた。

電球が破裂するマンション

 そのありがたみを私が感じたのは、2009年9月に中国に赴任してからだ。先進国の日本と異なり、途上国である中国では電力の供給が安定していない。言葉では聞いていたが、実際に体験してみないとその不便さはよく理解できなかった。

 例えば私が北京で住んでいるのは、外国人向けの賃貸マンションだ。とある国有企業が運営しているマンションで、外国からやって来る大使館員などが多く住んでいる。

 外見は立派だし、国有企業が運営している物件だから問題ないだろう。そう判断して入居を決めたが、すぐに欠点が出てきた。電球が頻繁に切れてしまうのだ。交換してもその日に切れることもある。食卓の上には電球が6個付いているが、常時2~3個が切れている。入居する前に「電球の交換は無料で行います」と契約書に書かれていたので「サービスがいい」なんて暢気に喜んでいたが実態は違った。自腹で電球を交換していたら、毎月いくら電球代がかかるか見当もつかない。

記者の住むマンション(中央)。電力不足よりつらいのは大気汚染と黄砂だ。毎年一番ひどい時期は、昼間でも暗くなるほど黄砂が舞う
画像のクリックで拡大表示

 切れるだけならまだしも、スイッチを入れた瞬間に電球が破裂したことも1度や2度ではない。破片が子供の頭に落ちてきた時は我慢できずにマンション側にクレームを付けた。修理担当者は申し訳なさそうに「このマンションは電圧が安定していないんですよ」と返答した。だったら最初からそう言ってくれよと嘆いてみても後の祭りだ。

 我が家の境遇はまだましな方かもしれない。外国人用マンションなので、一般の中国人向けの物件よりも電気設備はおそらく品質が高いものを使用しているはずである。

内陸部で発電した電気を沿岸部で使う

中国政府はクリーンエネルギーとして風力発電にも力を入れている(写真は河北省の風力発電地帯)
画像のクリックで拡大表示

 経済の発展に電力供給は欠かせないため、中国政府は発電能力の増強に力を注いできた。財団法人海外電力調査会によると、1973年当時の中国の発電電力量は1670億kWh(キロワット時)だった。それが改革開放以降の経済成長に対応するため、2008年には3兆4570億kWhに達している。35年の間に約21倍にも増えた計算である。同じ期間、米国は1兆9660億kWhから4兆3440億kWh(2.2倍)、日本は4650億kWhから1兆750億kWh(2.3倍)にとどまったのとは大きな違いだ。

 これだけ速いペースで発電能力を高めても需要に追いつかない。とりわけ2000年以降、中国が「世界の工場」となってからは電力不足が更に深刻化している。エアコン向けの電力需要がピークとなる6~8月は、停電が起きるのは日常茶飯事となっている。

 問題は電力不足だけではない。いわゆる電力の「質」の悪さも企業を悩ませている。中国では電圧や電流の周波数が一定でないため、コンピューターやモーターに悪影響を与えてしまうのだ。

 電力不足をなかなか解消できない原因として、中国の地理的な要因も無視できない。中国の発電電力量に占める電源構成を見ると石炭がおよそ8割を占める。中国の石炭資源の8割近くは西部の内陸部に偏在しており、エネルギー需要の7割以上は東部の沿岸部に集中している。そのため内陸部で発電した電力を遠く離れた沿岸部にまで送らなければならず、送電中のロスはどうしても大きくなる。

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「「電力不足先進国」中国に学べ!?」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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