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公費乱用の3本柱「旅行、飲食、公用車」

インターネット告発で監視が強化されつつあるが…

2011年4月22日(金)

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 3月下旬に中国のネット掲示板に書き込まれた「視察団が我が市に来るのは視察か、公費飲食・物見遊山か」という文章が、“天涯論壇”や“猫撲貼貼論壇”などの著名なネット掲示板に転載されて、ネットユーザーの論議が大いに盛り上がった。

 この「我が市」とは広西チワン族自治区の区都・南寧市から南西に100キロメートルの地にある“崇左市(すうさし)”であり、視察団とは“XXXX聯席会議考察組(XXXX合同会議視察団)”の一行22人であった。書き込まれた内容は、崇左市訪問を予定する視察団の日程について書かれたもので、視察団が実際に訪問したわけではない。視察団受け入れ日程を組んだのは当該視察団の受け入れを担当する崇左市共産党委員会弁公室であり、書き込みを行って公費の無駄遣いを告発したのは、同弁公室が作成した視察団受け入れ日程を知る立場にあった人間と思われる。ネット掲示板に書き込まれた告発の内容を取りまとめると次の通りである:

【1】2011年3月28日から31日まで、XXXX合同会議視察団の一行22人が我が市を訪れる。視察団の受け入れに万全を期すため、受け入れ案が作成された。

【2】受け入れ案は、「随行人員」、「日程調整」、「その他事項」などで構成され、空港での出迎え、座談会の開催、食事、宿舎、市党委員会による招宴などの詳細な時間や場所が列挙されている。

【3】視察団の日程の大部分は市内観光で占められ、“友誼関”、“浦寨紅木市場”、“紅八軍記念館”、景勝地である“寧明花山”、“徳天瀑布”など、崇左市にある主要な観光地が網羅されている。

【4】視察団が崇左市に滞在する4日間に行う公務は、視察団が崇左市に到着する28日の16時から2時間の予定で崇左市行政センターにおいて開催される座談会だけであり、それ以外の日程はすべて飲食と観光で占められている。これでは公費を使って崇左市まで物見遊山に来るだけではないか。こんなことが許されてよいのだろうか。

 この書き込みを見たネットユーザーたちは、「視察の目的は飲食と物見遊山で、座談会はおまけ。でも、これは中国中のどこでも普通に行われていることで、珍しいことではない」とか、「視察を名目にした公費での飲食や旅行が暴露されるようになってきているが、これは今や一般的な傾向になりつつある」といったコメントを書き込んだ。彼らはこのような公費の浪費に対して激しく憤る反面、極めて冷静な見方を示していたのである。

国民1人が毎年800元前後を負担する計算

 上記のニュースを伝えた3月26日付の“新華網(新華ネット)”は、3月25日に当該視察団受け入れの責任者である崇左市共産党委員会弁公室主任にインタビューした結果として、同主任が「あれはあくまで日程案に過ぎず、実施もされていなければ、今後実施されることもない」と弁明した上で、「今回、日程案がネット上に流出したのは、内部の管理に問題があった」と述べたとして、同主任は公費の無駄遣い問題を内部管理の問題にすり替えたと報じている。この問題について、ある専門家は、今回の事件は崇左市のような辺境の地で起こっており、“三公消費”が中国のあらゆる地域で蔓延(はびこ)っていることの反映であると述べている。

 “三公消費”とは「公費による海外旅行や公務接待(飲食・旅行など)、公用車の乱脈購入や私用」を意味する。2008年12月12日に放映された“中央電視台(中央テレビ)”のニュース番組『新聞1+1』の中で、全国人民代表大会常務委員会弁公庁研究室の特別研究員である“王錫鋅”は、「中国の“三公消費”の支出は毎年9000億元<注1>にも上り、2008年の国家税収5兆4224億元の17%に相当する」と述べている。9000億元という金額は、中国国民が毎年1人当たり800元前後の金額を“三公消費”のために支払っていることを意味する。これだけの金額を社会福祉に充当すれば、どれほど多くの社会的弱者を救済できることだろうか。

<注1>9000億円は2008年12月当時のレートでは約11.67兆円になるが、貨幣価値で考えると日本では60~70兆円に相当する。

コメント7件コメント/レビュー

20年前に香港に3年、中国に1年駐在していたが、中国人の「鉄のお椀」の体質は変わりない。しかしインターネットのお陰で内部告発が増え、変化の動きがあるが共産党一党独裁体制では無理であろう。毎回中国関係の記事を興味を持ち読み、過去中国の老朋友とも「鉄のお椀体質」に関して意見を交わした。日本は戦後民主国家になり、奇蹟的復活をした原因は教育にあると説明し、この冗費と軍事費を教育と貧民対策に廻せば中国は世界一素晴らしい国になるはずと言った。しかし、生憎友人たちは体制側なので話会いにならないのが残念でならない。(2011/05/06)

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「公費乱用の3本柱「旅行、飲食、公用車」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

20年前に香港に3年、中国に1年駐在していたが、中国人の「鉄のお椀」の体質は変わりない。しかしインターネットのお陰で内部告発が増え、変化の動きがあるが共産党一党独裁体制では無理であろう。毎回中国関係の記事を興味を持ち読み、過去中国の老朋友とも「鉄のお椀体質」に関して意見を交わした。日本は戦後民主国家になり、奇蹟的復活をした原因は教育にあると説明し、この冗費と軍事費を教育と貧民対策に廻せば中国は世界一素晴らしい国になるはずと言った。しかし、生憎友人たちは体制側なので話会いにならないのが残念でならない。(2011/05/06)

 国民が沈黙すれば、それは暗黙の了解となります。日本でも声を上げねば、不正支持と同じ。中国での1例として、大学教師現役の娘の給与は、公務員リタイアの父親の半分以下です。こと左様に、公務員は力も金もあるのでしょう。双方、あるところに更に集まる習性がありますから。NOという声をあげるのは結局どちらの国が多いのでしょう。日本?中国?(2011/04/22)

日本とまったく同じではありませんか。違うのは選挙のあるなしだけで。(2011/04/22)

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