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サムスンをここ1年で飛躍させた「再び危機論」

最終回:リスクを味方にするコリアン・グローバル・カンパニー

2011年4月19日(火)

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 サムスングループの李健煕(イ・ゴンヒ、69歳)会長が、経営の第一線に復帰して2011年3月で1年になった。李会長は、2008年4月に不正資金疑惑で世間を騒がせたとして国民に謝罪し、会長職から退陣していた。

 しかし2年後の2010年3月には、トヨタ自動車のリコール問題などを背景にした強い危機感から会長職に復帰した。復帰するや否や、社員に向けて「今が本当の危機」だと言及した。過去にも「危機」を強調してきたが、これまでない強い語調であったことから、「再び危機論」として注目されている。

 この「再び危機論」は、サムスングループの世界27万人の社員たちの琴線にどれだけ響いたか測るすべはない。だが、実際、業績を飛躍的に伸ばした。サムスン電子の2010年業績(連結決算)は、売上高が前年比13.4%増の154兆6300億ウォン(12兆751億円)、営業利益が同58.3%増の17兆3000億ウォン(1兆3509億円)と過去最高の業績となった。年間売上高で150兆ウォン、営業利益で15兆ウォンを突破したのはこれが初めてだ。

 好調要因は、何か。世界的な景気低迷によるIT需要の鈍化やメーカー間競争の激化という厳しい経営環境の中でも、半導体と携帯電話の主力事業が高い国際競争力を維持し、市場での主導権を確保したことだ。

 サムスン電子は、今年も23兆ウォン(1兆7960億円)の設備投資を行う計画で、強気の姿勢は崩していない。また、中長期的な売上高目標も米ドル換算ベースで2010年1426億ドルから数年内に2000億ドル、2020年までに4000億ドルを達成すると意気込んでいる。資産規模でも、サムスングループの2011年4月時点では、2008年4月時点に比べて59.9%増の230兆9000億ウォン(18兆310億円)と急拡大している。

 そこで改めて韓国企業の強みであるオーナー経営者のリーダーシップについて考えてみる。特に「再び危機論」というリスクマネジメントに焦点をあてる。

 李会長が不在であった2年間と経営復帰後の1年間を比較してサムスングループ経営にどのような変化があったかを見てみる。

 最も大きな変化は、オーナー経営者でしかできない果敢な決断を行っていることだ。復帰後たった1年足らずで史上最大規模の投資を一挙に実施するのみならず、その成果を確実に上げることによって見事に未来志向型組織に飛躍させたことだ。李会長は、2010年3月24日に経営復帰して2カ月も経たない5月10日に2020年までに「新環境およびヘルスケアなど5大新成長事業」に23兆ウォン(1兆7960億円)を投じると発表したとか思えば、その1週間後には半導体とLCD事業に史上最大規模の26兆ウォン(1兆9971億円)を投じると宣言した。

 また、世界IT業界に起きたいわゆる「アップル・ショック」にも迅速に対処し、どのメーカーよりも早くスマートフォンとタブレット型パソコンを投入した。最近では、2011年2月にグローバル・ヘルスケア企業である米国クインタイルズ社と資本金3000億ウォン(230億円)規模の合弁会社を韓国仁川市に設立するなど、2020年までに2兆1000億ウォン(1612億円)を投じ、バイオ製薬産業にも本格進出する。

主人がいる会社といない会社の差

 このサムスングループの1年足らずという短期間での飛躍の要因について、サムスン電子の崔志成(チェ・ジソン、60歳)副会長は、「李会長が経営復帰後は、会社が活気に満ちている。主人がいる会社といない会社では、企業パフォーマンスに大きな違いが出るのは日本企業でも同じではないか」と述べている。

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