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対日強硬派の中国紙が“親日”特集を掲載

震災で、中国の対日世論はどう変わったのか?

2011年4月21日(木)

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 前回コラム「中国は日本の被災を望んでいるの?」において、震災に見舞われた日本に対して中国政府が援助をする際、中国国内の対日世論がどう影響しているか、当局の人間がそれをどう認識しているかを考えた。

 日本の被災を自業自得であるとして嘲笑ったりするコメントもインターネット上に見られたが、それは極めて少数であることを指摘させていただいた。500万人の中国人が、日本の被災を喜ぶかのようなネット上のイベントに署名した、という情報がある。しかし、人口比で考えれば、日本で50万人程度が署名したのと同程度の話にすぎない。一方、中国政府は、莫大な援助をすることで、国内にたまった「反日感情」が爆発しないだろうかと懸念している。

 その後、読者の皆さん、特に中国ビジネスに従事しておられる諸先輩方から「加藤さん、説明が短絡的すぎるよ。もう少し具体例を挙げて説明してくれないか。中国国内の対日世論が、今回の震災を通じてどう変わっているのか? 仕事にも大きく影響してくるんだ」とのお叱りとリクエストを頂いた。今回は、もう一つ別の具体例を挙げて、昨今の中国対日世論を掘り下げてみたい。

《環球時報》が異例の“親日”特集

 首都・北京を拠点とする全国紙、《環球時報》は、リベラリストたちから「ナショナリズムを煽ることにしか興味がない扇動派大衆紙」と揶揄されるなど、広範な批判を受ける新聞だ。本コラムでも頻繁に登場している。

 《人民日報》の傘下にある《環球時報》に関して、日本のチャイナウォッチャーからも批判の声が上がっている。尖閣諸島で事件が起きたりすると、果敢に飛びつき「日本はけしからん」という世論をリードする。毒ギョーザ事件の時は「日本側の論調には根拠がない」、東シナ海ガス田共同開発問題では「日本の一方的な主張に対して中国は絶対に引かない」というトーンの記事を、1面トップで取り上げた。

 強硬な姿勢は日本に対してだけではない。米国など他国に対しても「中国は外国の圧力には屈しない」というスタンスで国際ニュースを報道してきた。

 何しろ、発行部数が200万を超える大衆紙で、世論形成に圧倒的な影響力を誇る。日本の政府・企業・マスコミ関係者・学者を問わず、《環球時報》とどう向き合うか、どう付き合っていくかを真剣に検討すべきだ。そして、パイプを持っておくことが必要だと筆者は考える。

 そんな中国外交・世論の“問題児”である《環球時報》が「汚名返上のため」(同紙関係者)に実施した企画がある。3月16日の「国際論壇」というオピニオン面に、異例に大きく掲載した『日本に対して温かい手を差し伸べよう-100人の中国学者の提言書』という記事だ。1面トップにも見出しを載せた。

 記事を要約すると「災害で尊い生命を失われた日本の方々に深く哀悼の意を捧げたい。日中間には2000年以上にわたる交流の歴史がある。植民地戦争という不幸な歴史があったが、今では各界の関係者が一丸となって努力をしている。自然災害に対する共同作業も、日中両国にとって欠かせない努力の一部分である。2008年、四川大地震の際に日本の救援隊が示した真摯な態度には感動させられた。次は中国の救援隊が日本を助ける番だ。日本の皆さんとともに災害に挑もうではないか。中国人の仁愛を示そうではないか。強靭な日本の皆さんが、自信とパワーを持って災害に挑戦できるよう、私たち中国人にできることをしようではないか!」。

コメント22件コメント/レビュー

この記事には驚かなかったが、この記事に対するコメントがないことには大変驚いた。私は、中国人とのお付き合いは日が浅いし、人数も少ないことをお断りした上で、この記事に対しては全く違和感を抱かなかった。日本人が中国人に対して優越感を抱ける材料は「民主化」であると思うし、中国の民主化を後押しすることは間違っていないと思う。しかし、中国の民主化の過程には多大なリスクが伴うことを念頭に置く必要があると思う。「民主化、民主化」と言って中国に対する優越感を楽しむ日本人の精神構造は、南京事件当時において「本県出身の鬼軍曹○○人切りの記録」といった記事が全国各地で受け入れられていた精神構造と似通ったものだと私は認識している。中国の民主化の過程で中国が混乱すれば「それはそれで楽しめる」というレベルでしか考えることができない軽薄な日本人が民主的に行っている世論形成の先には明るい未来は存在しないであろう。今や日中韓の東亜は世界のリーダーの一角を占め、全世界に、そして人類の未来に重責を負っている。その重責を担うためには、日中ともに軽薄な人たちによる「軽薄な民主主義」ではなく、「冷静な思考、温かい心」による新たな道徳規範、新たな社会の仕組みの創造が必要だと私は思う。それは、国家の主導ではなく、多くの個人による地道な努力の積み重ねによってのみ実現できるのではないだろうか。(2011/04/26)

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「対日強硬派の中国紙が“親日”特集を掲載」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

この記事には驚かなかったが、この記事に対するコメントがないことには大変驚いた。私は、中国人とのお付き合いは日が浅いし、人数も少ないことをお断りした上で、この記事に対しては全く違和感を抱かなかった。日本人が中国人に対して優越感を抱ける材料は「民主化」であると思うし、中国の民主化を後押しすることは間違っていないと思う。しかし、中国の民主化の過程には多大なリスクが伴うことを念頭に置く必要があると思う。「民主化、民主化」と言って中国に対する優越感を楽しむ日本人の精神構造は、南京事件当時において「本県出身の鬼軍曹○○人切りの記録」といった記事が全国各地で受け入れられていた精神構造と似通ったものだと私は認識している。中国の民主化の過程で中国が混乱すれば「それはそれで楽しめる」というレベルでしか考えることができない軽薄な日本人が民主的に行っている世論形成の先には明るい未来は存在しないであろう。今や日中韓の東亜は世界のリーダーの一角を占め、全世界に、そして人類の未来に重責を負っている。その重責を担うためには、日中ともに軽薄な人たちによる「軽薄な民主主義」ではなく、「冷静な思考、温かい心」による新たな道徳規範、新たな社会の仕組みの創造が必要だと私は思う。それは、国家の主導ではなく、多くの個人による地道な努力の積み重ねによってのみ実現できるのではないだろうか。(2011/04/26)

生まれた時から延々と反日教育をしてきた国民が成人したのだから環球時報の呼びかけの反日的反応は当然です。日本の援助もすべて中国政府によるものとして日本の名は隠されてきたのですから急に日本に同情してうっかり本心で日本びいきを見せると後がこわい部分のほうが大きいでしょう。若い人たちも言葉にはとても気をつけています。英語圏で生活した経験を持つ中国人ぐらいでしょうね。開けた思想を持っている中国人は。一党独裁のおかげで経済は豊かになっても考え方は驚くほどおくれています。日本は賠償をした方が得だと10年位前にきいたことがあります。それほど進出企業も搾り取られてほうほうの態で逃げかえった悲痛な叫びが多かったのです。(2011/04/25)

「あの噂の環球時報が、一体何を企んでいるんだ?」というのが正直な感想です。敵に塩を送って懐の広さをアピールしたかったのかもしれませんが、伝え聞く報道内容とのギャップがありすぎて不気味です。(2011/04/25)

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