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「無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕はない」

2011年4月25日(月)

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 311大震災から一カ月以上が経過した。この間、世界は未曾有の大災害に見舞われた日本の行動を注視し、世界中のメディアが東日本大震災を連日のように取り上げた。当初は地震と津波の破壊力の凄まじさや、これほどの被害を受けながら、大きな混乱も起こさず秩序だった避難所暮らしを続ける被災者に対する驚嘆と尊敬の意を表す報道が目立っていた。

 しかし、福島原発事故の対処がはかどらず、放射能汚染が止まらない中、真相を迅速に伝えない東京電力の隠ぺい体質や、原発事故対処でリーダーシップを発揮できず危機管理能力の欠如した菅政権に対する批判の声が海外でも次第に強くなり、今や「世界経済における日本リスク」に対する懸念が表明されるようになった。そしてその延長線上で、外交・安全保障の専門家たちの間では、「日本なしの東アジア秩序」や「日本の抜けた新しい戦略環境」が議論され始めている。

 早急に日本政府が原発事故に関する詳細な情報や災害復興に向けた綿密な計画を打ち出し、世界に対して日本再生のためのビジョンや行程表を明らかにしない限り、日本の国際社会におけるプレゼンスは、回復不能なほど落ち込む可能性も否定できない。

「無気力なリーダーシップ」にあきれる米国

 「これでは外務省は当分、開店休業状態ですね」

 ある外務省OBが、311大震災以降日本の外交が事実上ストップした様子を表現してこう述べた。国内政治が安定した状態にないと、力強い外交など行えないのは言うまでもないが、ここまで政府、とりわけ官邸が中枢麻痺になっている状況では、とてもではないが外交どころではない。

 しかし、国際政治の世界は、日本が大震災の被害から立ち直り、復興するまで待ってくれるほど甘くはない。

 「日本は外交問題で休暇を取っている場合ではない。世界は日本が完全に回復するのを待ってくれる訳ではない。国内の復旧・復興につとめながらも、国際問題への関与を怠ってはならない。一刻も早くグローバルプレーヤーとして国際社会に復帰する努力をしなくては」

 と述べるのは、2005年まで当時のブッシュ政権でチェイニー副大統領の国家安全保障担当副補佐官を務め、現在は首都ワシントンDCでコンサルティング会社「DCインターナショナル・アドバイザリー」のプレジデントを務めるスティーブン・イェーツ氏だ。日米同盟の強化を訴える親日派の戦略家の一人である。

 イェーツ氏は、未曾有の危機に見舞われた菅政権が当初迅速に対応できず、対策が遅れたことについては、「どこの国のどんな政権でも当初はそうなる。それは仕方がない」としながらも、いつまで経っても立て直しができずに、国家全体を見据えた対応がとれない菅首相のリーダーシップのなさに失望を隠せずにいる。

 またワシントンのシンクタンク・ハドソン研究所のCEOケネス・ワインシュタイン氏も、

 「日本は、福島原発事故の問題を克服し、被災地を再建し、経済をかつてのようにしっかりとした基盤の上に立たせるため、緊急に大胆で創造的なリーダーシップを必要としている。否定したり、臆している時間はもう終わりだ。政府における創造的な解決策やビジネスの世界における企業家精神やイノベーションを後押しする力強いリーダーシップだけが、日本をグローバルリーダーとしての適切な役割へと戻すことを可能にする。もはや失敗をする余裕は残されていない。日本自身も、またその同盟国も、無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕などないのだ。とりわけ台頭する中国を前にして」

 という厳しいコメントを寄せてきた。菅政権のあまりに「無気力なリーダーシップ」に完全に愛想を尽かしている様子が手に取るように分かる。ハドソン研究所と言えば『超大国日本は必ず甦える』、『超大国日本は完全復活する』などの日本経済予言本を数々発表し、日本の未来を常に前向きに楽観的に評価してきたシンクタンクである。大変な親日派でもあるワインシュタイン氏の苦言を、われわれは真摯に受け止めるべきであろう。

 同氏のコメントの最後の「とりわけ台頭する中国を前にして」の部分は、軍備増強を進める中国を抑止するため、日米同盟の強化を推進し、日本に安全保障分野でより積極的な役割を果たして欲しいと考えてきた親日派グループの落胆の大きさを物語っている。

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「「無気力なリーダーシップをこれ以上許している余裕はない」」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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