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地震の原因は「石原都知事の核実験」?

中国で流れた大震災にまつわるデマ、風評のトンデモぶり

2011年4月27日(水)

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 「香港のネットのニュースサイトでは、東日本大震災は『スーパーフルムーン』のせいだって書いてあったわよ」と、香港在住の日本人の友人が言った。

 東日本大震災発生から8日経った3月19日は、月が19年ぶりに地球に大接近する日。その引力の関係で地震が起きたのだ、津波が大きかったのだ、といった言説が流布していたのは知っていた。しかし彼女が続けていった言葉にはのけぞった。「それで、地震の後にたくさんのUFOが出現したって。宇宙人がオバマ大統領と交信したとか。UFOの写真まで載せてあった」。

 「本当にUFOの写真?」「ううん、よくみると、ヘリコプターだった」。そう言って彼女は笑ったけれども、今回の東日本大震災にからんで、中国で流れたデマ、風評の多さには本当にびっくりしてしまう。もちろん、日本でもデマや風評は流れているが、その多さやとんでもなさは、日本の倍はいく。今回は、中国で流れた震災デマ、風評について考察したい。

日本食レストランの4分の1が倒産の危機?

 4月中旬、香港を訪れた時、あえて日本食レストランに通った。というのも、地元紙では、東日本大地震に伴った福島第一原発事故による放射能漏れの影響で、日本食レストランの客足が3割ほど落ち、香港にある600あまりの日本食レストランの4分の1が倒産の危機にあると報じられていたから、応援したい気持ちもあったのだ。

 実際に行ってみると、私と同じような考えの日本人が多いのか、結構にぎわっており、閑古鳥が鳴いているわけではなかった。しかしそれでも、隣の韓国レストランの行列の長さと比べると、通常より客足が減っているのは明らかだった。不動産価格が97年の水準を超えるほど高騰中で、なおかつ、大陸のインフレのあおりで食材などのコストが高まっている香港飲食業界で、客足が落ちている日本食レストランが生き残っていく環境は極めて厳しいだろう。

 日本食レストランに使われている食材が放射能に汚染されているという事実は全くない。典型的な風評被害と言えよう。

 2007年の香港の大陸返還10周年記念に香港を訪れた当時は、中国の食品安全問題がピークを迎えていた。香港のレストランは日本食レストランに限らず「食材はすべて日本から直輸入」「大陸産品は使っていません」といった注意書きをメニューに張るところも少なくなかった。

 だが今は「当店では日本の放射能汚染地域からの食材は使っておりません」「香港税関の安全検査を通過し、証明書が発行されています」「福島、千葉、栃木、群馬、茨城からの輸入を停止しています」といったただし書きを表に張ったり、放射能検査合格証を張り付けたりしている日本食レストランも見かけた。

歴史上の経験から学んだ自己防衛本能

 そんな風にただし書きをしているにも関わらず、やはり日本食レストランを避けてしまうのは香港人の心理的要因からだ。日本と名のつくものすべてが放射能に汚染されているかのように錯覚し、いくら「関係ない」「安全」と当事者が言っても信じられない。その行動が風評となって、さらに多くの香港人の危機感をあおる。

 香港訪問の後で北京に行くと、やはり中国人を対象にしている日本料理店は客足が減っていた。5つ星ホテルの老舗日本食レストランの日本人店長は「うちは中国人客が接待に使うケースが多かったので、売り上げは3割減。厳しいです」と言っていた。「でもうちは、もともと食材は全部中国産。日本の食材は使ってないんですよ。だから、あえていまさら日本産食材を使っていません、と張り紙するのも変ですしねぇ」

 ある39歳の日本人駐在員はこう説明した。「中国人は過去なんども危機や動乱から逃げてきた。香港はそういう人たちが集まっているところ。しかも土地は狭くて逃げ場がない。危険、安全という言葉にはすごく敏感だ。特に目に見えない汚染、感染への恐怖は強い。だから風評やデマに踊らされやすい。でも、そうやって生き延びてきた人たちなのだ」…。

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「地震の原因は「石原都知事の核実験」?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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