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大震災で目覚める“日台民間外交力”

6000人超参加「ありがとう台湾」広告に1900万円以上が集まった

2011年5月11日(水)

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 ゴールデン・ウィークに、元台湾人で今は日本国籍を取得した評論家の金美齢さんと台湾に行ってきた。

 台湾の人々は東日本大震災後に巨額の義援金(4月27日の段階で157億円相当)を贈ってくれた。お礼の気持ちを示しに、台湾旅行に行って、お金を落としてきましょうよ、と誘われたのだった。4月27日は民進党の総統候補として蔡英文主席が決定したばかりで、台湾初の女性総統候補の評判を肌で感じるにもいい機会だと思って二つ返事でご一緒することにした。

 27日から台北入りした金さんと5月2日に台北のホテルで落ち合った。しかし、そのとき金さんは少々怒りを隠せない表情でいた。何ごとかと聞くと、一部の日本の新聞を示して「これよ!」と天を仰いだ。

「応援してくれた国」パラオあって台湾なし

 金さんが見せてくれた新聞は4月24日(日)付の京都新聞。14面のジュニア版の「もっと好奇心」のコーナーで東日本大震災の被害に対して国際社会がいかに同情し、日本を応援してくれているかを、世界地図と国名をあしらった図解付きで紹介した特集記事だった。見出しには「東日本大震災 世界から『がんばれ』」「たくさんの国が応援してくれているよ」とあった。

 金さんが怒っているのは、この世界地図の中にも、記事文中にも一言も台湾に触れていなかったからだ。台湾から157億円以上の米国よりも多い最高額の義援金が贈られていることは新聞記者が知らないはずはない。

 パラオのように小さな国までもらさずに「日本を応援してくれた国」として紹介しているのだから、台湾に関する事実が書かれていないのは、明らかに不自然だ。「見出しに、『たくさんの国』という言葉を使って、台湾を無視して、台湾は国じゃない、と言いたいわけね」と金さんは怒るのである。

 確かに台湾は国際社会において正式な国家として承認されていない。しかし中国の一部の「台湾省」である、という認識もない。2007年9月7日、国連の潘基文事務総長が「台湾は中華人民共和国の一部である」と発言したことについて、米国や日本やオーストラリアらがすぐさま「不適切」と国連に申し入れた。この時、国際社会で「台湾は中国の一部ではない」ことは事実上確認された。

 一般的メディアは、この複雑な台湾の国際上の立場に配慮し、こういう国際的テーマについて総合報道するときは「国・地域」と表記し、台湾の立場をぼかすのが慣例だが、伝統的に左派的イデオロギー色が強い京都新聞はあえて、ここで「国」と書いて国際社会から台湾を外し、中国に媚びようとしたのではないか。少なくとも金さんは、そういう悪意を感じたわけだ。

 「不買運動でも起こしてやろうかしら」と言うので、「金さんみたいな人がそんなこと呼びかけたら影響力があるし、逆に営業妨害で訴えられかねないですよ」となだめた。それに金さんの意見に賛同するような保守系の人たちが、もともと京都新聞の購読者だと思えない。記事をよく見れば、フィリピンも紹介されておらず、小さな字で「おもな国をとりあげました」とただし書きもある。“エクスキューズ”はちゃんとできるようにしているのだ。

 新聞が不偏不党を掲げながらも、実際はイデオロギー色をともなう編集方針があることは周知の事実であり、私自身はそれが新聞の個性であり編集の自由権として認めてもいいと思っている。台湾問題に対する報道姿勢に偏りがあったとしても、NHKのような公共放送ならいざ知らず、一地方商業紙の場合、それを問題だと責めることは難しいだろう。

コメント10件コメント/レビュー

台湾からの義捐金は被災された現場に寄せられたものであって、それに謝意を述べる事は当然の行ないだと思います。ネット漬けの人間ではありませんので「謝謝台湾計画」の存在を知りませんでしたが、少し調べてみました。いろいろとあったのですね。折角の行動が間違って伝えられようとしたり、いかにも政治通といった方によって揶揄中傷されたりでは可哀想です。もっと素直に(真摯に誠実に)反応できないものですかね。したり顔に国際情勢を語られても困るのです。被災現場では突然の不条理を心に刻み、まだまだこれからも続く遠く長い道のりに耐えなくてはならないのです。命を繋ぐことに政治も国際情勢も二の次です。 前回の記事に対しても諸説ご意見が寄せられていましたが、聞くに値するお考えと揶揄中傷されるご意見とが混在しています。やむを得ぬ事とは思いますが、見るべき者が知るべき知識情報を正しく理解租借できるよう努めたいと思います。司馬遼太郎が死去の二年前に著した「街道をゆく第40巻・台湾紀行」を一読されることを皆さまにもお勧めします。私は海外単身赴任の際に、その地の歴史と民度の違いを知る為の教本として持参した書籍のひとつでした。(2011/05/14)

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「大震災で目覚める“日台民間外交力”」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

台湾からの義捐金は被災された現場に寄せられたものであって、それに謝意を述べる事は当然の行ないだと思います。ネット漬けの人間ではありませんので「謝謝台湾計画」の存在を知りませんでしたが、少し調べてみました。いろいろとあったのですね。折角の行動が間違って伝えられようとしたり、いかにも政治通といった方によって揶揄中傷されたりでは可哀想です。もっと素直に(真摯に誠実に)反応できないものですかね。したり顔に国際情勢を語られても困るのです。被災現場では突然の不条理を心に刻み、まだまだこれからも続く遠く長い道のりに耐えなくてはならないのです。命を繋ぐことに政治も国際情勢も二の次です。 前回の記事に対しても諸説ご意見が寄せられていましたが、聞くに値するお考えと揶揄中傷されるご意見とが混在しています。やむを得ぬ事とは思いますが、見るべき者が知るべき知識情報を正しく理解租借できるよう努めたいと思います。司馬遼太郎が死去の二年前に著した「街道をゆく第40巻・台湾紀行」を一読されることを皆さまにもお勧めします。私は海外単身赴任の際に、その地の歴史と民度の違いを知る為の教本として持参した書籍のひとつでした。(2011/05/14)

とてもいい記事だった。この記事はもっと読まれてしかるべきでしょう。あれだけの巨額の寄付を(台湾の小さな小学校でも寄付をしているのを見たときに頭が下がりました)しても冷淡に扱う日本政府。ひと昔前までは「大本営発表」を信じる人が多く、また情報を伝達すべもなかったが、若い世代を中心に大本営発表だけを信じる人が非常に少なくなってきた。彼らは自分で信じた情報を元に行動していくだろう。政府が一方的にとある国とだけ仲良くしようとしても、民間としてはもうそういう状態にはもうならないだろう。(わざわざ喧嘩することもないとは思うが)そして台湾と血の通った交流を民間のわたしたちからどんどんはじめていきたいし、私自身はこれまで以上に交流を深めようと決意した。(2011/05/12)

良い記事だと思いました。筆者の述べられている通り、京都新聞の件は止む無しと思います。「今の日本に中国の不興を買ってまで台湾の深い思いに答える外交的実力がないのも確か」なのは現政権の問題だとお考えでしょうか。素人の考えですが、是々非々との姿勢で毅然とした態度を(昔から)取らないこの国の政府に失望し続けています。(2011/05/11)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長