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ビンラディンは“タレント政治家”だった

若者の目に「ヒーロー」として映ったカッコ良さの裏側

2011年5月12日(木)

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 5月1日、米オバマ政権が国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害した。ビンラディン容疑者は米同時多発テロ事件「9・11」の首謀者とされ、米国が進めてきた「対テロ戦争」の最大の標的だった。

 反米を掲げたビンラディン容疑者は、一時はアラブ諸国などのイスラム圏で一部の若者から共感を集めたこともあった。今回のビンラディン容疑者の殺害は、民主化運動が広がるアラブ諸国にどのような影響を及ぼすのか。中東情勢に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの池内恵准教授に話を聞いた。

(聞き手は大竹剛=日経ビジネスロンドン支局)

―― そもそも「ウサマ・ビンラディン」とは何者で、アラブ諸国ではどのような存在だったのか。

 池内 ビンラディン容疑者が、アラブ諸国の大衆にどのように受け止められていたか。ビンラディン容疑者は、確かに2001年前後に人気はあった。しかし、政治指導者として支持されていたとも、宗教指導者として尊敬されていたとも言えない。ビンラディン容疑者をアラブ諸国の人がどう見ていたかを、日本人に分かるように例えると、「ヤンキー」みたいなものだと言える。

 つまり、既存の体制には反抗的だが、実は保守的で伝統的規範に過剰に適応している側面も併せ持つ。筋道立って表現できないが、言っていること一つひとつは、結構、納得がいくこともある。社会的な地位は低いが、大金持ちでカッコいい。

 つい手が出てしまって、様々なトラブルを起こすこともあるが、心は純真である、という評判も立ち、教育のない若者が心酔する対象としてはちょうどいい。ちょっと目立ったことを言ったりやったりすると、無責任な世間やメディアから称賛される。そんな存在だったのである。決して、本筋の政治指導者、宗教指導者として見られていたわけではない。

サウジで財を築いたイエメン系の移民

 もう少し具体的に分析すると、まず、ビンラディン容疑者が掲げる「反米」には深い思想性が乏しい。イスラム指導者が掲げるジハード(聖戦)論を用いて、「異教徒=米国とユダヤ」、といった単純な図式にして呼びかけたところ、中東の一般市民や、世界全体の反米意識を持つ人が勝手に共感してしまった。

 しかし、彼自身が一貫して主張してきた主要な論点は、むしろ、生まれ育ったサウジアラビアの王制に対する批判である。そして、彼が憎むサウジ王制の後ろ盾になっている米国も気に入らない。サウジの地に立ち入っている異教徒が憎いという、かなりアラビア半島のローカルな排外意識が、彼の反米思想の核心部分にとなっている。

―― 普遍的な「反米」よりも先に、まず地域的な「サウジの王制憎し」があると。

 その通り。ビンラディン容疑者の発言の全体を見ると、アラブ諸国の広範な市民が共感できるような普遍的なことはあまり言っていない。しかし、都合のいい反米論の断片だけに共感が集まり、支持されてしまったと言っていい。

 ビンラディン容疑者は、サウジの代表的なゼネコンを経営するビンラディン家の出身である。ビンラディン容疑者の父はイエメンから移民してきて、サウジ西部の都市ジェッダの荷物担ぎから始め、王族に目をかけられて建設業に乗り出した。オイルマネーで潤うサウジの開発を手広く手掛け、巨万の富を築いた。ビンラディン容疑者も何不自由ない暮らしをして育った。

 しかし、出身部族などで生まれつき身分が決まっている、サウド家の王族を頂点としたサウジの権力構造の中では、ビンラディン家はあくまでも周辺に過ぎず、「使用人」扱いだ。

コメント5件コメント/レビュー

日本はマスコミで騒がれている国だけが人権的に問題だと捉える傾向があるが、EC&北米を除き、殆どの国で人権が抑圧されているという事を改めて知るべき、マスコミで騒がれているかいないかは、その国の国民が行動しているかどうかだけ。シンガポールも同様に独裁&人権抑圧しているが、経済的豊かさが不満をそらしているだけ。つまり、経済との関係と非常にリンクしているという事に目を見開くときが着ていると思う。(2011/05/18)

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「ビンラディンは“タレント政治家”だった」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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日本はマスコミで騒がれている国だけが人権的に問題だと捉える傾向があるが、EC&北米を除き、殆どの国で人権が抑圧されているという事を改めて知るべき、マスコミで騒がれているかいないかは、その国の国民が行動しているかどうかだけ。シンガポールも同様に独裁&人権抑圧しているが、経済的豊かさが不満をそらしているだけ。つまり、経済との関係と非常にリンクしているという事に目を見開くときが着ていると思う。(2011/05/18)

 例えば,エジプトのイスラム原理主義集団「ムスリム同胞団」はエジプトの民主化を穏健に達成しようとしており.もはや反米一辺倒ではない.そうであれば,アラブ諸国の民主化は,対中,対イラン政策においても有効と米国は考えているであろう.(2011/05/17)

アラブ諸国でのガス抜きとしての「反米」は中国では「反日」ですね。(2011/05/14)

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