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生命を脅かす食品安全の「三大病症」

陰で「自分は絶対食べない」と言いながら違法食品を販売

2011年5月13日(金)

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 2011年4月20日、中国政府国務院弁公室は、「食品の違法添加行為を厳しく取り締まり、食品添加剤の監督管理を適切に強化することに関する通知」を公布した。中国では従来から食品への非食用物質の添加や食品添加剤の乱用、禁止されている薬物・物質の家畜の飼料や飲料水および水産養殖への使用が問題となっていたが、今年に入って違法な食品による中毒や摘発が増大し、国産食品に対する国民の信頼度が低下し、不満が高まり、大きな社会問題となっている。このため、中国政府は食品添加物に対する取締りの強化を明確に打ち出すことが必要となったのである。

 その翌日の21日には北京で、父親が路傍の屋台で買ったフライド・チキンを帰宅後に1歳半の娘に食べさせたところ、娘が30分後にチアノーゼ症状を発し、病院に運ばれてから1時間後に死亡する事件が発生した。調査の結果、フライド・チキンに過剰に添加された亜硝酸塩による中毒死であることが判明した。亜硝酸塩は肉類の発色剤や防腐剤としてごく少量の使用が許されている食品添加物であるが、その乱用や外見と味が似ている食塩との誤用による中毒はたびたび発生している。

公表している非合法添加物は151種類

 一方、国営通信社「新華社」は4月23日付のニュースで、国務院「食品安全委委員会弁公室」から得た情報として、食品の違法添加行為を厳しく取り締まるために、衛生部や農業部などが今までに公表している非合法添加物は151種類に及んでいると報じた。151種類の内訳は、(1)食品に添加されている非食用物質:47種類、(2)乱用されている食品添加物:22種類、(3)家畜の飼料や飲料水、水産養殖への使用が禁止されている薬物・物質:82種類となっている。ところが、衛生部が公表している(1)の47種と(2)の22種類のリストを見ると、その検出方法が明記されているのは、(1)が22種類、(2)が10種類に過ぎず、残りの37種類は検出方法が確立されていないのが現状である。

 4月27日付の英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の中国語ネットは、中国で続発する危険な食品に関する記事の中で、中国の大手ポータルサイト“新浪網(Sina.com)”のミニブログにハンドルネーム“瘋傳”が書き込んだ風刺に富んだ文章を引用して、常に危険な食品に取り囲まれている中国人の生活を示した。引用文の訳文は以下の通り:

 「朝は下水から作った再生食用油で揚げた“油条(中国式揚げパン)”を買い、発がん性の色素スーダンレッドで赤く染めた塩卵とメラミン入りの牛乳を飲む。食べ終わったら、品質不良でリコールとなった“錦湖”タイヤを履いた車に乗って出勤。昼には禁止薬品の“痩肉精(赤身エキス)”を使って飼育された豚肉と農薬をたっぷり使って栽培されたニラの炒め物、もう一皿は“注胶牛肉”<注1>と人造卵のあんかけ、それにパラフィンワックスで再生した米のご飯。“香精(香料)”でごまかした偽物の高級茶を一服。退勤したら家までの道すがら、避妊薬で成育を促した養殖魚、尿素を使って促成栽培したもやし、膨張剤を使って育てたトマト、食用石膏の代わりに安価な工業用石膏を使った豆腐<注2>を買い、家に帰ったら漂白剤と色素のレモンイエローを加えた“饅頭(マントウ:中国式蒸しパン)を食べる・・・」

<注1>食品添加物で脂の代用となるカラギーナンに血液と水を混ぜたものを注入して重量を増大させた違法な牛肉
<注2>豆腐の凝固剤として石膏を使うことは違法ではないが、安価で混ぜ物の多い工業用石膏を使ってコストを節約して製造した違法な豆腐

 上記の文章で取り上げられた危険な食品をまとめると次のようになるが、これらは全て中国国内で実際に作られ、販売されている違法食品である:

【1】 下水から作った再生食用油(本リポート2006年12月15日付『え!中国では下水溝から食用油が作られる?』、2010年3月30日付『下水から作る「再生食用油」を根絶せよ!』参照)、【2】スーダンレッドで赤く染めた塩卵(本リポート2007年4月8日付『危ない中国食品(その4)』参照)、【3】“痩肉精”で飼育された豚肉(本リポート2011年4月1日付『薬品漬け「健美豚」の恐ろしい副作用』参照)、【4】食品添加物と血液・水を注入した“注胶牛肉”、【5】食品添加物と化学薬品で製造された人造卵、【6】古米をパラフィンワックスで再生した米のご飯、【7】“香精”使用の偽高級茶、【8】避妊薬で成育を促進させた養殖魚、【9】尿素で成長を速めたもやし、【10】膨張剤を使って育てたトマト、【11】工業用石膏を使った豆腐、【12】漂白剤と色素入りの染色マントウ

 これだけまとまると驚き以外の何物でもないが、これらは中国の危険な食品の一例に過ぎない。4月だけでも中国国内で報じられた違法な食品添加物に起因する事件は枚挙にいとまがないが、その代表例は以下の通り:

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「生命を脅かす食品安全の「三大病症」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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