米空軍が衛星打ち上げ事業で競争入札を拡大

打ち上げのコスト競争が激化へ

  • Bloomberg Businessweek

Brendan McGarry(Bloomberg News記者)
Tony Capaccio(Bloomberg News記者)

米国時間2011年5月5日更新「 The Air Force Kicks Off a New Space Race

 米防衛大手ロッキード・マーチン(LMT)と米航空機大手ボーイング(BA)が2006年に合弁会社を設立した後、米国の軍事偵察衛星の打ち上げ事業は、この合弁会社の独占状態が続いていた。だが、米議会から是正を求める声が上がり、米空軍は現在、衛星打ち上げ市場の競争促進に乗り出している。

 軍事衛星の打ち上げは巨大なビジネスだ。空軍は2012~16年度に「改良型使い捨てロケット(EELV)」による中・大型衛星打ち上げに99億ドル(約8000億円)を投じる計画だ。1年前に発表した計画より54%増で、予算を35億ドル(約2800億円)上積みしている。

 エリン・コナトン米空軍次官はインタビューで「衛星の打ち上げ費用が増加傾向にあり、抑制する必要性を感じている。今後1年間に経費の伸びを抑え込むことを目標の一つに掲げている」と語る。

 空軍は米航空宇宙局(NASA)と、偵察衛星の運営を担当する米国家偵察局(NRO)と連携し、この分野に新たな企業が参入できるよう、入札認可基準の整備に取り組んでいる。これが進めば、米スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX、カリフォルニア州ホーソーン)や米オービタル・サイエンシズ(ORB、バージニア州ダレス)などの新興企業が参入できる可能性が開ける。NASAのスペースシャトル事業が縮小される中、米オバマ政権は、国際宇宙ステーション(ISS)などに宇宙飛行士や機材を運搬する手段として、民間活力を利用することに積極的だ。

ULAの創設はコスト減を実現していない?

 米国防総省は衛星打ち上げの費用を抑えるため、ロッキードとボーイングによる合弁会社ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の創設を後押しした。同省は次世代商用ロケット開発に助成金も拠出した。米メディア・情報サービス大手ブルームバーグの調査によれば、次世代ロケット事業で2006年度以降、ボーイングは少なくとも20億ドル(約1600億円)、ロッキードは少なくとも35億ドル(約2800億円)の契約を獲得した。

 これに対し、防衛・航空宇宙産業を専門とする米市場調査・コンサルティング会社ティール・グルーブ(本社:バージニア州フェアファックス)の上級宇宙産業アナリスト、マルコ・カセレス氏は「ULAの設立が、民間のビジネスを十分に鼓舞したとは言えない。1回当たりの打ち上げ費用は目標額の1億5000万~1億7000万ドル(約120億~140億円)に収まっていない。使用するロケットの種類によって違うが、打ち上げ費用は1回当たり2億4000万~2億7000万ドル(約190億~220億円)に上昇している」と分析する。

 一方、ULAの広報担当クリス・チャベス氏は電子メールで「空軍とULAは、打ち上げ費用を削減するための策を数多く見いだしている」と主張している。

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