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ソニーはハッカーを敵に回したのか?

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2011年5月20日(金)

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Michael Riley(Bloomberg News記者)
Ashlee Vance(Bloomberg Businessweekテクノロジーライター)

米国時間2011年5月12日更新「 Sony: The Company That Kicked the Hornet's Nest

 インターネットの世界には、「ストライサンド効果」と呼ばれる現象がある。個人や企業が特定の情報を封じ込めようとすると、かえってその情報が拡散してしまう現象だ。この名称は、米著名歌手バーブラ・ストライサンド氏が、2003年にネット上に掲載された米カリフォルニア州の高級住宅街マリブの自宅写真の削除を求めて裁判を起こした騒動に由来する。この提訴の結果、より多くの人が、写真を掲載したサイトに殺到した。

 今後、サイバーセキュリティーの世界で、こうした“やぶ蛇”効果は「ソニー効果」と呼ばれるようになるかもしれない。日本を代表する大企業ソニー(SNE)は4月、据え置き型ゲーム機「PlayStation」用のオンラインサービス「PlayStation Network(PSN)」や米子会社ソニー・オンラインエンタテインメントのネットワークに対して、ハッカー攻撃による被害を受けた。

 同社のゲームや映画、音楽のサービスを利用する顧客は約1億人に上る。ソニーへのハッカー攻撃は、クレジットカード情報を含む顧客情報が流出した事件としては、米国史上2番目に大規模なものとなった。ソニーはオンラインサービスの無期限停止を余儀なくされた(本誌注:5月12日時点)。被害は、金銭的な損害とPlayStationブランドの信用失墜の両面に及んだ。被害の全体像が明らかになるには、数カ月もしくは数年かかるかもしれない。

著名ハッカーのホッツ氏と法廷闘争を展開

 今回の件は、図らずも、ソニーが自ら招いた可能性がある。ほかのIT(情報技術)企業がハッカーと協力してでもセキュリティー対策に取り組んでいるのに対し、ソニーは訴訟や刑事告訴などの強硬手段でハッカーと対峙してきた。セキュリティー問題の専門家らは、ソニーはサーバーの重要な領域を適切に保護するどころか、監視すら怠り、車に鍵を挿しっぱなしにするに等しい失態を演じた可能性があると指摘する。

 米インディアナ州パデュー大学のユージーン・H・スパフォード教授(電算機科学)は、米議会が5月4日に開催したソニーの情報流出問題に関する公聴会で、「ソニーは、全く危険性を検証せずにネットワークを運営していたように見受けられる」と証言した。

 ハッカー集団がソニーのネットワークを標的にする引き金となったのは、ソニーが今年初め、「GeoHot」の通称で知られるハッカー、ジョージ・ホッツ氏(21歳)に対して強硬姿勢を取ったことかもしれない。ホッツ氏は17歳の時に、米アップル(AAPL)のセキュリティー防御の網をかいくぐって、同社の初代iPhoneのアンロック(SIMロックの不正解除)に成功し、iPhoneをどの携帯通信事業者でも使用できるようにした。これにより同氏はハッカーの世界で一躍注目の的になった。

 ホッツ氏は2010年、ソニーの据え置き型ゲーム機「PlayStation 3(PS3)」のセキュリティーを破り、個人が作った自作ソフトや承認されていないソフトを動作させる方法を発見した。同氏がこの改造方法を自らのブログで公開したため、ソニーは情報削除を求めて同氏を訴えた。

 米連邦地方裁判所は1月28日、ソニーの請求を認め、ホッツ氏や仲間のハッカーに対して情報掲載差し止めと、コンピューター端末などの提出を命じた。また3月には、米ツイッターや米決済サービス大手ペイパルから同氏のアカウント情報をソニーが取得することを認める決定を下した。

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