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米国に見捨てられる――新たな危機に直面する日本

  • 川上 高司

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2011年5月27日(金)

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地震、津波、原発事故--3つの打撃が日本を同時に襲った。そんな日本に対して世界中が同情が寄せた。多額の義援金が寄せられただけではない。被災者の捜索要員や原発の技術者など、専門家を派遣してくれた国もある。

しかし、我々は、これを喜ぶだけでよいのだろうか?

世界の国々が寄せてくれた「友情」に、日本は真摯に応えているだろうか? 放射能汚染水を海に流したことに対して、中国と韓国は当惑している。さらに、国際政治は「友情」だけで動いているわけではない。好意の背景には「国益」を維持・増大させるための冷徹な計算もある。“借り”はいつかは返さなければならない。

この連載では、米・中・韓・ロの主要国を対象に、東日本大震災が何をもたらし、日本との関係がどう変わるのか、について専門家の分析を紹介する。

初回は川上高司 拓殖大学海外事情研究所教授に、日米関係を分析してもらう。

 東日本大震災は日米関係に大きな変化をもたらす可能性が大きい。被災者支援のため米国は「トモダチ作戦」を展開し、日本を全面的にサポートした。日本は米国に“お礼”をする必要がある。具体的には普天間飛行場移転問題を解決することだ。“お礼”が十分でない場合、米国は韓国重視、さらには中国への接近へと舵を切るかもしれない。

依然として抜けない普天間飛行場移転問題というトゲ

 日米関係は、民主党の鳩山政権下できわめて悪化したが、震災前は、それが改善方向に向かいつつあった。連続して起きた安全保障上の事件――北朝鮮による韓国の天安号沈没事件(2010年3月)と延坪島砲撃事件(同9月)で朝鮮半島における緊張が高まった。これに尖閣諸島中国衝突事件(2010年9月)が続いた--に共同で対処する過程で、日米間の連携は緊密化した。両国は、対北朝鮮のみならず、対中戦略においても、日米同盟が抑止力としてきわめて重要であることを再認識した。

 前原誠司外務大臣(当時)は日米関係を修復し、普天間飛行場の移転問題を解決すべく動いた。同外相は2011年1月に訪米し、クリントン国務長官と日米同盟の深化について合意した。次いでゲーツ国防長官が訪日した際に「2010年5月の日米合意に沿って(普天間飛行場の移転を)実施する」と明言した。次の焦点は、2011年春に開催する予定の外務・防衛担当相による日米安全保障協議委員会(2プラス2)とそれに続く総理訪米までに、沖縄問題をどう進めるかがであった。

 しかしながら、日米両政府の方針とは裏腹に、沖縄の納得は得られていなかった。東日本大震災前、米国の専門家の大半は「普天間飛行場の辺野古への移転はもはや不可能である(Futenma is dead!)」と判断していた。米議会は米政府に対して「もし普天間飛行場の辺野古への移転に関して何も進展がない場合には、グアムへの移転費用は認められない(もしくは大幅に削減する)」という最後通牒を突きつけていた。

 このため米政府の政策担当者は、15年間にわたる交渉沖縄に関する特別行動委員会(The Special Action Committee on Okinawa、SACO)及び「防衛政策見直し協議」(Defense Policy Review Initiative、DPRI)の末にようやく合意した普天間基地の移転が実施できるかどうか、瀬戸際まで追い詰められていた。

 一方、日本の実務者には「2プラス2」の開催について3つの選択肢があった。1)「現行の移転案を履行する」と日米両政府が確認する、2)普天間問題を棚上げにして他の問題を協議する、3)仕切り直しをして他の移転先を再協議する。実務者たちは「沖縄側が最終的に普天間基地の辺野古への移転を受け入れる」という「仮説」の下に1)を選択し、「2プラス2」を開催するのが合理的であると判断した。もし、それで普天間飛行場移転問題が動かねば、「自然死」もやむを得ないと考えていたのであろう。

 普天間基地移転問題と2プラス2の開催時期に関する議論が進む中、日米の中核的な交渉プレイヤーが相次いで交代した。現行移転案推進派の旗頭であった前原外相と米国務省のメア日本部長がともにスキャンダルで辞任した。前原氏は外国人献金問題で外相を辞任。メア部長は沖縄県民に対する不適切発言で更迭された。

 ある米政権高官は「鳩山首相が退陣し菅首相となり、脱線していた日米関係は線路に戻ったが、先に進んでいない」と漏らしていた。

米軍は「トモダチ作戦」を開始し、日本を献身的に支援

 3月11日午後2時50分ごろ、日本の三陸沖でマグネチュード9、震度7という日本国内最大規模の地震が起こった。この地震で岩手県、宮城県、福島県を中心とする三陸沿岸部に大津波が押し寄せ(津波高最大38メートル)、延べ約400平方キロに甚大な被害が出た。

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