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温家宝首相はどのような政治環境の中で被災地を訪れたのか

中国の“対日観”と温家宝が唱える“政治体制改革”

2011年5月26日(木)

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 5月21~22日、中国の温家宝首相が日中韓サミットのため訪日した。同首相が希望していた通り、21日には日韓の首脳とともに被災地を訪れた。しかし中国の中央電視台(中央テレビ局、CCTV)は同首相の被災地訪問をあまり大きくは扱わなかった。

 21日お昼のニュース「新聞30分」ではほんの数秒間報道しただけだったし、夜7時からのニュース「新聞聯播」でもわずか2分ほどだった。1番目のニュース「パキスタンとの国交60周年記念に祝電」が3分強、2番目のニュース「全国人民代表大会常務委員長・呉邦国がナミビア共和国を友好訪問」が約5分間。この後に、ようやく3番目として、国務院総理(国家首相)温家宝の訪日を報道した。

 22日のお昼のニュース「新聞30分」はこのニュースを全く取り上げなかった。夜7時の「新聞聯播」はさすがに7分強を割いたが、放映の順番は3番目だった。やはり「呉邦国とナミビア」報道(5分強)の後でしかなかった。一国の首相の訪日なのだから、トップニュースになるかと思ってしまうが、そうではないのである。

 これはいったい何を意味しているのだろうか。
 もちろん中国共産党における温家宝の党内序列が第3位で呉邦国は第2位だという理由はあるだろう。しかし、前回から考察してきた日本の被災に関する中国メディアの微妙な変化の中に何かがあると筆者は感じていた。それが何であるのかを知るため、私は親しくしている中国政府高官に被災後の日本をどう見ているのかを聞いてみた。

 「あくまでも個人的感想だ」と前置きしつつ彼が語った答は、これまで考えたこともないものだった。

 「原発事故に関する日本政府の情報公開は、実に不透明だ。そのような状況にありながらも、この度の災害に関して、世界各国同様、中国もまた日本への救援に燃え、救援隊や救援物資あるいは救援金などを送り非常に積極的に支援をしてきた。しかし日本政府は『救援物資は自分で運べ』と高飛車な態度だった。2008年の四川大地震の際、世界からもたらされた救援物資を中国は自分で輸送した。受け手が運ぶのが世界の常識だろう。義援金だって、いまだに被災者に届いてないと聞く」

 「何よりも疑問に思うのは、中国の国家主席や総理が日本に対して哀悼の意を表し、多くの中国の国民が救援に燃えている時に、なぜ日本はこともあろうに、『中国安全保障レポート』などを発表したのか。しかもその報告書には『中国が軍事力を強化しているので、日本政府は警戒レベルを高めなければならない』という趣旨のことが書いてある。おまけに、『日中両国間に“不測の事態”が発生する可能性』があるとさえ予言しているのだ。もし日本がこのたびの震災を受けてないときなら、まあ勝手に言っていればいいと捉えることもできる。しかし、中国政府が誠実に救援に向かって努力している時に、この報告書を出すというのは、いかなる目的か。日本政府は根本的にこういう誠意のないことをやる政府なのか、それとも現政権の能力と配慮のなさの所以(ゆえん)なのか。これは必ず中国の民衆の反感と誤解を呼び起こすだろう」

 どちらかと言えば日本に対して友情のような感覚を持っている彼にしては、珍しく語調が強かった。

 確かに『中国安全保障レポート』なるものを、日本の防衛省防衛研究所が2011年4月6日に発表している。そんなニュースが日本で報道されていたように思う。しかし私はそのころ個人的にひどく忙しい時期にあり、中国側の情報をチェックするのを怠っていた。

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「温家宝首相はどのような政治環境の中で被災地を訪れたのか」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授