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先進国と途上国、中国が持つ2つの顔

【第2回】河合正弘・アジア開発銀行研究所長

  • 川村 雄介

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2011年6月13日(月)

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 アジア太平洋「三人行」の第2回目は、アジア開発銀行研究所(ADBI)の河合正弘所長においでいただいた。河合氏は、東京大学教授、世界銀行東アジア地域チーフエコノミスト、財務省副財務官という要職を歴任されて現在はアジア全域にわたるシンクタンクのリーダーとして活躍されている。

 まずは、河合氏と中国との関わりについてお聞きした。

アジア開発銀行研究所(ADBI)の河合正弘所長

 「大学生時代の1960年代後半は、文化大革命が起きていました。私自身も毛沢東の思想や中国に興味を持ちました。第2外国語として中国語を選択し、毛沢東語録を読み込み、中国の歌や京劇を学んだものです。次に中国と関わりを持った大きな機会は、1980年代後半か1990年前後に北京の人民大学で講演したことです。その後、1998年から世界銀行で中国を含め東アジア全域の担当となり、中国の政策担当者や研究者と交流する機会を持ちました」

 「財務省へ出向中には、上司が現アジア開発銀行(ADB)総裁の黒田東彦氏であり、当時のデフレ下における人民元切上げの必要性に関する論文を共に執筆しました。当時の中国は外貨準備の蓄積を始めていたが、この先もこの状況は続かないため人民元を切り上げていかないといけない、ということを書きました。2005年にADBに移り、2007年からはADBIに在籍する中で中国との関わりがより深まっています」

 すぐに薛軍氏がホットな話題を取り上げた。
「人民元切上げについてどうお考えですか」。

 「中国では、円高は日本のバブル崩壊の原因だったという議論があり、人民元切上げ反対論が広まりました。しかし、実際は1985年のプラザ合意による影響なども教訓とすべきです」

メコン川流域経済圏という枠組みを提唱

 さて、アジア開発銀行のミッションは、アジア域内の発展途上国に対して経済発展に必要な融資を行うと共に、知見を提供することにある。ADBIは、アジア諸国が長期的かつ持続的に経済成長を続け、人々の生活の質を高めるためには何が必要か、を研究する機関だ。

 「主に3つのミッションがあります。1つ目は社会包摂的かつ、環境面で持続可能な経済成長の実現、2つ目は域内の経済統合と協調の促進、そして3つ目が政策の枠組みを高めるためのガバナンス改革です。現在の研究分野は主に4つあります。1つ目が温暖化への対応と緑のアジアの実現、2つ目が域内諸国の相互依存関係の促進、世界と調和した発展のあり方、3つ目がアジアの観点からみた国際金融・通貨システムの改革、そして最近追加されたものですが、日本で起きた地震、津波、原発問題からの教訓についてです」

 ADBIの国際関係のスタッフは15人である。

 「ADBIの強みは外部の様々なシンクタンクとの協業にあります。ADBIのスタッフはプロジェクトのデザインや運営を統括し、外部の研究機関と協力することで少人数ながら多くのプロジェクトを実現しています。アジア各国のシニアレベルの政策担当者に対する能力構築や研修を提供していることも強みです」

 「我々が何かやるときには中国社会科学院をはじめ、アセアン諸国のシンクタンクから人員を集めて様々なプロジェクトに取り組んでもらっています」

 薛軍氏が尋ねた。
「ADBが初めにメコン川流域経済圏という枠組みを提唱しましたが、ADBとして今後メコン諸国の協力をどのように進めていくのでしょうか」

 「メコン川流域開発はADBのみが取り組んでも機能しない。重要なことは、各国が自分たちの問題であるととらえ、自発的に参加することです。国を跨ぐインフラ開発プロジェクトにおいては、各国で影響力のあるシンクタンクを巻き込んで議論を戦わせ、自分の国に課題を持ち帰り各国の政策担当者、一般の方に更に広めてもらうことが重要です」

持続的な発展をするための条件

 ところで、中国が対外的に先進国と発展途上国という2つの顔を使い分けていることについては、どう理解すべきなのだろうか。

 「中国には先進国的側面と途上国的側面の両方が混在しています。また、産業面でも技術面でも非常に能力が高まってきています。そうした中で、対外的には2つの顔を使い分けているのが実情です。世界における中国のプレゼンスは高まっており、中国自身の持続的な発展をするためには、欧米諸国との軋轢を縮小させ、国際的なルールを守り、国際公共財の提供が重要になります」

 中国政府は、第12次5カ年計画によって、これまでの経済成長の最大化から、持続的な成長に向けた構造転換へ進もうとしている。この路線転換は評価できるものなのか。

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