• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「ゴミをあさる行動が企業に価値をもたらす」

節約がカネを生む――スバル米工場の例

  • Bloomberg Businessweek

バックナンバー

2011年6月13日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

Roben Farzad(Bloomberg Businessweek、ウォール街・国際金融担当シニアライター)
米国時間2011年6月2日更新「 Subaru of Indiana, America's Scrappiest Carmaker

 富士重工業(スバル)の米子会社スバル・オブ・インディアナ・オートモーティブ(SIA)の工場は、米インディアナ州の農業地帯にある。面積340万平方フィート(約31万6000平方メートル)の巨大工場は大規模なコンポスト施設を有し、周囲には832エーカー(約340万平方メートル)の森林が広がる。そこは、茶褐色のハゼトウモロコシ畑や大豆畑に囲まれている。古びた納屋、さびたサイロなどが存在し、コヨーテがうろつくような一帯である。だが、工場内を実際に見ると、米国内でも屈指の優れた生産施設になっている理由が分かる。

 SIAの設立から22年。その間に景気後退3回、世界的な金融危機1回、大手自動車メーカーの相次ぐ倒産、SIAに共同出資で設立していたいすゞ自動車の米事業撤退があった。

 SIAは従業員をレイオフしたことが一度もない。レイオフをしないどころか、操業開始以来、従業員の賃金を毎年引き上げている。従業員はさらに、恵まれた待遇――充実した医療保険や多額の時間外勤務手当(2010年は1人当たり平均1万5000ドル=約120万円)、有給ボランティア休暇、家計相談サービス、働きながら地元インディアナ州パデュー大学の学位を取得する機会――を享受している。この10年間、同州では自動車業界で4万6000人の雇用が失われ、複数の工場が閉鎖されている。こうした環境において、驚くべき実績だ。

 さらに驚きなのが、SIAがこうした偉業を達成した手法だ。SIAは徹底して無駄を排除することで、これらを成し遂げた。米インディアナ州バルパライゾ大学のディーン・シュローダー教授(経営学)はSIAについて研究し「こうした取り組みは単にリサイクルやマーケティング効果を狙ったものではない。収益改善や経費削減に重点を置いた取り組みで、それが職場の安全性や品質の向上にも結び付いている」と指摘している。

リサイクルや焼却処分を徹底し年に530万ドルを節約

 トヨタ自動車は、節約を重視し、常に改良策を積み重ねる「改善活動」を世界に広めた。これに対してSIAは、環境重視の改善活動に取り組んでいると言ってよい。SIAは2002年から、埋め立て廃棄物を出さない自動車工場の実現を目指す5カ年目標を導入している。これは米国内で初の試みだ。

 目標実現に向けて、廃棄物の98%をリサイクルやコンポスト処理で有効利用している。業者が、敷地内の廃物――紙やプラスチック、ガラス、金属――を買い取る。リサイクル処理などが不可能な残り2%の廃物は、工場近くの焼却施設で燃やし、発電に役立てる。できた電気は電力会社に売却している。開始から2年で目覚ましい成果が出ている。

 SIAのトム・イースターデイ執行副社長は、歩きながらこう語った。「環境を守り無駄をなくす“緑の配当”がすぐに目に見える形で表れている。梱包を減らし、供給元との取引条件を改善し、節約の成果を皆で享受している」。彼が通る道には、製品を運搬するために地球4周分の距離を移動してきた黄ばんだ大量の発泡スチロール容器があった。

 SIAにある多くの箱やコンテナに書かれた文字からは、こうした箱やコンテナが日本とインディアナ州を何度も行き来したことが読み取れる。イースターデイ執行副社長は、ゴルフカートで工場内を案内しながら溶接工の横を通った。溶接の際にアスファルトの床に落ちる金属くずを回収する。価格が高騰している銅は競売にかけている。

 同執行副社長によれば、SIAは2010年、リサイクルやコンポスト処理、焼却処分を徹底して約530万ドル(約4億3000万円)を節約したという。バルパライゾ大のシュローダー教授の推計では、スバルは埋め立て廃棄物を出さないようにする取り組みによって、従業員のケガや疲労を減らし、530万ドルの数倍ものコスト削減効果を得ているという。

 同教授はSIAが溶接の質を確かめるため、破壊検査をやめたことを引き合いに出す。旧来の破壊検査では、金属ゴミが出て、削岩機で従業員がケガをする恐れがあった。超音波技術に切り替えることで、はるかに有効で迅速、低コストの検査が可能になった。

コメント0

「Bloomberg Businessweek」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員