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中国暴利ナンバーワン、高速道路会社

地方政府にとって、有料道路は「カネのなる木」

2011年6月17日(金)

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 中国の週刊誌『中国経済週刊』の2008年8月6日号が報じた統計によれば、世界中にある有料道路の総延長は約14万キロメートルで、そのうち70%に相当する10万キロメートルが中国にあるのだという。現時点における中国の有料道路の総延長が何キロメートルかというデータは見つからないが、2011年3月に中国政府“交通運輸部”のスポークスマン“何建中”は記者会見の席上で、「有料道路の中には規定の基準に合致していないものがあり、改善が必要で、国内の自動車道路に占める無料道路の割合を96%にする」と述べた。ということは、有料道路は全体の4%を占めることになる。

 中国の自動車道路の総延長を400万キロメートルであるとすると、有料道路はその4%の16万キロメートルである。2008年時点で既に10万キロメートルの有料道路があったので、これを差し引くと、有料道路はさらに6万キロメートル増やすことが可能ということになる。これでは有料道路を減らす改善どころか、さらに増やして「改悪」する余地が出てきてしまう。何建中が述べた「改善が必要」という言葉は意味のない絵空事ではあるまいか。

地図上に表示されない料金所が多数存在

 ところで、その中国の有料道路に料金所はいくつあるのか。2008年11月19日に著名な掲示板サイト“天涯社区”に書き込まれたハンドルネーム「XUIC」氏の「中国に有料道路の料金所はいくつあるか」という文章によれば、データが見当たらない海南省を除く全国の30省・自治区・直轄市にある料金所の総数は8万4864カ所とある。この数字は同氏がグーグルマップで「有料道路料金所」を検索するという独自の方法により各省・自治区・直轄市ごとの料金所の数を集計したものだそうだ。ただ、地図上に表示されない高速道路以外の料金所も多数存在するので、実際の数字はこれを遥かに上回るものと思われる。

 さて、中国国務院が公布した“収費公路管理条例(有料道路管理条例)”には、「非閉鎖型有料道路の同一幹線上では、隣接する料金所の距離は50キロメートルを下回ってはならない」と明確に規定されているが、これは建前に過ぎず、もっと近接して設置されている料金所が多いのが実態である。極端な例では、湖南省の長沙から星沙までの20キロメートルの距離に何と16もの料金所があり、そのうちの隣接する2つの料金所はわずか500メートルしか離れていないという。

 筆者も、田舎の有料道路を自動車で走っていると、ある料金所で通行料を払ってから5分も走らないうちに次の料金所、その先には橋を渡るための料金所、橋を渡り終えたらまたもや料金所というような経験がたびたびある。そうした道路は県や郷・鎮といった地元の政府が建設したもので、その建設費を回収するために許可を取って設置された料金所なのだ。当然ながら地元の自動車は通行料が免除されていることが多い。

各種通行料が運送原価の3分の1

 中国の有料道路は「融資で建設、通行料徴収で返済」方式で建設されるのが一般的だが、融資を完済した時点で通行料の徴収は止めて通行自由の無料道路にするのが建前である。ところが、地方政府にとって有料道路は便利で容易な“揺銭樹(カネのなる木)”であり、融資を受けた建設資金の完済後も適当な理由を付けて上部機関の承認を取得し、有料道路として通行料の徴収を継続するのが通例である。

 北京市内と北京空港を結ぶ「北京空港高速道路」は12億元を投資して1993年に開通したが、2005年までに32億元の通行料を稼ぎ出した。同高速道路の通行料徴収期限は2027年であり、それまでには累計で100億元の通行料収入が見込まれている。また、北京市と河北省の石家荘市を結ぶ高速道路は当初認可された通行料の徴収期限を満了したが、新たに30年間の徴収許可を取得した。これによって93億元の収入が見込まれる。建設時の融資額の実に16倍に相当する額である。

 香港中文大学教授で著名な経済学者である“朗咸平”によれば、米国の高速道路の通行料が平均で1キロメートル当たり0.17元(約2.1円)なのに対して、中国のそれは0.45元(約5.6円)と高い。広東省に至っては、0.6元(約7.5円)に達しているという。平均値で米国の3倍も高い通行料は、当然のことながら高速道路を含む有料道路を使うトラックの運輸コストを上昇させる。この点について、中国政府「国家発展・改革委員会」経済貿易司副司長の“耿書海”は、中国では有料の道路や橋梁の各種通行料が輸送業者の原価に占める割合は3分の1にまで達していると述べている。

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「中国暴利ナンバーワン、高速道路会社」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師