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大規模な歳出削減を断行する英キャメロン首相の苦悩

歳出を削減すれば、雇用が失われる、

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2011年6月23日(木)

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Jennifer Ryan(Bloomberg News記者)
米国時間2011年6月9日更新「As Cameron Wields the Ax, Britain Cringes

 英オブザーバー紙が6月5日、52人のエコノミストが共同執筆した、デビッド・キャメロン首相とジョージ・オズボーン財務相宛ての手紙を掲載した。両氏が進める、厳しい歳出削減プランの見直しを求める内容だ。その手紙は「最近の経済指標は、政府が緊急に財政政策を変更する必要があることを示している」と訴えている。

 その後、めったにない朗報がキャメロン首相に届いた。国際通貨基金(IMF)が、キャメロン、オズボーン両氏に信念を貫くよう強く促す報告書を発表したのだ。報告書は「より持続可能性の高い予算を実現するには、果断な財政再建が依然として欠かせない」と述べていた。

 保守党と自由民主党の連立政権が、第2次世界大戦後以降、最大規模の歳出削減を推進するにつれ、その政策の是非を巡る議論が過熱している。政府は今後4年にわたり、年間800億ポンド(1300億ドル、約10兆円)の歳出削減と、年間300億ポンド(約3.9兆円)の増税を目指している。歳出削減を開始した2010年、状況はさほど深刻ではなかった。各省庁が効率を見直すことで60億ポンド(約7800億円)の歳出削減に成功し、レイオフはほとんど行わなかった。

4年間に31万人の公務員が職を失う

 だが2011年に入り、厳しい財政政策に伴う痛みがひしひしと感じられるようになった。英国民は売上税――税率が17.5%から20%に引き上げられた――に危機感を抱いている。英国家統計局(ONS)によると、この税率引き上げでインフレ率は0.75ポイント上昇し、現在4.5%に達している。4月以降、公務員の給与を2年間凍結する。2015年までに31万人の公務員を解雇する予定。そのうち約2万人分はこの年末までに実施する。福祉予算も削減する。例えば子供手当は3年間凍結する。

 キャメロン首相の歳出削減計画は、人々の心理に大きな影響を及ぼしている。計画が徐々に明らかになるにつれ、ロンドンの北163マイル(約262キロメートル)にあるマンチェスター市で広報担当官を務めるサリー・ウィートマン氏(45歳)は「この後どれくらい今の職に留まれるか分からない」と考えた。

 そこで彼女は4月に希望退職に応じ、受けとった一時金でPR会社を始めた。表向き、彼女は将来を楽観視していると言うが、大きな買い物をする際には「じっくり」考える。周囲でも、「時間をかけて慎重に」考えて買い物する人をよく目にするという。ウィートマン氏は「トンネルの向こうに光が見えるという感じがしない。予算削減策がいかに厳しいものかを実感するようになって、状況の変化に気づいた」と言う。

 既に250万人の英国人が職を失っている。3月まで、失業率は22カ月間連続で7.6%を超え続けている。労働市場が悪化する可能性は、消費者に重くのしかかっている。食料品から自動車保険まであらゆるものが値上がりし、人々の収入を圧迫している。

 英国の給与振込の90%を処理しているボーカリンクによると、5月まで3カ月間の賃金上昇率は年率換算にして1.8%。インフレ率上昇分の半分にも届いていない。消費者信頼感指数を調査しているGfK NOPのマネジングディレクター、ニック・ムーン氏は「収入の増加が、インフレ率の上昇に追いついていないことに人々は不安を感じている。このため、衝動買いをしなくなっている」と指摘する。

 消費者が財布の紐を締め続けると、力強い景気回復の芽はなくなる。財務省の債務抑制に必要な税収が得られなくなる可能性がある。既に英国経済は2四半期連続で停滞している。IMFは4月の時点では1.7%としていた英国の今年の成長予測を、1.5%に引き下げた。ポンド安は製造業の輸出を助けても、消費者の支出を活性化する役には立たない。

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