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途上国で“汚職の海”を泳ぐ

「ODA悪玉論」の真相、源流はこうして作られた

  • 荒木 光弥

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2011年6月27日(月)

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 コインに表と裏があるように、ODAにも表の顔と裏の顔がある。今回はその裏の顔にスポットを当ててみたい。裏の顔とは言うまでもなくODAのダーティーな部分を指している。それは「役に立っていない」とか「無駄遣い」といった領域の話ではなく、汚職、賄賂(コラプション)という犯罪領域のことである。

 ODA「悪玉論」は、そうした裏の顔に焦点を当てている。ところが、ODA分野で働く人たちは途上国のために貢献しなければという自意識が強いために、ODAのダーティーな部分を語ろうとしない。

 しかし、ODAは国民の税金、また国民の資産とも言うべき財政投融資資金や証券投資などに依存しているからには、ダーティーな部分の情報を公開しないと、ODAの説明責任と透明性が失われる。

 それでは、3年前の事件から話を始めよう。

一企業ベースの賄賂犯罪“小さな悪玉”

 2008年5月13日、ODA事業で半世紀近い歴史をもつ老舗の開発コンサルタント会社(PCI)が閉店廃業を決めた。会社側によるとその理由を、ベトナムのODA事業での贈賄が露見し、社長初め多くの幹部が東京地検特捜部に逮捕されたため、ODAに対する「国民の信頼を失った」ことへの謝罪であると述べていた。

 廃業で何百人という専門家たちが路頭に迷った。それほどODA犯罪を重く受け止めているのである。それは“国民の税金”を使って援助事業しているという意識が強いからであろう。この仕事は国内の公共事業と同じだが、税金で仕事をしているという意識はODAのほうが強いかもしれない。だから、その意識が高じると自らを美化し、汚いものにフタをするようにODAの陰の部分を語らなくなる。

 筆者は一企業ベースの賄賂犯罪を“小さな悪玉”と呼んでいる。これからも小さな悪玉事件が起こらないとは断言できない。人間に欲望がある限り、賄賂の誘惑に負ける人間も企業も出てこよう。ただ、企業ベースの小さな悪玉は法律で制するだけでなく、一種の社会的圧力で犯罪を予防することもできる。

 ある大手商社の首脳はこう語っている。「コンプライアンス(法の遵守)のことを思うと、途上国の、まさに“汚職の海”を泳ぎながら仕事をしなければならないODA事業は厳しく監視しなければならない。もし、途上国の支店から出てきたプロジェクトに汚職の臭いがあればすぐさま調査し、ケースによってはキャンセルする覚悟が必要です」。

“大きな悪玉論”の源流

 今日、コンプライアンスを守らないという企業イメージが広がれば、自社製品や経営などの市場イメージを悪化させて、巨額の企業損出を生むことになる。

 そういう企業環境の中で、昔のようにODAビジネスに飛びつく企業は大幅に減退している。しかも、ODA自体が減額され、かつアンタイド(国際入札)が強化されているので、日本企業はかつてのような魅力を感じていない。それはそれで民主党政権が打ち出した「新成長戦略」にとって大きなマイナス要因になっているから、問題は複雑にして面妖である。

 さて、以上のような“小さな悪玉論”に対して、次に“大きな悪玉論”を紹介してみたい。

コメント16件コメント/レビュー

ODAが何故日本の発展に貢献するのか分からない、という意見が多いようですが、ある国が日本からのODAを調達するとそれに関連した工事で日本企業が受注できる可能性が大きくなります。日系の建設会社、工作機械メーカー、商社などあらゆる日系企業の売り上げが伸びることになります。経済の発展が停滞し、需要の伸びない日本国内だけの仕事では企業の経営は成り立っていきませんし、日本経済もマイナス成長になります。そういう意味でODAの果たす役割は大きし、ODAを利用した国では日本のお陰で自国の経済が発展したと感謝されているのです。当然、中国のように感謝されないような国にはODAは使わない方がいいのですが、ODAを止めると日本への風当たりがもっと強くなり、日系企業は中国で仕事ができなくなると思います。つまり中国に対するODAは中国で日系企業が仕事をさせてもらうためのショバ代みたいなものです。中国へのODAを止める時は、中国と今後一切の商売をしないぐらいの覚悟が必要だと思いますが、日本にとっては人口14億人の中国の市場は非常に魅力的で国の発展には欠かせないと思います。(2011/06/30)

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ODAが何故日本の発展に貢献するのか分からない、という意見が多いようですが、ある国が日本からのODAを調達するとそれに関連した工事で日本企業が受注できる可能性が大きくなります。日系の建設会社、工作機械メーカー、商社などあらゆる日系企業の売り上げが伸びることになります。経済の発展が停滞し、需要の伸びない日本国内だけの仕事では企業の経営は成り立っていきませんし、日本経済もマイナス成長になります。そういう意味でODAの果たす役割は大きし、ODAを利用した国では日本のお陰で自国の経済が発展したと感謝されているのです。当然、中国のように感謝されないような国にはODAは使わない方がいいのですが、ODAを止めると日本への風当たりがもっと強くなり、日系企業は中国で仕事ができなくなると思います。つまり中国に対するODAは中国で日系企業が仕事をさせてもらうためのショバ代みたいなものです。中国へのODAを止める時は、中国と今後一切の商売をしないぐらいの覚悟が必要だと思いますが、日本にとっては人口14億人の中国の市場は非常に魅力的で国の発展には欠かせないと思います。(2011/06/30)

私はベトナムで長く仕事をしていますが、相手に賄賂を渡さないで仕事が取れることはこの国ではまず考えられない。発展途上国での大型工事の受注というのは全部そうだと思う。韓国や中国はベトナムの関係者に車やゴルフ会員権や家をプレゼントして仕事を取っている。価格入札制度と言っているが、中国や韓国ではわざと安い価格で入札して、受注して工事をし始めてから工事を止めて値上げ交渉をしている。ここでも賄賂をふんだんに関係者に配って工事費の値上げが認められる。そういう環境の中で日本だけがコンプライアンスの遵守とか言って賄賂を使わなかったら仕事など取れる訳がない。日本は日本だけ潔癖だと自己陶酔している馬鹿としか周りの国からは見えない。このことが海外の発展途上国において中国、韓国企業が元気で日本企業に元気がない理由だ。日本は小さなことにとらわれすぎて、国の将来の大きな利益を失いつつある。(2011/06/30)

正しい分析無しの、戦略的にODAは必要だ、という言葉にもう誰も騙されません。どんな戦略か詳細に述べてから記事にしてくださいね。(2011/06/29)

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三品 和広 神戸大学教授