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「福島からの遠さ」を中国に売り込む九州

2011年6月27日(月)

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 「中国から最も近い日本である『九州』にぜひおいでください」

 長崎県の中村法道知事を筆頭に九州地方の代表団が6月上旬、中国からの観光客を誘致しようと上海と北京で相次いで会見を開いた。代表団の力の入れようは登壇者の顔ぶれからも明らか。中村知事のほか佐賀県、熊本県、大分県からは副知事が参列し、国土交通省九州運輸局の玉木良知局長も顔を揃えた。

 九州の7県が一致協力するのは、東日本大震災の影響で急減した中国からの観光客を呼び戻すためだ。中国から九州を訪れる観光客は近年、順調に伸びており、2010年は10万人超と2000年から4倍近く増えた。それが震災後は観光客がめっきり減り、観光施設はどこも閑古鳥が鳴くありさまだった。

震度6でも九州は揺れず

 観光客を引き寄せようと九州は思い切った策に打って出た。九州7県はいずれも福島第1原子力発電所から遠く離れている点を何より強くアピールしたのだ。直線距離で最も近い大分県でも974km、最南端の鹿児島県に至っては1158km以上もの距離がある。一方、福岡と上海の距離は860km。「九州は福島原発より上海に近い」ことを中国メディアに訴えたのだ。

 安全性も強調した。九州7県では毎日、水道水の検査を行っており、震災以降もヨウ素やセシウムなどの放射性物質は検出されていないこと、大気中の放射性物質の量も極めて低い値で推移していることを訴えた。東北地方で震度6の余震が発生しても遠く離れた九州では揺れが検知されなかったこともデータで強調した。こうした科学的データを明らかにすることで、「これまで以上に安心して九州にお出かけください」と中村知事らは呼びかけた。

 こうした九州のやり方に違和感を覚える人もいるだろう。原発周辺の住人は今も目に見えない放射能と戦っている。同じ国の同胞が苦しんでいる時に自分だけ金儲けに走る行為は「自己中心的」と批判されるかもしれない。関係者内部でもそうした葛藤はあったという。だが自分たちの「強み」をアピールすることに決めた。

コメント3件コメント/レビュー

10年前ならこの手には出なかった、少なくとも槍玉に上がったのではないかと思う。それが日本人の良い点であり誇りに思っているが、同時に欧米のルールで構築されたグローバルビジネスでは足枷だった。今、九州が行ったこの決断を歓迎したい。日本の経済復興もまた震災復興のひとつであるからだ。心情を慮る文化も大事だが、商売も大事。その間のバランス感覚も最適解も変化してきていると思う▼以下、コメントにコメント。"実際に通常時の何倍もの放射能が検出されている"農水畜産物の件だと思いますが、「Aという地域で作られたBという作物から基準値以上検出された」→「Aのある県内の生産作物は全て入荷拒否」この拡大解釈は風評被害では?各共同組合が独自に検査し、安全を証明しているにも関わらず、ニュースに上がったというだけで店頭に並べられないと受取を拒否された例は多数報道されていますね▼"「後ろめたさ」を暗示しているのではないか?"九州の自治体と政府と東北関東の自治体を全部ひっくるめるのはやめましょう。「後ろめたさ」を感じた九州の自治体は「風評被害」にあっているから当たり前に「客観的事実」をもって安全をアピールしたのではないですか。(2011/06/30)

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「「福島からの遠さ」を中国に売り込む九州」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

10年前ならこの手には出なかった、少なくとも槍玉に上がったのではないかと思う。それが日本人の良い点であり誇りに思っているが、同時に欧米のルールで構築されたグローバルビジネスでは足枷だった。今、九州が行ったこの決断を歓迎したい。日本の経済復興もまた震災復興のひとつであるからだ。心情を慮る文化も大事だが、商売も大事。その間のバランス感覚も最適解も変化してきていると思う▼以下、コメントにコメント。"実際に通常時の何倍もの放射能が検出されている"農水畜産物の件だと思いますが、「Aという地域で作られたBという作物から基準値以上検出された」→「Aのある県内の生産作物は全て入荷拒否」この拡大解釈は風評被害では?各共同組合が独自に検査し、安全を証明しているにも関わらず、ニュースに上がったというだけで店頭に並べられないと受取を拒否された例は多数報道されていますね▼"「後ろめたさ」を暗示しているのではないか?"九州の自治体と政府と東北関東の自治体を全部ひっくるめるのはやめましょう。「後ろめたさ」を感じた九州の自治体は「風評被害」にあっているから当たり前に「客観的事実」をもって安全をアピールしたのではないですか。(2011/06/30)

誰かを救うために自粛をおこなう?それは見当違いだ。被災された人々の悲しみを共有しようとする気持ちを否定するような意見に思う。ただし、自粛をおこなうことと自身の生活を堅持することとは並立すべきことだから、九州の方々が中国への営業活動をおこなうことに何ら後ろめたいことはない。その営業手法についても、被災地域を侮蔑するものではないから、何ら恥ずべきことではない。ましてや、九州地方の方々の被災地域への援助活動を思えば、日本全体が九州の行動を応援するだろうことは明白だ。本件は、九州の中国への営業活動手法を弁護するためのものではなく、沈みかけた日本の経済を九州がどのような努力で牽引しようとしているのかという視点で語られるべき内容であったのではないだろうか。なお、論旨とは関係ないが、中国の領土面積は日本の約25倍かと思う。(2011/06/30)

国やメディアは「風評被害」と言うが、実際に通常時の何倍もの放射能が検出されている今、何をもって「風評」というのか?「危険があるかないか」を政府が独自の基準で判断していたり、明確な基準、測定のないまま「人体には影響がない」などと言っている今、このように「客観的事実」をもって安全をアピールするのは当たり前だと思う。この行動に「逡巡」があったこと自体が、日本の放射能被害の、「風評被害」と言っていることの「後ろめたさ」を暗示しているのではないか?日本人は黙っているかも知れないけれど、海外に同じことは通用しないのだ。淡々と事実を明らかにし、現実に対処していくべきだと思う。(2011/06/27)

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三品 和広 神戸大学教授