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値段の高いコーヒーを飲んでいるおしゃれな自分が好き!?

インスタント好きから見た韓国コーヒーブーム事情

2011年6月30日(木)

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 日本を訪れたことのある韓国人が選ぶ、忘れられない日本の味と言えば? お寿司、すきやき、とんかつ、ラーメン、おいしいものが色々浮かぶ。だが、ブログやTwitterを検索してみると、よく登場するのは「ケーキ」「パン」「コーヒー」だった。特に絶賛されているのがコーヒーだ。「テイクアウトのコーヒーに当たり外れがない。どこの店も味が濃くておいしい。しかも韓国のものより安い」「自動販売機が缶コーヒーで埋まっているほど種類が豊富でびっくり」という意見がすごく多かった。

 逆に韓国を訪れる日本人観光客は、カルビや参鶏湯といった豪華でおいしい食事が、日本より断然安い値段で楽しめることに感嘆する。ランチに400円も払えば、ごはんにチゲに焼き魚、ナムルやキムチといったおかずが5~6種類ずらっと並ぶ定食を食べられる。日本でも知名度の高いサムギョプサル(豚の三枚肉)だって、1人1000円もあれば歩けなくなるほどお腹いっぱい食べられる。韓国では、肉さえ注文すれば、サンチュやごまの葉などの野菜、キムチは食べ放題だ。

 どの食堂でも食後のコーヒーは無料である。入り口のところに自動販売機があって、甘いミルクコーヒーが出てくる。この甘ったるいコーヒーを飲むと、キムチや料理の辛さが中和される。デザート並の甘さがあるので食後の満足感が2倍になる。

家でも会社でもコーヒーミックス

 「コーヒーミックス」をご存じだろうか。インスタントコーヒーに植物性粉クリームと砂糖がたっぷり入っている粉で、食品メーカーの東西食品が1976年に開発した。この商品の登場を契機に、家庭でも会社でもインスタントコーヒーが広く飲まれるようになったと言われている。東西食品は今でもインスタントコーヒー市場の最大手だ。コーヒーミックスは、年末になると各経済新聞が発表する売上番付で、常に上位を占めている。

 韓国ではどこの会社も、コーヒーミックスとミネラルウォーターを社員に無料で提供している。お客さんに出すのも、VIPでもない限りコーヒーミックスか、薄すぎて何の味か分からないドリップコーヒーか、ティーバッグで入れた玄米緑茶ぐらい。食堂でも会社でも家庭でも飲んでいるせいか、私も韓国を離れて1週間もすると、キムチの次にこのコーヒーミックスが恋しくなる。

 イギリスの紅茶、中国のウーロン茶、日本の緑茶。それぞれ国が国を象徴する「茶」を持っている。韓国も緑茶、柿の葉茶、コーン茶、とうもろこしひげ茶、決明子茶、ドゥングレ茶(あまどころ茶)、菊花茶、五味子茶などなど、たくさんの伝統茶がある。どれも、おいしくて体に良い。

 だけど慣れというのは怖いもので、乳化剤がたっぷり入ったどろどろのコーヒーミックスを食後に飲まないと、何かを忘れているようで口さびしいのだ。東西食品が2010年に実施した調査によると、韓国人が最も好む飲料の種類はコーヒーが54.5%、牛乳・豆乳・ココア9.7%、炭酸飲料6.1%、緑茶6%、ジュース5.7%の順だった。

廃れてしまった緑茶文化

 韓国も日本と同じく昔から緑茶を飲む習慣があり、茶道もある。チェジュは緑茶畑が観光名所になっているほど有名だ。高麗時代まで、韓国では茶道が広く親しまれていた。朝鮮時代もチャレ(茶礼)といって、お正月やお盆には先祖のためにお茶を淹れて礼をしていた。ところが今では茶礼という名前と形式が残っているだけだ。肉や魚、揚げ物などたくさんの料理を手間暇かけて作り、お酒と一緒にテーブルに並べないといけない、ただの“しきたり”に変わってしまった。

 茶礼の伝統がいつの間にか消え、お茶を飲む習慣もなくなってしまった。帰宅後、急須にお茶とお湯を入れて一服、なんていうのは、本当にお茶が大好きでしょうがないマニアか健康管理のため意識して飲んでいる人ぐらいかもしれない。

 韓国の最大手化粧品メーカーAmorepacific社はチェジュで栽培した高級な緑茶を大衆向けに商品化している。緑茶成分入り化粧品もヒットさせた。O`sullocという緑茶カフェをソウル市内で展開している。東西食品のコーヒーミックスに対抗して、30年以上にわたって緑茶を広めようとしている。しかし、コーヒーミックスの強烈な甘さに多くの韓国人が慣れてしまったせいか、思うようにいかないという。

ランチは200円でも、コーヒーは500円

 とはいえ、最近は、食堂に置いてあるコーヒーミックスの自動販売機を利用する人が少なくなったように感じる。一方、食後は必ずコーヒーショップに立ち寄って、食事よりも値段の高いコーヒーをテイクアウトすることがステータスのようになっている。「スターバックス」や「カフェベネ」といったロゴ入りのカップを誇らしげに持って歩くのだ。

 自動販売機が紙コップに注いでくれるコーヒーミックスは1杯20円もしない。缶コーヒーでも、高くて80円ぐらいだ。にもかかわらず、である。

 話が横にそれるが、韓国のお昼と言えば、会社の人とみんなで仲良く出かけるのがこれまでの風景だった。しかしこのごろは物価が値上がりしすぎたせいか、一人黙々とカップラーメンを食べたり、コンビニで売っている200円ぐらいの安い弁当で済ませたりする人が増えている。

 韓国のビジネスパーソンが日本に出張に来ていちばん驚くのがランチタイムの「ビニール袋集団」である。ランチタイムになると一人ですっと席を立ち、一人でコンビニに行き、手にビニール袋を提げて会社に戻る。自分の机に座ったまま、一人で食べる。5~6年前まで、韓国企業の東京支店に勤務している人たちは必ずと言っていいほど、こう絶叫していた。「一人でビニール袋を提げて帰ってくるランチタイム!」「一緒に働いている仲間なのに一緒にご飯を食べないなんてさびしすぎる!」「日本人は冷たい!」。

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「値段の高いコーヒーを飲んでいるおしゃれな自分が好き!?」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官