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激烈極まる中国の人権弁護士弾圧

胡散臭さは承知だが、「正義」掲げずに隣人は救えない

2011年7月6日(水)

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 正直に言えば、正義や人道、人権という言葉を大声で叫ぶとどこか胡散臭い気がする。欧米の人たちは人権意識が高く、正義と言う言葉も自信を持って使うが、それも時々、都合よく使われている気がする。

 例えば、国際刑事裁判所(ICC)から、ダルフール虐殺で民族浄化を命令した容疑、人道に対する罪の容疑で逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領が中国を訪問し、29日に胡錦濤国家主席と握手を交わした。ICCの判断に関わらず、中国とスーダンの友好が継続していくことを表明したのだ。香港のフェニックステレビのニュースによれば、これを米国のスーダン担当特使、プリンストン・ライマン氏は1日の会見で「中国政府はスーダンに的確なメッセージを送っただろう」と評価した。

 米国は従来、中国はけしからん、と非難していたが、今になって中国はスーダンに暴力を止めるように言ってくれている、と手のひらを返したように言う。

米中でウィン-ウィン関係を確認

 フェニックステレビのニュースによると、ライマン氏は中国の劉貴今・アフリカ問題特別代表と何度か会談した結果、米中ともにスーダンにおいて利益があると確認したそうだ。ライマン氏は「我々と中国はスーダンにおいて分かち合うものは非常に多い。スーダン側も文明的であることを望んでおり、平和な南北関係を望んでいる」と述べた。

 上質の石油資源に恵まれたスーダンに対し、人道を理由にスーダン資源への食い込みにおいて中国に遅れを取ることになった米国と、資源が集中するスーダン南部の独立でこれまでに築いてきた石油利権への影響を懸念する中国。この両国の間で、それなりのウィン-ウィン関係が確認されたということなのだろう。米国の言う正義や人道とは、この程度なのかと思ってしまう。  

 なので、私もあまり、人権、人道という言葉を振りかざしたくないのだが、それでも目に余る人権弾圧、人道無視というものはある。中国で暮らしていた時は、少なからずそれを目の当たりにしてきた。

 先日、そういう体験を話してほしい、とアムネスティ・インターナショナル日本広島グループに招かれて広島を訪れたのだが、テーマが、その前日にアムネスティが発表した中国の人権弁護士たちに対する弾圧の現状に関するリポートと重なった。

 これを読むに、改めて中国の人権弾圧は凄まじい。何より人権を擁護する立場にある弁護士たちが拘束され、拷問を受け、迫害され、恫喝され、飼い馴らされてコントロールされている。これで、どうやって一般庶民の人権など守ることができるだろう。

司法当局から中国十大弁護士として表彰

 このリポートで最初に迫害された人権弁護士として紹介され、今も「行方不明」の高智晟さんは、私自身、2006年3月にインタビューしたことのある人物である。

 彼は当時、当局の暴政を訴えるとして、ハンガーストライキリレーを呼びかけた。これに賛同してハンストリレーに参加する人たちは国内外で1万人を超えた。私の印象では、決して過激な扇動を行うような人には見えなかった。知的で落ち着きがあり、そして非常に楽観的だった。

 ハンストといっても7人の弁護士が1週間に1日ずつ曜日を決めて交代で自宅で1人で絶食を行うだけだ。静かな抵抗なので「当局も私たちを逮捕する理由を見つけられないよ」と言っていた。2001年には司法当局から中国十大弁護士として表彰されたこともある優秀な弁護士であり、中国の未来に希望を持っていた。「インドだって中東の国々だって民主化している。中国にできないわけがない」と笑顔で話していた。

 まさかその高さんが、拘束され、恐ろしい拷問にいじめ抜かれ生死も分からぬ状況になるとは、その時、想像できなかった。

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「激烈極まる中国の人権弁護士弾圧」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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