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中国発“ODA”は「何でもあり」

「北京コンセンサス圏」拡大で我が道をゆく

  • 荒木 光弥

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2011年7月11日(月)

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 アメリカン大学のデボラ・ブローディガム教授は2009年に「ドラゴンの贈り物(Dragon's Gift)―アフリカにおける中国の真実」を出版した。その内容は、中国のアフリカ援助を丹念に現地調査しているだけあって新鮮だった。それは、中国の対外援助に関する情報が絶対的に不足していたからである。

 それでは少し本の内容を紹介してみよう。
 まず、(1)中国援助の特徴についてこう述べている。

 中国援助の特徴は、ヨーロッパや日本から受けた援助のやり方を模倣していることだ。特に、中国は日本がかつて援助を商業的利益と結び付けた手法をアフリカで多用している。

 1958年、日本は最初の円借款をインドのゴア鉄鉱石の採掘に供与するが、当時、ヨーロッパの掘削機材に比べて日本製品は品質が悪かった。

 そこで、日本はヒモ付き(タイド)の円借款により日本製品の輸出に結び付け、10年間にわたって毎年200万トンの鉄鉱石輸入を行い、その代金を日本からの融資の返済に振り向けた。中国はこうした体験を下敷きにアフリカを援助している。

 当時、日本ではこれを開発輸入と名付け、時にその事業を「ナショナル・プロジェクト」と呼んでいた。ナショナル・プロジェクトの多くは資源開発型で、常に国家が支援し、そのリスクも国家が担保していた。

 日本は開発輸入をこう解釈していた。資本、技術、経営の一体化した経済活動を通じて途上国の潜在的な資源開発を行い、それに市場性を与えて、これを輸入することにより、日本の必要な資源の安定供給確保に資する、であった。

“モデル国家”として映る中国

 次に(2)アフリカ人から見た中国の援助については、このような意見を紹介している。

 ナイジェリア外交官「アフリカ人には中国企業との競争に脅える人もいるが、中国は貧困から繁栄へと立ち上がった“モデル国家”として多くのアフリカ人の想像を刺激するものだ」。

 この意見に関しては、「国家モデルについては欧米の民主化より国内体制の安定を優先する国家資本主義モデルだとし、このモデルに共鳴する途上国や新興国が増えている」と指摘した上で、「中国は経済協力(対外援助)を武器にロシアや中央アジア、中東、アフリカ、中南米と連携を深めている」と分析する人もいる。

 また、そこには安定と繁栄の弧としての「北京コンセンサス圏」(佐藤賢著『習近平時代の中国』=日本経済新聞出版社)が生まれ、欧米の「ワシントン・コンセンサス圏」と対立することになる、と予見する人もいる。

 チサノ前モザンビーク大統領「欧米など援助国は、アフリカのインフラ支援や民間セクター支援を怠ってきた。中国の援助は、ほかの援助国が低い優先度をつけたインフラ開発や留学生への奨学金支給を重視してきた」。

 セネガルのワデ大統領「DAC(OECDの開発援助委員会)に加入している欧米、日本など伝統的な援助国は一種のカルテルを組み、援助の使い方やその内容まで高飛車に指導しようとする。1980年代の世銀ローンは平均60%の条件付きである。中国援助は押し付けず、我々のニーズに単純にして素早く対応してくれる」。

 恐らく民主化のみならず、自分の価値観で正義を押し付ける欧米の流儀は、アフリカの指導者の目に「主権侵害」「内政干渉」と映っているのかもしれない。中国はそこを巧みに利用しながら、アフリカ諸国を国家資本主義的な「北京コンセンサス圏」内に引き込んでいるとも言える。

コメント3件コメント/レビュー

前回までのコメント内容にきちんと回答しているためか、今回はコメントが少ないですね。個人的には好印象でした▼日本に限りませんが、ODAに限らず大きな金が動くところには必ず利権が発生します。"利権"という語には悪印象がつきまといますが、この語を少々拡大解釈すれば恐らく殆どの企業が"利権"や"既得権益"で食っているとも言えます。過剰或いは劣化したシステムの更新に抵抗することが問題なのであって。同様に、無謀に日本が裸で飛び込み、どうにか立場を形作って来た"国際社会"という奴は、欧米の利権で凝り固まっています。劣化が始まっているシステムに楔を打ち込む主導権を中国が取るかロシアが取るか、随分先の話ですが今から気になっています▼ともあれそういった利権の中で日本のODAに焦点を当てた時、できることとできないことがあることを認識した上でこのコラムを読むべきと思います▼蛇足ですが、中国の勢力は中東にも広がりつつある筈です。具体的には忘れましたが海軍基地が既に数か所あるとか▼蛇足ついでに、記事の最終段落が文法的に変で意味が通らないと思います…(2011/07/12)

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いただいたコメント

前回までのコメント内容にきちんと回答しているためか、今回はコメントが少ないですね。個人的には好印象でした▼日本に限りませんが、ODAに限らず大きな金が動くところには必ず利権が発生します。"利権"という語には悪印象がつきまといますが、この語を少々拡大解釈すれば恐らく殆どの企業が"利権"や"既得権益"で食っているとも言えます。過剰或いは劣化したシステムの更新に抵抗することが問題なのであって。同様に、無謀に日本が裸で飛び込み、どうにか立場を形作って来た"国際社会"という奴は、欧米の利権で凝り固まっています。劣化が始まっているシステムに楔を打ち込む主導権を中国が取るかロシアが取るか、随分先の話ですが今から気になっています▼ともあれそういった利権の中で日本のODAに焦点を当てた時、できることとできないことがあることを認識した上でこのコラムを読むべきと思います▼蛇足ですが、中国の勢力は中東にも広がりつつある筈です。具体的には忘れましたが海軍基地が既に数か所あるとか▼蛇足ついでに、記事の最終段落が文法的に変で意味が通らないと思います…(2011/07/12)

じゃあ、欧米の例も書いてください。そこから学ぶものもあるはずですが。(2011/07/11)

ODAは自民政権時代に鈴木宗男が食い物にしていたと言う印象があります。また、多くの企業がODAにぶら下がって援助国のためというより日本企業のための箱物造りになっていたような感があります。多くの援助国は政府も不安定で援助が特権階級の懐を潤す道具になり、独裁政治につながっていつまでたっても国家の体をなさない国が多いのも今ひとつ有効性が少ないような気がします。今の民主党政権はもっとひどく、中国やロシヤ、北朝鮮の顔色伺いながらの行動はどこの国の政府か、と思ってしまうようなことばっかしです。今回の各国の義捐金に対するお礼でも、台湾にどうしてお礼がいえないのか、独立国家として当然なすべきで、中国が何か口を挟むことはあるだろうが、毅然として「国家は日本国民がみんなが感謝していることを伝えたまでだし、当然のことをしたもので、それをとやかく言われる筋はない。」と言えばいいではないか。民主党が過激派の内ゲバ同様に過激派を幹部では崩壊は当然、日本が沈没しないように早く交代すべきです。(2011/07/11)

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三品 和広 神戸大学教授