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「高齢者に厳しい」韓国の年金制度

社会保障制度を分析する――その1「公的年金」

2011年7月11日(月)

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 OECDによれば2007年における韓国の国民負担率は26.5%と、OECD加盟国平均の35.8%より低く、日本の28.3%より低水準です。「厳しい財政規律、少ない借金」で示しましたが、韓国では概ね均衡財政を守っているとともに、年金保険料を引き上げる予定もないので、当面はこのままの国民負担で推移する見通しです。

国民はそれなりの我慢をしている

 このように韓国の国民負担率が低い背景には、公的年金など高齢者向けの社会保障の給付を抑えていることがあります。言い換えれば、負担を少なくするために、国民もそれなりの我慢をしているということでもあります。今回から4回シリーズで韓国の「公的年金」、「医療」、「介護」、「高齢者の生活」について取り上げ、韓国では老後の手厚い保障より、国民負担の軽減に重点を置いている点を示していきます。
 
 今回は公的年金について解説します。まずは公的年金の制度から見ていきましょう。公的年金は、国民年金、公務員年金、私学年金、軍人年金、別定郵便局職員(※2)年金の5種類で構成されています。それぞれの概要は表1で示したとおりですが、圧倒的に加入者が多いのは国民年金です。従って以下では国民年金について解説していきます。

表1 公的年金の種類と概要(2010年現在)

  国民年金 公務員年金 私学年金 軍人年金
導入年度 1988年 1960年 1957年 1963年
適用対象 18歳以上60歳未満の国民 国家及び地方公務員、裁判官、検察官 私立学校教職員 下士官以上の職業軍人
加入者数 1834万人 103万人 26万人 17万人
年金受給者数 282万人 28万人 3万人 7万人
保険料 (事業所加入)
労使各4.5%
(地域加入)
9%
公務員7%
国7%
(教員)
個人7%
法人4.117%
国2.883%
(事務職)
個人7%
法人7%
軍人8.5%
国8.5%

(出所)保健福祉部「一目で見る公的年金制度」より作成。
(注)別定郵便局職員年金は加入者が少ないのでここでは省略した。

 日本の国民年金は自営業者や無職の人が加入する第1号被保険者、非雇用者が加入する第2号被保険者等に分かれますが(※3)、韓国ではそのような区分はなく、自営業者も、被雇用者も、無業者もすべて一律に扱われます。国民年金の加入者は国内に居住する18歳以上60歳未満の者ですが、(1)公務員年金など他の職域年金加入者、(2)国民基礎生活保障(日本では生活保護に相当)の給付金受給者、(3)18~27歳で学生など所得のない者、(4)所得のない配偶者(いわゆる専業主婦など)などは加入する必要がありません。

 また国民年金の加入者は、年金保険料の支払い方法により4つに分類されます。第一は事業所加入者です。これは被雇用者であり、保険料は基準所得月額に9%をかけた額を労使で折半します。ただし1カ月未満の短期雇用者、月の就労が60時間未満のパートタイムなどは除外されます。第二は地域加入者です。地域加入者は事業所加入者ではない者が対象者であり、自営業者などが含まれます。保険料は基準所得月額に9%をかけた額を全て自分で支払います(※4)

自営業者も所得額に比例した保険料を支払う

 このように、日本の年金制度と違って、自営業者であっても一定の額ではなく、所得額に比例した保険料を支払います。なお基準所得月額とは、日本の標準報酬月額と近い概念です。具体的には加入者が申告した所得月額から、千ウォン未満を切り捨てた金額であり、最低金額は23万ウォン、最高金額は368万ウォンに設定されています。例えば、基準所得月額が23万ウォン以下の場合、あるいは368万ウォン以上の場合は、それぞれ23万ウォン、368万ウォンが基準所得月額とされます。

 第三は任意加入者です。他の職域年金の加入者は対象外ですが、国民基礎生活保障の給付金受給者、学生、所得のない配偶者などは、国民年金全加入者の中位所得である「中位数基準所得月額」の9%に相当する保険料を支払えば、国民年金に加入できます。このような加入者を任意加入者と呼びます。第四は任意継続加入者です。国民年金の加入は59歳までですが、加入期間を延ばしてより多くの年金をもらいたい人は、65歳まで保険料を払うことができます。これは日本の繰り下げ支給に相当します。
 
 なお国民年金の加入者であっても、事業を中断している自営業者、失業者、休職者、災害や事故により所得が減少した者などは「年金保険料納付例外」として、保険料を納める必要はありません。しかし「年金保険料納付例外」の適用を受ける場合、その間は国民年金の加入期間となりません。

※1 高齢者3経費とは正確には、基礎年金、高齢者医療、介護保険である。
※2 別定郵便局とは知識経済部長官の指定を受けて、自らの負担で庁舎その他施設を準備し国から委任された業務を行う郵便局のことである。
※3 第2号被保険者に扶養されている配偶者である第3号被保険者もいる。
※4 なお農漁民だけは一定の金額まで国が保険料の半分を補助する。

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「「高齢者に厳しい」韓国の年金制度」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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