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江沢民死去は誤報だったのか

中国で政治的人物の死の情報を利用するのは当然

2011年7月13日(水)

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 江沢民氏の死去について報道が錯綜している。

 7月6日夕、香港のアジア電視台(ATV)が夕方のニュースで中国の前共産党中央総書記で前国家主席の江沢民氏が亡くなったと、報じた。その翌日7日午前、産経新聞も江沢民死去とスクープ号外(デジタル)を出した。「党の喉舌(代弁者)」である新華社通信はその日の正午過ぎに、これを純粋な噂と否定した。これを受けてATVは誤報であったと謝罪した。香港の蘋果日報は8日付1面で「江沢民生き返る」と見出しを打ち、大あくびを放っている江氏の写真を掲載した。

 産経側は報道を取り消さないところをみると、やはり自信があるのだろう。聞くところによれば、北京の現場の記者や政治部記者が得た情報をもとにしたのはなく、社の上層部が持つ「確実な」ソースからのリークらしい。でなければ、全国紙が普通、訃報で号外など打たないものだ。と思っていたら、小康状態を取り戻したという報道まで出てきた。こうなると、本当に分からなくなってくる。国家的重要人物の訃報を外国メディアが誤って打ってしまえば、ずいぶん無礼な話で外交問題に発展してもおかしくないのだが、そうはなっていない。

 産経報道によれば江氏は「脳死らしい」ので、中国側が脳死を人の死と認めず、生命維持装置を外さなければ、生きているということになり、両者の主張が矛盾することもないということか。それとも、中国共産党は「神のような存在」と言われるだけあって、本当にいまわの際の人をむっくり生き返らせるぐらい造作ないのかもしれない。体制に抵抗し続けている人権弁護士の姿を痕跡なくこの世から消すことのできるのだから、その反対ができても不思議ではない。

なぜ3週間も延命が図られたのか

 なぜ、とうに引退した前国家指導者の死去のタイミングについて、メディアも、そして私のような末端のチャイナウォッチャーまでも関心を持つのかというと、やはり中国のトップに君臨したことのある人物の死には今なお、それなりに政治的な影響力がある、と思っているからだろう。

 中国においては脳死が人の死か否か、というテーマより、その人物の死が政治的にどんな意味があるか、ということの方が政界や経済界にとっては重要なのだ。錯綜する江氏の死去報道(そして復活報道)は、やはり何かの政治的背景が含まれていると見るのは妥当だろう。

 ここで思い出すのは黄菊・副首相(当時)の死去報道だ。

 これは2007年5月9日付英タイムズ紙が北京の解放軍総病院(301病院)筋の話として、黄菊氏が8日にすい臓がんで死去した、とまず報道し、これを追いかける形で香港のフェニックステレビが報じた。ところがその当日、中国国務院弁公室がこれを「根拠がない」と公式に否定。フェニックステレビは報道を撤回し謝罪した。

 その後、10日ごろから香港メディアが、黄菊氏は生命維持装置によってかろうじて心臓を脈打たせているだけで、それでも301病院は党中央に「もって1週間」と報告した、という北京筋の話なども流れた。しかし、中国共産党が公式に黄菊死去を発表したのはそれから1週間どころか3週間以上経った6月2日朝だった。公式の死亡日時は6月2日午前2時3分、享年69歳。「懸命なる治療も効果なく」という一言も添えていた。

 黄菊氏がなぜ3週間も延命が図られたのか、なぜこのタイミングで生命維持装置を止められたのか、ということについては、国内外の華人評論家たちがその後いろいろ推論している。

コメント9件コメント/レビュー

8月15日や10月1日あたりに、お亡くなりになるのではないだろうか。(2011/07/14)

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「江沢民死去は誤報だったのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

8月15日や10月1日あたりに、お亡くなりになるのではないだろうか。(2011/07/14)

春秋五覇の桓公や秦の始皇帝など権力者の死の隠蔽は、古代から行われていますよ。何も現代の中国共産党に始まった話ではありません。▼諸葛亮の話は生きている情報を流したのではなく、死んでいるのに生きていると司馬懿が勘違いして撤退しただけの話で、しかも演義の話で創作の可能性が高い。正史では蜀軍の撤退を追撃しなかったというだけです。(2011/07/13)

したたかというか、自分中心なんでしょうね。そういう人たちに、新幹線は日本の涙と汗の結晶だと浪花節を唸ったところで、聞く耳は持たんわな。他者を認識しないと。絆はユニバーサルに通用する考えとは思うが、以心伝心的な甘っちょろい認識でいると、食われる。(2011/07/13)

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