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「大陸と台湾」はOK、でも「中国と台湾」はノー

中国人は台湾をどう見ているのか?

2011年7月14日(木)

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 6月中旬、筆者は生まれて初めて台湾を訪れた。上海浦東空港を離陸し、2時間弱で台北桃園空港へと着陸した。案外近いものだ。

 飛行機の座席から窓の外をのぞくと、緑がいっぱい見えた。他の乗客たちと一緒に流れに乗って、入国審査へと進んだ。日本を含めた他の国と同様、本国人と外国人は別れて入国するルールとなっていた。本国人は少なかった。列に並ぶこともなく、スムーズに審査を受け、入国していく。そんな光景を、筆者は羨ましくながめていた。

 外国人は長い列に並ばなければならなかった。それだけ外国からの訪問客が多いということであろう。筆者がよく入国する日本、中国、香港などもそうだ。台湾が特別なわけではない。外国人の入国には色々と手間がかかるものだ。

 列に並びながら周りを見渡すと、中国からの訪問客が圧倒的に多いことに気づいた。ほとんどが団体ツアー客だ。相変わらず「大陸仕込み」の大声で隣の人と話をしたり、「列が長すぎる」と愚痴をこぼしたりしている。列に割り込んでくる男性も居た。一緒に並んでいた日本人や欧米人が、何とも言えない不可解な表情でその光景を眺めているのが印象的だった。

「ここは中華人民共和国台湾省じゃないのか!」

 20分くらいは並びそうだ。読書をしながら辛抱強く待とうと決断し、かばんから1冊の本を取り出した。と、その矢先、隣の隣に並んでいた中国人観光客が突如大声で騒ぎ出した。

 「中華民国って何だよ! ここは中華人民共和国台湾省じゃないのか!」

 何が起きたのかとびっくりした筆者は、この男の視線の先を追った。そこにはデジタル掲示板があり、「中華民国のパスポートを持たない方はこちらにお並びください」と記してあった。

 なるほど、この男は、台湾が自らを「中華民国」と称していることに腹を立てているのだ。中国大陸(メインランド)の人間として、台湾を「国家」と見なす言行はいかなるものも許容することはできない、ということであろう。

 8年間闘ってきた筆者は身に染みている。中国大陸という政治的空間における最大の「政治正確」(ポリティカル・コレクトネス)は、「台湾は中華人民共和国の一部である」、つまり「一つの中国」政策だということだ。テレビや新聞など公共の場において、「中国と台湾は…」というように、両者を分離するような言い方は許されない。「中国大陸と台湾地区は…」という言い方をしなければならない。

 筆者も例外ではない。異国の地、アウェーで闘うには、現地のルールをある程度尊重し、「郷に入ったら郷に従え」としないと何も始まらない。中国に媚びているわけでは決してない。闘っていくための必要経費である。誰も守ってくれない自分の身を自分で守るためのコストである。筆者は「大陸と台湾」という言い回しで通している。

 「中国と台湾」という言い方で日ごろの言論活動を行う者が居るとすれば、100%当局の監視に引っ掛かり、ブラックリストに載せられる。今後の活動を禁止される。それ以前に、そもそも、そういう言い回しをした文章をメディアが掲載・放送するはずがない。自らを倒産に追い込みかねない記事を掲載するリスクを、昨今の中国メディアは原則として取らない。もちろん例外は存在する。メディアではなく個人であるが、命を懸けて信念を貫き通したノーベル平和賞受賞者・劉暁波氏がその一例だ。

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「「大陸と台湾」はOK、でも「中国と台湾」はノー」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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