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結構じゃないか「ハードランディング」

現政権、最後の正念場「成長率7%」は達成できるか

2011年7月13日(水)

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 先日、ある高名なエコノミストのセミナーに出席した。案内状には「震災復興と社会保障の行方」というテーマが記されていたが、実際は中国経済の話が大半だった。

 筆者としては意外な収穫で大変勉強になったが、「引き締め政策の強化で、中国経済がハードランディングするリスクが高まってきた」という彼の結論には違和感を覚えた。そこで、質疑応答の際に「初歩的な質問で恐縮ですが、ハードランディングの定義は何ですか」と質問した。これに対し、このエコノミストは「6カ月以内にGDP成長率が8%を下回ること」と回答した。

 筆者もセミナーなどでよく話をするが、出席者からの質問に答え終わった時、大抵「これで、よろしいでしょうか」と念のため確認する。わざわざ足を運んで話を聞いてもらった上、質問までちょうだいするのは、実にありがたいと思うからだ。しかし、このエコノミストは筆者の質問に答えるとすぐに話題を米国経済に切り換えてしまった。こんな馬鹿な質問に答えるのは時間の無駄だと思ったのかもしれない。

成長率の「下方修正競争」

 その瞬間、2008年の終わりの出来事が筆者の脳裏をかすめた。リーマンショックを引き金に世界同時不況の様相が強まる中、中国経済が崩壊するのではないかという懸念が急速に高まった時のことである。

 関係者の間で話題となったのは、中国のGDP成長率が予想に比べてどれだけ下方修正されるかだった。北京や上海の百貨店や高級レストランの顧客がどれほど激減しているかを確認したり、夜間に電気がついていない窓を数えて住宅の空室率を割り出したり。そんな現地調査の結果を踏まえ、成長率を5%まで下方修正するエコノミストも現れた。

 中国では、最低8%の経済成長を達成できなければ、雇用悪化により社会秩序が混乱するというのが「定説」である。もし、5%まで急降下するようなことになれば、中国が大不況に陥るだけでなく、中国に頼っている世界経済への悪影響も避けられない。そんなストーリーがまことしやかに語られた。

 だが、サブプライム問題の議論が食傷気味になるにつれて、いつの間にかそんなストーリーは消え去った。そして、話題は中国経済の高成長になり、そして世界を同時不況から救い出す救世主として祭り上げられたのである。

成長率目標は1度も“達成”されていない

 震災後の今も似たような展開になりつつある。中国経済がハードランディングすれば、米国や欧州、日本などすべての国が影響を受ける。なぜかというと、これらの国の景気を支えているのは中国向けの輸出だからだ。つまり、「中国経済のハードランディングによって、世界経済は再び失速する」。これは前述したエコノミストの論法である。

 「こんな話をわざわざするのは『中国悲観論』を聞いて頭にきているからだ」。そんなご批判があるかもしれない。しかし、実際はその逆で、筆者はこのエコノミスト以上に中国経済の先行きを懸念している。筆者がこだわっているのは、あくまでもハードランディングの定義なのである。

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「結構じゃないか「ハードランディング」」の著者

肖 敏捷

肖 敏捷(しょう・びんしょう)

エコノミスト

フリーのエコノミストとして原稿執筆や講演会などの活動をしている。テレビ東京の「モーニング・サテライト」のコメンテーターを担当中。2010年の日経ヴェリタス人気エコノミスト・ランキング5位。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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