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外国製品を買う人を「売国奴」と罵ることは「愛国」か?

「愛国奴」が中国を孤立させる

2011年7月21日(木)

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 前回コラム「『大陸と台湾』はOK、でも『中国と台湾』はノー」では、筆者が拠点を置く中国大陸において、「台湾」を扱うことがいかに困難なことか、具体的なエピソードを交えてお伝えした。

 読者の皆さんもご存じの通り、中国と台湾は、現在に至るまで事実上の分離状態にある。多くの「中国人」が懇願する「祖国統一」はいまだ達成されていない。

 筆者は、日ごろ北京で暮らしている。6月中旬に生まれて初めて台湾を訪れた。滞在中に、「中国」をどう見るかというテーマをめぐって、各界の有識者や学生たちと徹底議論した。

 第三者という立場にある“特権”を行使して言わせていただきたい。「中国人」と「台湾人」の間に存在する心の距離は、筆者が想像していた以上に遠い。心の溝はとっても深い。中国大陸の人たちは台湾の人たちが自らを「中国人」ではなく「台湾人」だと認識している現状が気に食わないようだ。

 「中国人」が、両者の関係を「私たちは同じ中国人だ」と意識的に主張すれば、「台湾人」は「一緒にしないでくれ。私たちはあなた方とは違う」と無意識のうちに主張する。微妙な言い回しひとつで、双方の関係がこじれたり、人間関係が悪化したり、大事に発展してしまう。

企画の段階で“ダメ出し”された拙著『愛国奴』

 筆者がこのたび台湾を訪れた最大の目的は、台湾における初の著作となる『愛国奴―知らぬ間にお国を売っていくひとたち』の出版キャンペーンであった。2003年春に北京大学に留学して以来、学業の傍ら、コラムニストやコメンテーターとして、中国の政治、経済、軍事、社会、文化、教育、若者世相などあらゆる分野の問題を現場感覚でウォッチし、発信してきた。「愛国奴」は筆者がウォッチと発信を繰り返す過程で、最も腑に落ちた、中国人のナショナリズムを表す概念・表現であった。北京で戦ってきた日々を通じた、中国政治を総括する言葉と言ってもいい。

 残念なのは、拙著を中国大陸で出版できなかったことだ。ご存じの方もいらっしゃると察するが、中国大陸で書籍を出版するには、共産党当局による監視・検閲をパスしなければならない。当局が自らの権力を脅(おびや)かすと主観的に判断した内容の書籍は出版を許可しない。中国では、新聞・テレビなどに対してよりも、出版物に対する監視・検閲の方が厳しい。より鮮明に後に残るからであろう。

 拙著『愛国奴』は検閲どころか、企画の段階でダメだしを食らった。出版社が自制してしまったのである。いくつかの出版社に原稿を持っていったが、どこもダメであった。「当局に目をつけられるリスクは取れない」ということであろう。著者が外国人(しかも日本人)であったので、なおさら萎縮してしまったらしい。

 とはいっても、予測できた事態であるから、大して落ち込みもなかった。筆者だけではない。中国大陸で言論活動を行っている知識人・文化人のなかで、リベラリストたちの作品は検閲に引っ掛かり、大陸では出版できないケースが頻繁に発生する。その場合、著者たちは香港か台湾の出版社と連絡を取る。市場は大陸に比べて断然小さいが、言論・出版の自由が保障されている香港・台湾で出版、という“ソフトランディング”を試みるのである。拙著は台湾の出版社が出版するが、台湾と香港の双方での発売となる。

中国に広がる排他的なナショナリズム

 大変恐縮であるが、『愛国奴』の内容を簡単に紹介させていただきたい。昨今の中国政治・世論を理解するうえで、ユニークな視座になると信じている。日本とも大いに関係のあるマターである。

「加藤嘉一の「脱中国論」現代中国を読み解く56のテーゼ」のバックナンバー

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「外国製品を買う人を「売国奴」と罵ることは「愛国」か?」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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