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戦時下のパキスタン企業、“敵”はテロ、強盗、暴動、インフレ、電力不足

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2011年7月29日(金)

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Naween Mangi(Bloomberg News記者)
米国時間2011年7月21日更新 How to Succeed in Business in Pakistan

 パキスタンの食品会社ナショナル・フーズ(本社:カラチ)で工場長を務めるムハマド・アズハル・アリ氏(49歳)は、仕事のある日の明け方、カラチ市内に居住する各製造部門の管理担当者に電話をかけるのが日課となっている。暴動などで危険にさらされている地域がないかを確認するためだ。

 特に危険な状態だと思われる場合、アリ氏は2つの財布をポケットに入れる。1つは実際に使う財布。もう1つは有効期限が切れたクレジットカードや小銭だけを入れた財布だ。強盗に金品を要求された場合は、2つめの財布を渡す。実際、同氏は一度、強盗に脅されたことがある。

 また、2日続けて同じ車を使わないよう気をつけている。普段は、社用車のトヨタ「カローラ」(パキスタンの中上流階級に人気の車種)に乗ることを控え、あまり目立たない自家用車のスズキ「カルタス」ハッチバックに乗っている。

 こうした準備を整えてから、アリ氏と運転手は、15台の送迎バス--市内各地の乗り場で従業員を乗せている--との合流地点に向かう。全車が合流地点に集まると、アリ氏の車はこれらを率いて市の中心部から50キロメートル離れたナショナル・フーズの主力工場へと移動する。

 工場まではおよそ1時間半。一団は朝7時45分に到着する。従業員は鉄条網が張られた壁の外に並び、散弾銃を携えた警備員が見守る中、ボディーチェックを受ける。アリ氏も自分のオフィスにあるモニター画面で、社内専用回線を介してこのセキュリティーチェックの様子を監視する。この時点で、アリ氏が起床してから3時間以上が経過している。

 アリ氏が勤めるナショナル・フーズは、香辛料やピクルス製品の生産でパキスタン最大手。同氏はここに25年以上勤めている。同氏は「私の仕事量は、他の国で私と同じ職務にある人に比べて倍に近くあるだろう。従業員を出勤させるだけでこれほどの苦労がある。これをしないで済めば、もっと生産性を向上させる方法を考えられるのに」とこぼす。

対タリバン戦争が甚大な被害をもたらす

 アラビア海を臨む人口1800万人の大都市カラチは、パキスタン最大の産業都市だ。ここでは、様々な企業が治安の悪化、停電の頻発、政府の腐敗や非効率といった問題に苦労している。2006年以降、テロ攻撃により死亡したパキスタンの民間人犠牲者は3万5000人に達している。イスラム原理主義勢力タリバンとの戦いに伴うインフラ被害や治安維持費、海外からの投資の損失などは680億ドル(約5兆3000億円)に上る。

 カラチでは5月、報復攻撃としてタリバンが海軍基地を襲撃した。16時間に及ぶ戦闘で治安当局者10人が死亡した。また乱立する国内諸政党の支持者らが対立し、銃撃戦が日常茶飯事になっている。パキスタンで救急サービスを提供しているNGO(非政府組織)「エディー財団」によれば、2011年上半期の銃撃による死者は664人に達した。カラチ市民が銃撃により死亡する確率は、道路交通事故で死亡する確率の3倍近いという。

 銃撃戦のため、カラチ市内の工場は毎月のように操業停止を余儀なくされている。パキスタン政府は2011年度の経済成長率を4.2%に引き上げる目標を掲げている(2010度の実績は2.4%)。だが、労働市場に新たに参入する若年労働力を吸収するには7%以上の成長率が必要だ。

 大規模製造業の生産活動は5月、前年同月比で2.3%縮小した。パキスタンの人口1億8000万人のうち、納税しているのはわずか150万人だ。ナショナル・フーズの競合企業の多くは、レンガの粉でかさを増したノーブランドのスパイス製品を販売し、税金を納めていない。

 パキスタンのセメント最大手ラッキー・セメント(本社:カラチ)のムハマド・アービド・ガナトラ財務部長は「パキスタンで働いていると、悪夢の中に居るように感じる。我々は常に様々な重圧をはねのけ、成長を確保するための戦略を練る必要がある。おかげで経営幹部の多くは寝不足に悩まされている」と語る。

パキスタン企業の最大の敵は電力不足

 それでも、逆境を乗り越えて成長を続けている企業もある。パキスタンの証券取引所に上場しているナショナル・フーズの前年度(2011年6月期)の売上高は23%増の74億パキスタンルピー(約67億円)に達した。創業した1970年度の売上高はわずか5000パキスタンルピーだった。

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