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課題はグローバル・リーダーの育成

第2回 優秀な人材をどう生かすべきか

2011年8月4日(木)

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 本コラムは、前回お伝えしたように、日本企業の経営者にとって最大の関心事である「グローバル化」に関する話題を取り上げている。グローバル化の成功事例や失敗事例などを通して、グローバル戦略の本質に迫りたいと考えている。

 そこで、グローバル市場に挑んでいる経営者やグローバル人材の育成を手掛ける教育機関、グローバル・リーダーの育成に詳しい有識者などの取材を通して、グローバル経営にまつわる問題に切り込んでいく。

 今回は、グローバル人材に関する問題を取り上げる。

 多くの企業が、グローバル人材の問題に頭を悩ましている。

 今年6月、中国・北京で、とても興味深い話を聞いた。ある日本の大手企業が、中国のエリート大学の新卒者を採用したが、1年で約8割が転職してしまったというのだ。現地法人の関係者にその理由を聞いたが、「なるほど」と思わず納得してしまった。プライドの高いエリート大出身者に、誰にでもできるような雑務をやらせたというのだ。

 実際、経理部に配属された清華大学出身者は、駐在員の出張精算という仕事を与えられたそうだ。「中国のエリートにとっては屈辱なことだった」と、その関係者は解説してくれた。もっと自分の力を生かせる仕事に就きたいと、早々に見切りをつけて転職してしまったというわけだ。

中国のエリートを輩出する、清華大学の正門

 日本企業の多くは、新入社員に対してある一定期間、下積みをやらせることが多い。いわゆる配属した部署の雑務を処理させる。先輩社員の仕事を手伝いながら、会社のルールや慣習、仕事のやり方を身につけていく。

 ところが、中国の優秀な若者は、だらだらと雑務をやらされることを嫌うという。ある一定の研修を終えたら、自分の力を存分に生かせる仕事を望む。その仕事をこなした後は、さらに新しい仕事を求める。短期間に仕事を変えながら、仕事を覚えていく。だから、延々と下積み仕事をやらされることには、耐えきれなかったのだろう。

 それでも残った中国のエリート大出身者は、日本の大学に留学した経験があったりして、日本に対する理解があったという。退職したエリート大出身者は日本に一度も行ったことがなく、日本に対する偏ったイメージを持っていて日本企業に対する忠誠心は全くなかったようだ。

 このような話は決して珍しい話ではなく、いくらでもあるそうだ。ある日本のソフトウエア会社でも、せっかく採用した中国の優秀な若者が大量に退職しまった。「原因は、中国の若者を理解していないマネジメントの問題だ」と、中国日本商会(北京市にある日本企業が集まる商工会議所)の担当者は解説する。

 入社する前に聞いていた仕事と、いざ入社して与えられた仕事とが大きく乖離し、失望してしまったというものだ。「今の20代、30代の中国人は一人っ子政策が導入された世代。甘やかされて育ったので、耐えられなかった」との見方もある。

 富士通中国有限公司の高澤信哉総代表は、こう語る。

 「日本企業は、中国の優秀な若者を必要としている。中国人が求める商品やサービスを企画できるのは、彼らだからだ。特に20代や30代に優秀な人材がいる。しかし、今の日本企業には、彼らを受け入れて育成する教育プログラムがない。だから今、長期雇用を前提にした育成プログラムを作るべく、準備を進めているところだ。そのうえで、キャリアプランをしっかりと提示しなければならない」

「世界の工場」から「世界の市場」へ

 さて、中国はいま、大きく変わろうとしている。2011年からスタートしている中国の「第12次5カ年計画」によれば、最低賃金は5年で倍になるという。実際、最低賃金は相次いで値上がっている。さらに、格差を是正するために公共投資の中心が沿海部から内陸部に移っている。その結果、内陸部からの出稼ぎ労働者が減り、中国の沿海部を中心に、ブルーカラー人材の質と量が低下する事態に陥っているという。

 沿海部にある工場を、内陸部に移すのか、それともこの際ASEANに移してしまうのか、選択を迫られているのだ。中国そのものが「世界の工場」から「世界の市場」へと大きく転換しようとしている。

 日本企業にとっては、商品やサービスを売り込む大きなチャンスだ。ところが、冒頭で書いたように、日本企業は中国人の力を生かせないでいる。今こそ、優秀な中国人を採用し、彼らのやる気を引き出すように育成しなければならない。

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「課題はグローバル・リーダーの育成」の著者

多田和市

多田和市(ただ・わいち)

日経ビッグデータ

日経ビジネス記者・副編集長、日経情報ストラテジー編集長、日経ビジネス編集委員、日経BPビジョナリー経営研究所上席研究員などを経て、2014年1月から日経ビッグデータ記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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