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中国バブルは弾けるのか

中国の今、人民元の将来[3]

  • 豊島 逸夫

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2011年8月18日(木)

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 2010年12月は月初が北京出張、月末は広州だった。おりからマーケットでは中国の金利引き締め懸念から株も商品も売られる展開であった。北京には日経CNBCクルーも同行して現地で番組収録をした。中国バブルの実態を金市場の最前線で探るという構成であった。

日経CNBCの質問に答える27歳の女性

 番組取材では中国で一番金が売れる「中国黄金第一家」を訪問。日本出発時には中国の金利引き締め転換で欧米市場は売りモードでもあり、マーケット最前線も閑散だろうと予想していたのだが、とんでもない! 開店直後の朝11時というのに店内は大混雑。普段着の老若男女が金を買い漁っている。

 インタビューに応じた27歳の女性は40万円相当の金地金を買っていた。「友達も買っている。銀行預金の利息は2%台。物価上昇率は5.1%。食料品価格は2ケタで急騰しているから、庶民感覚としてはインフレ。金価格が更に上がったら売るのかって? 上がったらもっと買うわよ」。

 インフレ懸念で(民間も政府も)金を買う国。デフレで金よりキャッシュとばかりに金を売る国。その金輸出国(旧姓ジパング)から流出する大量の金を、ほくそ笑みながら粛々と買い上げているのが中国だ。胡錦濤主席が南アフリカにまで出向き、金などの希少資源囲い込みに動く中国にとっては「渡りに船」であろう。

加速するインフレ懸念が金の購入を後押し

 それにしても中国市場を外から見るアナリストは「引き締め=売り」と大脳で考えるが、現場に行けば、そもそも金融引き締めの要因であるインフレ懸念が加速中で、庶民はインフレヘッジの買いに動いている。

 引き締め強化の反応として、大脳思考の欧米のファンドは先物売りに走っているのだが、現物市場ではキロバー(金地金)が在庫切れとなり数週間待ちとなるほど。売って買いのゼロサムゲームの先物に対し、現物は買いっ放しゆえ、ボディーブローのごとくジワリと効くものだ。結局、中国語でいうところの“下方支援”買いが相場の底値圏を形成する。

 さて、以上が足元の現場を見る“虫の目”とすれば、マーケットの潮流を見極める“魚の目”、更に大局観で俯瞰する“鳥の目”で見れば、中国のバブルは弾けるのか?

 筆者が上海、北京、広州を回った体感では、外から見ている人たちが想像するような“バブル破たん”はないと確信した。特に欧米の市場関係者が恐れるリスクシナリオは「利上げがバブル崩壊の引き金を引く」という展開なのだが、政治の街・北京にいると、そこまで強い引き締めは党のトップたちが許容しないことを実感するのだ。

 党首脳部が最も嫌うシナリオは、失業から生じる人心不安定=暴動。もちろん、食料品価格上昇で庶民生活に不満が充満しているのだが、失業の痛みの方がより強く感じられるものだ。そこで党の経済政策としては、引き締め過ぎるバイアスはかかりにくい。

国営企業も党も過度の利上げを容認しない

 さらに利上げの痛みをまっ先に感じるのが他ならぬ国営企業である。経済成長推進の国策の下でカネを借りまくったからだ。彼らは地方政府と癒着している不動産ディベロッパーを筆頭に、党を通じて金利引き締め論に圧力をかけている。利上げはやむを得ないが、ほどほどに、ということだろう。

 党サイドの事情も無視できない。温家宝首相の任期はあと2年。そこで2011年は様々な合併症を誘発しそうな強い引き締めは避け、問題は先送りという雰囲気が感じられるのだ。

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