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米中の通貨戦争はどうなる?

中国の今、人民元の将来[6]

  • 豊島 逸夫

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2011年8月29日(月)

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「日本の軍艦が中国領海内に侵入し、中国の漁船に体当たりして引き返していった」。毎月の中国出張のたびに会う若いスタッフたちは、この“大本営発表情報”を信じて疑わない。

 他に情報がないのだから当然で、この壁を越えるのは容易ではないと感じている。彼らが件の流出ビデオを見ても“正当な防衛行為”と反論するであろう。

 そして米国に関しては「プラザ合意で円高攻勢をかけ日本経済をバブルに沈めたが、今や我が国に人民元高攻勢をかけつつある。しかし日本と同じ轍は踏まない」と語る。

 中国では、そのものずばり『通貨戦争』というタイトルの本が100万部を越えるベストセラーにもなったほど、国内の関心は高い。その米中通貨戦争の構図は、米国は中国にインフレを輸出しているのだから、中国は米国に失業を輸出して対抗するというもの。しかしこの経済戦争は虚しい。結末は“両者負け”と決まっているからだ。通貨戦争に勝者はない。

 2010年11月3日の米国FOMC(連邦公開市場委員会:米国の政策金利を決定する)が決めた6000億ドルのQE2(第二次量的緩和)も、中国人には第二波のドルばら撒き作戦と映る。ドル安で人民元高を誘導しようとしているというわけだ。

中国が米国の量的緩和に憤る理由

 バーナンキFRB議長が「デフレ対策にはヘリコプターからドル札をばら撒けば良い」と語った話は、中国でもネット経由で広まっており、ヘリコプター・ベンの侵入を何としても水際で阻止する構えだ。

(イラスト:香川かづあき)

 中国にしてみれば「米国発の金融危機の後遺症から脱却するため、バーナンキは上流のFRBダムから大量の流動性を放流している。この鉄砲水は株畑、商品畑に流入し、さらに下流の新興国や資源国を襲いつつある。米国の都合で勝手に放流されて流域の住民はたまったものではない」ということになる。

 量的緩和マネーの土石流は国内バブルを招き、かつドルの大量発行でその価値は希薄化。外為市場ではドル売りが加速して人民元にはさらに買い圧力が強まる。だから中国人は「QE2は通貨の世界での宣戦布告だ」と憤る。

 対して米国の筆者の友人たちは「とんでもない! そもそも中国は人民元を異常に安く誘導して我が国に中国製品の安売り攻勢をかけ、結果的に米国内の雇用を奪って失業も同時に輸出しているではないか。最初に仕掛けたのは中国の方だ。もっと中国人民が消費を増やし、米国製品を買って輸入してくれれば、ドルが大量に中国国内に流入することもなかったはずだ」と口を揃える。

 とは言うものの、米国にも中国にもお互い様という弱みはある。中国は、貯め込んだ外貨準備2兆 6000億ドルの多くを米国債で運用せざるを得ない。米国が中国の巨額の外貨準備を人質に取る一方、中国はいざとなれば米国債売却作戦も厭わずと、米国の借金証文を担保に押さえているわけだ。

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