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健康増進のためポテチやハンバーガーへの課税を検討

肥満、高血圧、糖尿を予防して健康寿命延長を目指す

2011年8月3日(水)

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 日本人が考える韓国人のイメージは「とにかく酒が強い」「辛い物が好き」のようだ。韓国に出張した経験を持つ日本人男性は、必ずと言っていいほど、「韓国人に酒で殺されかけた」話をする。

 「日本からお客さんが来た」ということで、ビールにウィスキーを混ぜた「爆弾酒」や、緑色の瓶に入った焼酎を延々と飲むのだという。さらに「本場の味をみてほしい」とマッコリに移る。「それなのに翌日、韓国人はみんな何ともない顔で朝8時の会議に参加していた。自分は死ぬかと思った」といった話を、何十人もの人が楽しそうに筆者に告白してくれた。

 言われてみれば、韓国人は酒を飲むのも、勧めるのも大好きかもしれない。それに、唐辛子がたくさん入った辛くて刺激的な料理を、酒と一緒に食べる。そのせいか、高血圧の人が多い。

 国民健康保険を担当している健康保険審査評価院の調査によると、韓国の高血圧患者は、2008年から2009年の1年間に、590万人から620万人へと5%ほど増えた。人口は約5000万人なので、国民の12%が高血圧で病院に通っていることになる。高血圧患者が支払う診療費も、2008年には2兆4000億ウォン(約1930億円)だったものが、2009年には2兆6000億ウォン(約2150億円)へと8%ほど増加した。

 健康保険審査評価院は、高血圧にならないための健康的な生活を国民に呼びかけている。2009年に高血圧で入院した人が、OECD平均の2倍以上――15歳以上人口の10万人当たり191件――に達したからだ。呼びかけの内容は、例えば酒・たばこをやめる、肉食を減らす、野菜と果物をたくさん食べるといったものである。

 高血圧患者は、心筋梗塞や脳卒中といった合併症によって死亡することが多いため、血圧を下げる薬をずっと服用しないといけない。これには当然、コストがかかる。健康保険審査評価院は、国民健康保険の財政を建て直すためにも高血圧患者を減らす必要があるとしている。

健康増進のためポテトチップスやハンバーガーに課税

 そんな中、国民の健康のためにポテトチップスやハンバーガーに課税する話が持ち上がっている。

 保健福祉部の傘下にある保健医療未来委員会は7月6日、「酒、炭酸飲料、スナック菓子などカロリーが高いにもかかわらず栄養はないジャンクフードに健康増進負担金を賦課することを検討している」と発表した。さらに、清涼飲料水の自動販売機の小学校への設置を禁止する、ファーストフードの広告をテレビで放映する時間帯を規制する、という方案も検討しているという。

 韓国は1995年、健康増進法を制定し、たばこに対して健康増進負担金を課した。同法は、国民の栄養状態を把握し、国民が健康な生活を実践できるよう支援することが目的。同負担金は、たばこ1箱あたり354ウォン(約29円、たばこの価格は1箱約250~270円ほど)だ。

 この負担金を財源にして、自治体ごとに置かれている健康生活実践委員会国民健康増進基金を運用している。同委員会の主な役割は慢性疾患を予防すること。基金を使って肥満、高血圧、糖尿を予防するための教育や健康相談、禁煙教室などを運営している。また農漁村の高齢者、低所得層を対象にした無料健康診療や1対1の健康管理サービも実施している。保健医療未来委員会は、こうした健康サービスを拡大するために、たばこだけでなく、酒やスナック菓子、炭酸飲料にも健康増進負担金を課すべきだとして検討し始めたわけである。

 もともと保健医療未来委員会は、持続可能な医療保障をテーマに、保健医療体制の課題を議論するために発足した諮問委員会だ。2011年4月から8月まで月1回会議を行っている。大学教授、担当公務員、医師会、薬師会、市民団体がメンバーとして参加している。政府が運営する国民健康保険と民間保険の役割分担、医療人材の養成方案、医療保険の効率化方案、医療機器や医療資源の効率化などを議論してきた。

 保健医療未来委員会は以下の目標を設定している――2020年までに韓国人の健康寿命(病気をしないで健康な状態でいられる寿命)を75歳にし、人口に占める肥満の割合を男性は35%未満、女性は26%未満にする。国民の医療費増加や健康保険財政の悪化は高血圧・糖尿といった慢性疾患が原因であるため、これらの原因となるたばこ、酒類、ジャンクフードの消費を減らすことを目指している。これらの品目以外にも、負担金を課すべき品目――高カロリーで健康に良くない食品――があればどんどん追加していくという。増税によってこれらの品目の値段が上がれば消費が減ると期待している。

 保健医療未来委員会は、健康増進負担金を国民に課す論拠として、米ニューヨーク州とデンマークの事例を挙げている。ニューヨーク州では炭酸飲料と果汁70%以下の砂糖添加飲料に18%の税金を課している、デンマークはアイスクリーム、チョコレート、炭酸飲料に25%の税金を課したところ肥満が減少した。またハンガリーでも、国民の肥満を防止するために、2011年9月から「ポテトチップス税」――カロリーの高いお菓子、炭酸飲料にかける税金――を導入するという。

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「健康増進のためポテチやハンバーガーへの課税を検討」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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