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「専門性を身につけ、大陸の解放に備える」

大陸の学生が香港を目指す理由

2011年8月4日(木)

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 香港で執筆した前回コラムでは、中国大陸から多くの学生が香港に赴き、真のジャーナリズムを追及すべく奔走している状況について述べた。彼ら・彼女らの瞳は輝いていたし、充実した生活しているようだった。

 現在、拠点である北京に久しぶりに戻り、本原稿を執筆している。

 香港滞在中のある夜、筆者は香港大学、香港中文大学、香港科技大学などの大学生、十数人と一緒に遊覧船に乗り込み、香港の美しい夜景を楽しんだ。筆者が話すエピソードや見聞に、筆者を囲んだ後輩たちは興味津々だった。香港出身者と大陸出身者がちょうど半々くらい。ジャーナリズム学を専攻している学生が大半を占めていた。

 筆者は質題を投げかけた。
 「大陸から香港の大学に来た学生は、ほとんどがジャーナリズムを専攻している感じだね?」

 大陸からの学生たちが口を揃えて答えた。
 「文系ではジャーナリズムが多いですね。やっぱり香港に来たからには言論の自由を享受したいし、大陸では学べないものを身につけたいですから」

 香港の学生たちが違う視点から現状認識を語った。
 「香港では政治学も人気です。しかし大陸からの学生は少ない。というか、ほとんど居ないですね。政治は敏感な分野なのかもしれません。共産党のプリンシプルとも矛盾してしまうし」
 「理工系、特に大学院レベルでは、ほとんどが大陸からの学生ですよ。彼らはとても聡明で、英語も論文もうまい。実験のテクニックもずば抜けている。香港の学生では太刀打ちできません」

 学生たちは元気いっぱいだ。エネルギーで満ちあふれていた。大陸出身であれ香港出身であれ、和気あいあいとしている。切磋琢磨している姿が瑞々しかった。

香港で7年暮らせば永住権が取得できる

 筆者が再び問題を提起した。
 「ところでさ、大陸の学生は卒業後どういう進路へ進むのかな? やっぱり香港に残る学生がほとんどなの? 大陸へ戻るヒトもいるの?」

 香港の学生たちがニヤニヤし始めた。大陸の学生は思いを込めるようにして、心境を明らかにしてくれた。
 「一部の例外を除いてほとんどが香港に残りますよ。真のジャーナリズムを追求したいからという理由だけではありません。もっと核心的な目的がある。ライセンスのためです。合計7年間この地で暮らせば、香港永住権が獲得できるのです」

 なるほど、予想通りだった。
 近年、中国大陸内部における教育、医療、社会福祉、戸籍などあらゆる制度に不満を持つ国民の間で「移民潮(ブーム)」が起こっている。高級官僚の子弟、お金持ち、若者エリートなどが中心である。「香港は中国人にとって、最も手軽で、可能性の高い『移民先』となっているんです」。大陸からの男子学生が得意げに語った。

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「「専門性を身につけ、大陸の解放に備える」」の著者

加藤 嘉一

加藤 嘉一(かとう・よしかず)

国際コラムニスト

現在米ハーバード大学アジアセンターフェロー。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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