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伝統のシジャン(市場)を守る取り組みのあれこれ

消費者の目は財閥経営の「マート」に向かう

2011年8月17日(水)

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 日本に行ったことがある韓国人、中でも留学やワーキングホリデーなどで長期滞在したことのある韓国人のブログやTwitterを見ると、「日本の商店街がとても印象に残った」というコメントが多い。

 韓国ではソウルでも田舎でも、財閥グループが経営する「マート」と呼ばれる大型ディスカウントショップばかりが目立つようになった。商店街と呼べるようなシジャン(市場)はだんだん見かけなくなった。これに対して日本では、東京でも、小さいお店が密集する商店街がありびっくりしたというのだ。地方ではシャッターを閉ざしたままの商店街が増えているというが、スーパーもコンビニも多い東京で、まだ商店街が健在であることにすごいと思ってしまう。

大型ディスカウントショップの「マート」が人気を集める

 韓国にも南大門市場や東大門市場のように24時間活気あふれるシジャン(市場)がある。韓国ドラマでも、市場で値切り交渉をする場面がよく登場する。このため、スーパーより市場で買い物をするイメージがあるようだ。でも最近の市場は庶民の台所というより観光名所――たまに遊びに行く場所――になりつつある。筆者の場合も、市場よりマートかインターネットスーパーで買い物することの方が多い。市場ごとに豚足、ユッケ、トッポギなど名物の屋台料理があるので、それが目当てでたまに行くぐらいである。

 市場は値段が安くて、おまけがあって、楽しい場所ではある。だが、駐車場が狭い、夏は暑く冬は寒い。定価がなく客を見て値段をいう、返品や交換が難しい、早く買わずあれこれ選んだりすると怒られる、など不愉快な思いをすることがある。マートだと値段は安くないが親切で、品揃えが豊富で、夜遅くまで買い物ができる。マートの中には書店やベーカリー、薬局、ペットショップ、メガネ専門店、スポーツ用品店、園芸品店などもある。家族みんなで出かけて、それぞれ買い物を楽しむこともできる。

 海外からの観光客の間でも、市場よりマートが人気を集めているようだ。日本語が通じるし、値段がちゃんと書いてあるからだ。特にソウル駅にあるロッテマートは、韓国の旅行業界では「聖地」と呼ばれるほど観光客で賑わっている。ここは日本語が話せるガイドさんが常駐していて、店内の案内も日本語で書いている。会計を済ませたらすぐ、国際宅配で荷物を自宅まで郵送することもできる。

 ソウル駅のロッテマートは5月末に、韓国の動画サイトで話題になった。日本人女性が、リアルブラウニーという韓国のお菓子をカート3つ分も買い占める風景を撮影した動画が、Youtubeに掲載されたのだ。タイトルは「Japanese girls at the Korean mall!」。撮影する男性の声も録音されている。「あれは何を買っているんだ?」「デバク!(すごい!)」を連発していた。

 キムチやのりではなく韓国のお菓子が日本人観光客のお土産として大量に買われていること、日本人がお土産を買いにマートを利用していることを世に知らせるきっかけになった。ロッテマートによると、ソウル駅店の日本人利用客は月平均4万人ほどで、全利用客の10%を占めているという。龍山駅のEマートでも、アクセスが便利なせいか日本人観光客をよくみかけるようになった。

 韓国で店舗数が多いマートは、「ロッテマート」「Eマート」「ホームプラス」など。この3つは、どれも財閥グループが経営している。ロッテマートはロッテグループ。Eマートはサムスンオーナー一族の従兄弟が代表取締役を務める流通財閥グループ。ホームプラスはサムスンと英Tescoの合弁だ。いずれも、全国どこにでも支店があり、ネットで注文すればその日のうちに配達してくれる。24時間営業の店舗もあり、いつでも食材や家電、衣類などを買うことができる。マートごとにPB(プライベートブランド)商品があり、他社製の同様の品物より安く買える。

人気の経済評論家がマートの財閥経営を攻撃

 ところが、この便利なマートに反感を持つ人が徐々に増えている。「財閥が経営するマートが増えれば増えるほど、庶民の暮らしは貧しくなり、韓国の経済は悪くなるしかない」と主張する経済評論家が登場した。

コメント4件コメント/レビュー

●日本の地方の商店街の衰退と同じように見えるが、環境がまるで違うので一緒に議論する実益が無い。評価が低かったのは、最後の結論部分が??だったからでは。●韓国を知っている人には当たり前のことですけど、個人商工業者の社会的地位が低いため「老舗」が生まれないこと(両班思想)、経済が同族会社的財閥の寡占状態であることなど、日本に無い特有の事情があります。だから韓国には韓国に適した対策を、日本では日本に適した対策が必要なので、一緒にすることは明らかに無益有害でしょう。また、著者は、生じている問題を挙げるだけで、韓国内でも当然に認識されているこういった問題にすら触れておらず、深みのある分析が行なわれていないことが指摘したいと思います。(2011/08/17)

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「伝統のシジャン(市場)を守る取り組みのあれこれ」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

●日本の地方の商店街の衰退と同じように見えるが、環境がまるで違うので一緒に議論する実益が無い。評価が低かったのは、最後の結論部分が??だったからでは。●韓国を知っている人には当たり前のことですけど、個人商工業者の社会的地位が低いため「老舗」が生まれないこと(両班思想)、経済が同族会社的財閥の寡占状態であることなど、日本に無い特有の事情があります。だから韓国には韓国に適した対策を、日本では日本に適した対策が必要なので、一緒にすることは明らかに無益有害でしょう。また、著者は、生じている問題を挙げるだけで、韓国内でも当然に認識されているこういった問題にすら触れておらず、深みのある分析が行なわれていないことが指摘したいと思います。(2011/08/17)

アイデアを出すことはいいことだと思う。日本は自分で考えなくなったから停滞するわな。 批判評価が出るような記事とは思わないが、それにしても評価が低いのは、韓国批判の流れで、見当違いの意見もあるのだろうか。もしそうなら、このウェブでもかと、悲しいこと。(2011/08/17)

某マスコミの記事で、大形スーパーの進出によって閉鎖した商店街に、大手スパー系のコンビニ、小型商店が出店し始めおり、商店街周辺に居住する高齢者、老人、移動手段を持たない人達を対象にしているそうです。なぜ、大形店出店時にそのような考え方で販売者としての発想が出来なかったのか。多くの商店と共存できる方法があったのでは・・・と考えさせられる。だが、大手スーパーの経営者、経営企画を預かる人達には、全て想定内の店舗展開なのか・・とも考えるのは、疑い深くなった私の杞憂だろうか。(2011/08/17)

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