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英国暴動、実態は「荒くれフーリガン」

政治不信より深刻なのは「英国的価値観の崩壊」

2011年8月19日(金)

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 ロンドン北部の暴動を発端に、バーミンガムやマンチェスターなど英イングランド各地にまで広がった若者による略奪行為は、英国全土を混乱に陥れた。

 デービッド・キャメロン首相は休暇を切り上げてロンドンに戻り、内務相はイングランドの全警官に休暇を返上して任務にあたるよう命ずるなど、厳戒態勢に入っている。野党は「警察予算の削減を含む大規模な財政支出削減策は失敗だった」と連立政権を攻撃し、政治問題にまで発展し始めた。

 暴動の経緯を簡単に振り返っておこう。

 8月4日、ロンドン北部のトッテナムで、銃を所持していた1人の黒人男性(29歳)が警官に射殺された。この男性の死に抗議するため、8月6日、トッテナム警察署前で、男性の家族を含む数百人規模のデモが繰り広げられた。この男性はギャング団の一味として麻薬取引に関与していたことを疑われたが、家族は否定している。

 この時点では、抗議運動は平和的に展開されていた。だが、その夜、一部のデモ隊が暴徒化して警官と衝突。店舗などに火が放たれ、略奪行為が始まった。

 暴動を報じるテレビ映像と、携帯電話やツイッターなどのソーシャルネットワークを介して、模倣犯がロンドン市内の各地や、バーミンガム、マンチェスターなど地方都市に広がり、連夜の略奪行為へと発展した。

逮捕者1500人以上の大略奪

 8月9日、政府はロンドンに配備する警官の数を6000人から1万6000人へと大幅に増員。そして翌10日、キャメロン首相は、歴史的に紛争や暴動が多発してきた北アイルランド以外では初めてとなる、暴動鎮圧用放水銃の使用を許可した。そこまできて、暴動はようやく沈静化した。

 1500人以上が逮捕され、略奪から店舗を守ろうとしたアジア系の若者3人など、死者もでた。ロンドン北部にあるソニーの倉庫も炎上。略奪後に火を放たれたと見られている。邦人女性1人も暴徒に襲われて怪我をし、所持品を奪われた。

 なぜ、暴動がこれほど大規模に勃発したのか――。

 「今回の暴動に最も近い現象は、フーリガンだ」
 欧州改革センターのチーフエコノミスト、サイモン・ティルフォード氏はそう言い切る。フーリガンとは過激なサッカーファンのこと。試合よりも暴れることを目的とし、機会に乗じて暴力や破壊行為を繰り返す。

 今回の暴動は、1人の黒人が警官に射殺されたという機会に乗じ、フーリガンのように暴力と略奪だけを目的にした。英テレグラフ紙は、「暴徒の動機は、単なる強欲だ」と断言。英ガーディアン紙も「模倣犯は、盗みを働く機会に乗じているだけ」と言い切る。

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「英国暴動、実態は「荒くれフーリガン」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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