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経済不安で退職できない高齢者

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2011年8月19日(金)

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Chris Farrell(Bloomberg Businessweek経済担当寄稿エディター)
米国時間2011年8月4日更新 Fragile Economy Keeps Older Workers From Retirement

 米国の50代や60代前半の人々は、四半期ごとに受け取る401k(確定拠出年金)の運用報告書を見ると、将来への不安にさいなまれる。運用成績が低迷しているのだ。この10年間における株式投資収益は極めて悪く、市場は弱気だ。8月4日も市場は荒れ、米スタンダード・アンド・プアーズ500種株価指数(S&P500)は急落し、4月末の最高値から12%下落した。2年物の米財務省証券(米国債)の利回りは史上最低水準に低下し、1カ月物の米国債利回りはマイナス水準まで落ち込んでいる。

 こうした経済状況を目の当たりにして、不安定な雇用環境にある高齢労働者は、まだ退職せずに働き続ける必要があると感じている。

 米コーネル大学のリチャード・V・バークハウザー教授(経済学・政策分析論)は「将来の見通しがあまりにも不確実だ。退職時期を先送りする以外に、様々な想定外のリスクから身を守る手段がない」と語る。

 米経済の2011年上半期の成長率は年率換算で0.8%にとどまった。投資家は景気の二番底を懸念し、再び景気後退(リセッション)に陥る可能性が高いとの認識を強めているようだ。米議会は8月第1週、連邦債務の上限引き上げについて合意したが、これも景気の先行き不安を増幅させている。議会は年末までに1兆5000億ドル(約120兆円)の財政赤字削減に取り組まねばならず、景気回復はおぼつかない状況だ。

「退職年齢が年々下がる時代は終わりを告げた」

 従来の長期トレンドでは、高齢者の平均退職年齢は年々低下していた。退職年齢の低下は1880年代に始まり、第二次世界大戦後に加速した。1950年には70歳だった男性の平均退職年齢は、1985年には62歳に下がった。

 しかし、こうしたトレンドは一変した。1980年中盤以降、男女とも高齢になっても働き続ける人が増えている。65歳男性の労働参加率はこの四半世紀に43%増えた。65歳以上の女性の労働参加率は同期間に2倍近く増え、2011年6月現在、13.4%に達している。

 従来なら退職していた年齢であっても仕事を継続できるようになり、労働者はより長期間にわたって貯蓄を積み立てられるようになった。以前の同年代と比べて、健康で、高度な教育を受けている人が多い。さらに、製造現場ではなく、ハイテク機器が普及した環境で働ける現在、高齢者にとって勤労の負担は以前よりも軽くなっている。

 働き続けることで、社会保障年金の支給額を増やせる点も、経済的なメリットとして挙げられる。完全に仕事を辞める年齢を66歳に先延ばしすると、62歳で退職した場合と比べて年金受給額を3分の1以上増やせる。さらに受給開始年齢を70歳まで遅らせれば、年金受給額は少なくとも75%増となる。

 米ボストン大学(BC)のジョセフ・クイン教授(経済学)は「退職年齢が年々下がる時代は終わりを告げた。再び元に戻ることはない」と語る。

米経済の不振が高齢者の雇用を阻む

 こうした変化は好ましいようにも思えるが、米経済の雇用創出機能が不調に陥っており、高齢者の退職時期の先延ばしを阻んでいる。米経済は、若年層の雇用も高齢層の雇用も、あまり生み出していない。先般の大不況に陥る以前、2000年代の景気拡大期でも、民間部門の雇用増は過去半世紀で最も低い水準にあった。米民間シンクタンク、経済政策研究所(EPI)によれば、この時期の雇用増加率は年率0.6%にとどまり、1990年代の年率1.8%や80年代の年率2%を下回っていた。景気後退が終わったと公式に宣言されてから2年4カ月が過ぎた今も雇用情勢は悪く、米国の失業率は9.2%に高止まりしている。

 仕事が見つかっても、大半はあまり給与が高くない。若者や中年の労働者と違い、高齢労働者は長く勤めて、昇進や昇給を期待するのも難しい。

コメント2件コメント/レビュー

おそらく、突き詰めていけば「資本主義は経年劣化と共に資産主義へと移行する」という問題があると思う。リスクをとった代償、成功の報酬、いずれであっても「資本主義の目的は結局お金が欲しい」ところからきますし、欲望は欲望を生んで使うよりも遥かに多いお金をもっと欲しがるようになります。おそらくはそのリセット役を戦争が行っていたのではないでしょうか。先進国で戦争が絶えて久しく、そうこうしてるうちに先行して成功した人たちの資産は今尚膨らんでいってますから。(2011/08/19)

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おそらく、突き詰めていけば「資本主義は経年劣化と共に資産主義へと移行する」という問題があると思う。リスクをとった代償、成功の報酬、いずれであっても「資本主義の目的は結局お金が欲しい」ところからきますし、欲望は欲望を生んで使うよりも遥かに多いお金をもっと欲しがるようになります。おそらくはそのリセット役を戦争が行っていたのではないでしょうか。先進国で戦争が絶えて久しく、そうこうしてるうちに先行して成功した人たちの資産は今尚膨らんでいってますから。(2011/08/19)

競争至上社会は、当然「不安」を社会に振りまくから(負けたものは口を出すな!むしろいなくなれ!という社会)、当然このような現象は発生する。イギリスでは社会的弱者の不満の暴発は若者から発生したが、そのうち高齢者が暴れだすかもね。銃社会の米国では武器があれば暴力行為は行える。老若は関係ない。(2011/08/19)

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