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インドの自動車工場でストライキ続発

契約従業員の憤りが新たな労働運動の芽に

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2011年8月18日(木)

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Double standards

 カマル・シン氏(仮名)は、スズキのインド四輪子会社マルチ・スズキのマネサール工場(北部ハリヤナ州)で働く契約労働者だ。彼はこの2年間、同工場の車台組み立てラインで働いてきた。1カ月の賃金は7200ルピー(約1万2600円)だ。ところが同じ組み立てラインで同じ仕事をしているマルチの正社員、プラビン・クマール氏(仮名)の月給は1万8000ルピー(約3万1500円)だ。

 ハリヤナ州ダルヘラ近郊のオマックス・オートの工場でも、同様のことが起きている。19年間働いている契約労働者のモヒット・プラサド氏(仮名)の賃金が月に5900ルピー(約1万円)なのに対し、同氏と同じ仕事をしている正社員のサティヤ・チャギ氏(仮名)の月給は1万2000ルピー(約2万1000円)だ。同社はインド二輪最大手ヒーロー・ホンダ向けに部品を製造している。

契約従業員の待遇改善がストのテーマに

 今年6月、マルチ・スズキのマネサール工場では、13日間に及ぶストライキが起きた。ストライキの最大の争点は、同工場労働者が独自の労働組合設立を強く要求したことだ。同工場――2004~05年に操業を開始し、マルチの主要モデルすべてを月に約10万台生産している――に独立した労組はなかった。同社のグルガオン工場に労組があるが、マネサール工場の従業員たちはこれを経営側の“御用組合”として退け、独自の労組結成を要求した。

 結局、経営側が第2労組を認めたことでにらみ合いは終了した。今回のストにより、マネサール工場の6月の生産台数は15%減、50億ルピー(約88億円)の収入を失った。

 実は今回のストには、従業員側の要求リストには載っていないもう一つのテーマがあった。仲介業者を通じて雇われている契約労働者に対する差別的な待遇の改善だ。契約労働者は今回のストを全面的に支持したが、皮肉にも、提案された新労組に正式に加入することはできない。契約労働者の雇用主はマルチではなく、仲介業者だからだ。マルチ幹部は、マネサールに建設予定の新工場2つで、彼らを徐々に正社員化していくつもりだと述べている。

 しかし、契約労働者らはまだ懐疑的だ。同工場の契約従業員の一人、ロヒット・ヴァーマ氏は言う。「我々は労組設立を支持したが、労使間の合意事項の恩恵を享受できるのは正社員だけだ。第2労組ができようができまいが、我々の置かれた状況は変わるまい」。

 マネサール工場の契約従業員の数は、数字の出所によって異なる。経営側によれば、契約社員は全従業員3000人のうちの約40%を占めている。だが、本誌が独自に行った調査では、契約従業員及び臨時雇いの割合は約70%に達する。正社員は、契約従業員よりも高い給与に加えて、契約従業員は利用できない多くの福利厚生制度――傷病休暇や有給休暇など――の恩恵にあずかっている。契約従業員は仲介業者に雇われているため、仲介業者が適切と考える福利厚生制度のみが提供される。

 仲介業者はどこも、契約従業員に支払われる賃金の8%を標準手数料として受け取る。しかも、契約従業員は月給制ではなく日雇いだ。本誌の調査によると、契約従業員の就業日数は仕事によって15~25日と様々だ。仲介業者の内部関係者によると、非熟練契約従業員の1カ月の平均総賃金は約3600ルピー(約6300円)だという。この額はハリヤナ州労働省が定める1カ月の最低賃金4502ルピー(約7900円)を大きく下回る。

契約従業員を雇うことで労働コストを抑える

 こうした状況はマルチに限ったことではない。デリー首都圏周辺の工業団地にある自動車・部品メーカーのどの工場でも、契約労働者は似たような扱いを受けている。ヒーロー・ホンダやリコ・オート、オマックス・オート、サンビーム・オート、エキサイド・バッテリーズなど多くの企業で近年ストライキが発生している。その多くは、この契約労働者の待遇が最大の争点になっている。

 ダルヘラのリコ・オートのマネジングディレクター、アービンド・カプール氏は、「業績の良い時と悪い時があるため、全従業員を1年間通して雇う余裕がない」と語る。同社の従業員数は契約従業員を含めて約3000人、マルチ向けにギアと油ポンプ、二輪メーカー向けにギアシフトドラムを製造している。

 同社では2010年10月に45日間に及ぶストライキが発生した。労組側の要求は、契約従業員の採用を一定限度に留め、同一賃金を導入することだった。だがカプール氏は、「市場における競争は非常に激しいため、契約従業員を使うことでコスト管理ができる」のだと言う。

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