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現地リポ:「中国のドバイ」はゴーストタウン

100万人都市目指すオルドスは人影もまばら

2011年8月19日(金)

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 中国語で「ゴーストタウン」を“鬼城”と言う。筆者は7月下旬に中国へ出張し、今や“鬼城”として世界的に名高い内モンゴル自治区の“顎爾多斯(オルドス)市”を視察してきた。

 オルドス市は内蒙古自治区の南西部にあり、区都の“呼和浩都(フフホト)市”から南西へ直線距離で170キロほどに位置し、人口は194万人(2010年11月1日時点の国勢調査統計)。「オルドス」とはモンゴル語で「宮殿が多い地」を意味し、中国の重要文化財に指定されているモンゴル帝国「元」の初代皇帝「チンギス・カン」を祭る「チンギス・カン陵」がある。<注1> そのオルドスが宮殿ならぬ、空きビルや無人の住宅が多い“鬼城(ゴーストタウン)”として世界的に有名になっているのである。

<注1>チンギス・カン(1162~1227年)の墓は所在不明であり、オルドスにあるチンギス・カン陵はその子孫が伝えたチンギス・カンの遺品を安置している所。同陵では今なおチンギス・カンの部下の子孫が祭祈を行っている。

大災害映画で生き残った生存者のよう

カンバシ新区の中心「オルドス市党政総合ビル」
党政総合ビルに面した大通り

 米誌『タイム』は2010年4月5日号に掲載した「中国の爆走建築ブームの中で」という記事の中で、内モンゴル自治区オルドス市の行政地区“康巴什(カンバシ)新区”を「最も殺風景なゴーストタウン」と報じた。記事は、「オルドス市のショーウィンドーとして100万都市を目指して建設されたカンバシ新区には、高層ビル、行政ビル、博物館、劇場、スポーツセンターなどが建てられ、中産階級用の住宅群が次々と建設されているが、大通りに人影はまばらで、時たま出会う通行人は大災害映画の辛うじて生き残った生存者のようだ」と述べて、13.4億人の人口大国「中国」におけるカンバシ新区の特異性を強調した。

 この記事によってオルドス市およびカンバシ新区は世界に知れ渡り、世界のメディアの注目を浴び、それが中国メディアの関心を呼び、中国国内でも知られることになったのである。内モンゴル自治区のゴビ砂漠に蜃気楼にように出現した都市「カンバシ新区」、それは『タイム』誌の報道の通りなのか、その実態を見聞しようと、筆者はオルドス市を訪れたのである。

 カンバシ新区の中心には、「オルドス市人民代表大会」、「オルドス市政治協商会議」、そして「オルドス市政府」と3つの行政ビルが隣接してそそり立つ「党政総合ビル」がある。その市政府の“招商局(企業誘致局)”を訪ねて入手したオルドス市の投資ガイドにはオルドス市の概要が次のように紹介されている:

【1】オルドス市は“東勝区”と7つの旗(「旗」は行政区分)から成り、13の工業団地を有する。資源が豊富で、“羊(カシミア)、煤(石炭)、土(カオリン=陶土)、気(天然ガス)、風(風力発電)、光(太陽光発電)”と総称することができる。<注2>

<注2>前半の“羊煤土気”は“揚眉吐気”という熟語と同じ発音で、後者の意味するところは長らく貧困にあえいでいたが豊富な資源のおかげで今や地元政府も地元民も「心楽しく意気盛ん」ということになる。

【2】埋蔵されている鉱物資源は50種類以上。石炭の予想埋蔵量は1兆トン、そのうちの確認埋蔵量は4860億トンで、内モンゴル自治区の2分の1、全国の6分の1を占める。これ以外の鉱物資源の埋蔵量は、天然ソーダ6000万トン、石膏35億トン、硫酸ナトリウム70億トン、カオリン65億トン、珪砂5000万トン、食塩1000万トンなどであり、天然ガスの確認埋蔵量は2兆3000億立方メートルで全国の3分の1を占める。

【3】平均風速は高度50メートルで毎秒8.1メートル、70メートルで毎秒8.5メートルであり、四季を通じて風力発電が可能。また、砂漠地帯であるため日照時間は十分で太陽光発電に最適。

 オルドスは特産の山羊から採れる「アルパシ・カシミア」の産地として名高い。地元の蒙古族はかつて山羊を放牧して生計を立てていたが、石炭が産出されたのに加えて、山羊の放牧による草原破壊が黄砂の原因となる砂嵐を多発させるとして都市周辺の農牧民には放牧禁止が打ち出された。このため、農牧民には地元政府による住宅の供給と生活補助金の支給が行われ、その定住化が進められている。

 そのオルドス市の中心地として建設されたのが東勝区であり、2001年に国務院によりオルドス市の設立が認可されたのと同時に東勝区が設置された。統計によれば、2010年の東勝区の戸籍人口総数は約26万人に過ぎないが、流動人口を含む常住人口は58万人となっている。

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「現地リポ:「中国のドバイ」はゴーストタウン」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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