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フジテレビ、韓流偏重抗議デモに思う

日中韓のパブリック・ディプロマシーの実力

2011年8月24日(水)

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 フジテレビが意図的に「韓流」番組を多く流し、偏重がひどいとした抗議デモが21日、フジテレビ本社がある東京・お台場であった。6000~8000人ほど集まったという。8月7日にも2500人規模のデモがあった。

 私はあまりテレビを見ない方で、フジテレビがそんなにK-POPや韓国スターばかりを持ち上げているとは気に留めなかったが、デモが起きると言うことは、そう感じている人がやはり少なからずいるということだろう。

 もっとも、フジテレビの方は、この程度のデモは歯牙にもかけていないらしく、抗議文書の受け取りも拒否している。大多数の日本人はやはり、韓流好きで、フジテレビを支持してくれるという自信があるのかもしれない。ちなみに、私の親友の母君も韓流ドラマ好きで、今日は韓流ドラマがあるから、という理由で、友人の誘いを断ったり、用事を早く切り上げて帰ったりすることもあるという。韓流ブームを最初に巻き起こしたのはNHKのBS2で放送された韓国ドラマ「冬のソナタ」だが、その時以来の韓流ファンという。

「冬のソナタ」ブームの効用

 このNHKによる最初の韓流ブーム(2003年)の時、私は北京駐在記者だった。当時、北京のメディア研究者やメディア業界人たちが異口同音に主張したのは、「韓国がやったことを中国もできないか」ということだった。というのも、中国から見れば、あの韓流ブームは「パブリック・ディプロマシー(公共外交)戦略」の見事な成功例だからである。

 あの「冬のソナタブーム」で、日本人の対韓感情が劇的に改善されただけでなく、大きな経済効果を韓国にもたらしたことは、当時の中国メディア・宣伝当局関係者から見れば、相当の驚きだった。小泉純一郎元首相の靖国神社参拝問題の影響で日中関係が冷え込むなか、こうした一発逆転的の日本の対中世論変化を中国としてもできないのか、と誰もが考えていた。

 パブリック・ディプロマシーというのは文字通り、外交機関ではなく、パブリックのメディアや民間の機関、産業などを駆使して、文化・情報発信、留学などの教育、観光などの市民交流を通じて、直接相手外国市民に接触し、自国のプラスイメージを植え付け、相手外国市民の考え方を自国に有利なように変え、その世論の力を借りて相手政府の外交政策を考えさせてゆく手法である。最近では「ソフトパワー外交」とも言われている。

 元は社会主義国のプロパガンダ(政治宣伝)に対抗し、共産圏の民主化を推進するものとして、米国でかなり研究の歴史があると聞いている。誤解を恐れずにいえば、非常に洗練された“洗脳”と言っていいだろう。

そもそも国産コンテンツが貧弱では

 日本人が、原爆を落とした米国に対して「自由と民主の国」というイメージを持ち、かくも親近感を持っているのも、戦後のアメリカの「パブリック・ディプロマシー」効果と言っていいだろう。戦後の文化も何もかも焼け野原になった日本に、豊かで自由なアメリカのイメージを大量に送りこんだ。

 母に聞けば、銀幕の女優のファッションからアメリカン・ホームドラマに出てくる家電製品に至るまですべてが憧れだったという。私も小さい時に見たアニメの記憶は「トムとジェリー」や「ポパイ」とアメリカのアニメが多い。こういった幼少期から刷り込まれたイメージというのは、簡単には変わらない。

 中国では、こういった米国のパブリック・ディプロマシー戦略に抵抗するために、西側文化を廃頽(はいたい)的な有害文化とする国内プロパガンダを打ってきた。しかし、それでも抵抗できないので、「文化侵略」と呼んでハリウッド映画の輸入本数を制限するなどの政策を取った。だが、改革開放の流れのなかで、文化の流入は阻止しようとしてしきれるものではない。

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「フジテレビ、韓流偏重抗議デモに思う」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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