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いくらかかる? イスラエルとパレスチナの和平

難民の完全解決に850億ドル

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2011年8月26日(金)

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Elizabeth Dwoskin(Bloomberg Businessweekスタッフライター、ワシントン)
米国時間2011年8月11日更新「 Trying to Put a Price on Middle East Peace

 2002年7月、イスラエル人とパレスチナ人の小規模なエコノミスト団がフランス南部の美しい観光都市エクスアンプロバンスを訪れ、異例の会議を開催した。

 この当時、パレスチナ人の反イスラエル武装蜂起活動「第2次インティファーダ」が活発化していた。この南仏での会議の直前、イスラエルでは、パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが自爆テロを敢行した。場所は「過ぎ越しの祭」(ユダヤ人の3大祝節の1つ)を祝う食事会の会場。そこには250人が参加していた。

 これに対してイスラエルはパレスチナ過激派勢力が支配下に置く地域に対して軍事攻撃を強行し、数千人のパレスチナ人を犠牲にした。イスラエルとパレスチナの正式な外交ルートは途絶え、政治的な打開の道は閉ざされた。

 エクスアンプロバンスの会議に集まったエコノミストらは自分たちの取り組みが和平推進の手助けになると考えていた。彼らはイスラエルとパレスチナの和平の影響を経済的な数値で示し、両者が政治的な主義主張を抑え、和平がもたらす現実や実際のコストを冷静に分析するよう促そうとした。

 後に「エクス・グループ」と呼ばれるようになったこの検討会議のリーダーを務めたのは、ユダヤ人とパレスチナ人の2人のエコノミストだ。1人はイスラエルのベングリオン大学のリベラル派経済学者アーリー・アルノン教授。独ナチス政権のユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を生き延びた両親の間に生まれ、第3次中東戦争(六日戦争)で戦った経験を持つ。出身地であるイスラエルの中心都市エルサレムに長年住み続けている。

 もう1人はサエブ・バムヤ氏だ。イスラエルの都市テルアビブのアラブ人居住地ヤッファ地区出身のパレスチナ難民で、パレスチナ暫定自治政府で高官を務めた経験を持つ。2人とも、イスラエルが独立する前年の1947年に生まれている。

 会議の議論は、60年余り続いているパレスチナ人とイスラエル人の紛争が終結し、パレスチナの独立が実現する前提の下に始まった。会議では明確な回答が求められている多数の経済問題について検討した。例えば、100万人を超えるパレスチナ難民の移住コストや、2国間でどのような通商協定を締結するか、2分されたエルサレムは経済的にどのように機能するかといった問題だ。

 最初の会議から約10年がたった。エクス・グループは、十分な経済データが得られない、かつ、目まぐるしく変わる不安定な政治状況にもかかわらず、和平にかかるコストを見定める取り組みを徐々に進展させている。アルノン教授とバムヤ氏は2年ごとにエクス・グループで解決すべき新たな問題を選定し、少なくとも年2回は会合を開いて研究成果を検討している。

シリアに50万人、ヨルダンに200万人の難民

 国連が認定する500万人のパレスチナ難民をどうするかは、エクス・グループが取り組んだ問題の中でも極めて難しい案件だ。エクス・グループのメンバーらは経済的な分析と自らの感情を切り離すことに苦慮した。2006年の選挙でハマスが勝利する以前、パレスチナ自治政府の国民経済省高官を務めていたバムヤ氏は「ヤッファ出身のパレスチナ人として、故郷に帰ることをずっと夢見てきた。望郷の念で我を忘れれば『もはや妥協はできない』という意識に駆られてしまう。平和に代償はつきものだ。しかし、それに見合う正当な恩恵がもたらされる必要がある」と語る。

 エクス・グループは2年間の検討を経て、難民問題を全面的に解決するためには550億~850億ドル(約4兆2000億~6兆5000億円)という膨大な費用が必要であると結論づけた。同グループはこの費用を国連とイスラエル政府、パレスチナ独立政府の3者で分担し、米国など諸外国が資金援助する案を示している。同グループは、パレスチナ難民は1948年以前に所有していた土地の権利を放棄する対価として、イスラエル政府に合理的に請求できる金額は最大300億ドル(約2兆3000億円)に上ると算定した。60年前の納税記録や不動産登記から情報を導き出し、物価上昇分を考慮して計算した。

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