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“目で見えない戦争”が世界秩序を崩壊させる

2011年9月5日(月)

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 2011年9月で911米同時多発テロが発生してから10年になる。この10年は、まさに「対テロ戦争の時代」だったと言って間違いないだろう。そして今、この一つの時代が「終わり」を迎えようとしている。6月22日、オバマ大統領がホワイトハウスで演説し、アフガニスタンから米軍を撤退させる計画を発表したのである。

 米国はアフガンからの撤退を開始し、911からアフガン、イラク戦争と続いた大規模軍事介入の時代は終わる。そして米国は、莫大な財政赤字の削減や景気回復・雇用創出という国内問題に忙殺され、国際安全保障の世界で急速に影響力と指導力を落としている。

 これまで国際政治の中心にあったワシントンは機能不全を起こし、ここで語られていることと、世界のホットスポットで進行する現実との間のギャップがますます大きくなっている。ワシントンが「メルトダウン」を起こし、それまで米国が半世紀以上の長きに亘って力で維持してきた秩序が崩壊し、まるで核分裂の連鎖反応が起こるかの如く、世界各地で制御の利かない無秩序な動きが生まれている。

 世界的な金融危機も、急激な円高も、中東・北アフリカで起きている「アラブの春」も、こうした大きな国際秩序の崩壊、世界の構造変化と無関係ではない。

 世界の地殻変動が進行する中、米国は限られた資源を使い、国際政治のマネージメントに努めようとする。サイバー戦争、経済戦争、諜報戦争、特殊作戦…、これからの米国の戦争は地下に潜り、見えない世界で展開される。

 ポスト「対テロ戦争時代」の無極化する国際政治の実態と、米国の新しい戦争をレポートする。

オバマ大統領のアフガン撤退計画

 6月22日にオバマ大統領がホワイトハウスで行った演説は、米国の凋落と国際秩序の崩壊を象徴する合衆国大統領の言葉として、歴史に記録されることになるだろう。

 演説はわずか15分足らずと短く、大統領の口調も抑揚のない淡々としたあっさりしたものだった。ここでオバマ大統領は、10年間続いた「一つの時代の終わり」を宣言したのである。引用が長くなるが、少し丁寧にこのオバマ演説を見ていこう。

 「私がウエストポイント(09年12月の演説)でアフガニスタンへの増派を発表した時、われわれは明確な目標を設定した。それはアルカイダに再び焦点をあて、タリバンの勢いを削ぎ、アフガン治安機関が自衛できるように彼らを訓練することだった。私はまたこの取り組みは未来永劫続くものではなく、2011年7月には撤退を開始することも明言していた」

 「今晩、私はわれわれがこの約束を果たしていることをお伝えしたい。われわれはこの目標を達成しつつある。その結果、来月(7月)からスタートさせて今年の終わりまでにアフガニスタンから1万人の兵力を撤収することが可能になり、来年(2012年)夏までにすべての増派兵力3万3千名を帰国させ、ウエストポイントで発表した増派兵力を完全に撤収させることが可能となる」

 オバマ大統領はこのように述べた。“2009年にウエストポイントでアフガンへの増派を発表した時に掲げた目標をほぼ達成した”…、だから増派した部隊を撤収させるのだと説いたのである。あまりに明確なロジックであり、この撤退計画にもはや後戻りはないのだということが分かる。今のアフガニスタンの現状を見て、「目標達成」を宣言してしまうのだから驚きである。

 また、オバマ大統領は、増派分の3万3千人を引いた残りの約6万7千名の兵力についても、

 「この初期の撤収に続けて、われわれの軍は、アフガン治安機関が主導的役割につくのと合わせて安定したペースで帰国することになる。われわれの任務は戦闘から支援へと変わり、2014年までにこの任務変更は完了し、アフガン人が自身の安全に自ら責任を持つことになる」

 と述べた。現在米国は総勢10万の軍隊をアフガニスタンに派遣している。増派分の3万3千を引いた残りの6万7千名についても、アフガン治安機関に権限を移譲しながら順次撤収させ、2014年までにすべての治安責任をアフガン側に引き継ぐ。そしてその間に米軍の任務を現在の「戦闘」から「支援」へと変えていくとオバマ大統領は説明したのだ。

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「“目で見えない戦争”が世界秩序を崩壊させる」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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