「日本と韓国の交差点」

韓流ビューティーブームで化粧品の輸出が好調

日本に続いて、中国やアジア各地でも話題に

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2011年9月7日(水)

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 先週末、久しぶりに明洞に出かけた。明洞はソウルで最も大きな繁華街で、外国人観光客にも人気がある。オフィス街でありながら、デパートやショッピングセンター、屋台が密集している。いつ行っても、人をかき分けないと歩けないほど混んでいる。

 「韓流ブーム」と騒がれた2002年あたりから、明洞には日本人や中国人の観光客が多くなった。日本語と中国語しか聞こえてこないので、韓国だということを忘れてしまうくらいだ。どのお店にも日本語担当、中国語担当の店員がいる。最近は日本人や中国人を店員として雇うお店もよく見かけるようになった。

 明洞で驚いたのは、春に比べてまた一層、化粧品屋さんが増えたことである。メインストリートも裏道も、ほぼ1店おきに化粧品専門店とドラッグストアが並んでいる。それぞれのブランドのイメージキャラクターになっている韓流スターの巨大ポスターや立て看板が飾ってある。お店の中は日本人や中国人観光客で賑わっていて、いくつかの化粧品専門店では、レジ待ちの列が店の外にはみ出しているほどの繁盛ぶりだった。

 明洞にある化粧品専門店のほとんどが扱っているのは「低価化粧品」というカテゴリーの製品である。化粧水1本300〜1000円ほど。ただし、安かろう悪かろうではない。値段はとても安いのに品質はそれなりに良いので、韓国の女性にも人気が高い。シートマスクなんて、美容液が25ミリリットル含まれているのに1枚40円〜100円ほどだ。きゅうりパック、卵パック、トマトパック、黄土パック、炭パック、よもぎパック、紅参パックなど、種類も数えきれないほどある。見ていると、ついついあれもこれもと買いたくなる。

 それに「おまけ」がこれでもか!というほどついてくる。化粧品のサンプルはもちろん、購入金額に応じてもらえるポーチやブラシ、化粧品の現品セットなど…。「おまけ」ほしさに、ついつい買いすぎてしまう。日本円で2000円分も買えば、紙袋の中身はおまけの方が多くなる。

日本人は韓国化粧品、韓国人は日本化粧品を好む

 「低価化粧品」の元祖であるMISSHAとピンクのお姫様風インテリアが印象的なEtude Houseの店員さんに、外国人観光客には何が人気なのか聞いた。2009年までの人気商品は「BBクリーム」と呼ばれる肌色のクリーム。シミなどを自然にカバーしてくれるものだ。スキンケア効果もある。日本のテレビや雑誌に紹介されたところ、1人で50本、60本と買うお客が続出したそうだ。

 2010年ぐらいからは、中国の漢方と韓国の伝統医学を融合して開発した韓方化粧品や、かたつむりクリームという高機能性化粧品が人気だという。以前はお土産に買って行く人が多かったが、この頃は自分用に定期的に買いに来る常連の観光客が増えたという。

 そう言えば、日本の化粧品専門店で、韓国ブランドの化粧品を頻繁に見かけるようになった。日本の本屋さんで「韓流ビューティー」「韓国コスメ特集」といった雑誌の見出しをよく見かけるようにもなった。韓流ビューティーって何だろうと思い、つい立ち読みした。中には「韓国の化粧品はすごい」「韓国の美容法はすごい」とちょっとおだて過ぎではないかと思う記事もある。だって「韓国の女性は肌が白くてきれい」とか、「メイクが上手」だとか、「みんなプロポーションが良い」とか。そういう記事を読むと「私は一体…」と落ち込んでしまう。

 韓国最大手のロッテデパートや、新世界デパートの2011年上半期化粧品売上ランキングを見ると、韓国で最も売れているのは日本の「SK IIである。2位はアメリカのブランドKiehl's、3位は韓国の韓方化粧品ブランド「雪花秀」(ソラス)であった。韓国の女性で間では日本の化粧品がブーム、日本の女性の間では韓国の化粧品がブームというのは面白い。

韓国化粧品が海外展開を拡大

 韓国の化粧品は、日本に続いて、中国やアジア各地でも話題になっているようだ。

 食品医薬品安全庁が韓国化粧品の生産と輸出実績(2010年)を調査した結果、生産額は前年比16.4%増の6兆146億ウォン(約4627億円)、輸出は5億9700万ドルで前年比43.5%増だった。化粧品の主な輸出先は中国、日本、香港の順。ただし伸び率では、タイ向けの輸出が前年比638%増、対マレーシアが122%増と伸びている。一方、2010年化粧品の輸入は前年比21.2%増の8憶5100億ドルだった。

 食品医薬品安全庁は化粧品の生産と輸出が伸びている理由として、世界各地で起こっている韓国ドラマブーム、KPOPブームを挙げている。韓国ドラマにはまり韓国の女優のような白い肌になりたいと思ったり、KPOPアイドルのようなメイクがしたいと思ったりする女性が増えている、との分析だ。

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著者プロフィール

趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をすると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。



このコラムについて

日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?

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