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さよなら新京報、中国メディアの行方

独自報道の北京2紙が党委宣伝部に“接収”された

2011年9月7日(水)

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 中国・北京のタブロイド紙京華時報と新京報がこのほど、北京市党委宣伝部に“接収”された。

 京華時報は人民日報社が発行する都市報(いわゆる機関紙とは違う社会ニュースを主体とした新聞)として2001年に創刊。新京報は広東省の南方日報報業集団が北京進出をかけて光明日報報業集団と共同出資で発行した都市報で、2003年に創刊。ともに読者至上主義の姿勢を貫き、いわゆる党報(党中央機関紙など党の宣伝機関としての新聞)とは一線を画す果敢な報道で、それぞれ自称80万部の発行部数を誇っていた。

 9月3日付け新聞を見ると、京華時報の題字横にあったはずの「人民日報社」の文字が「中共北京市委宣伝部」に変わっていた。新京報は2面の発行主管・主弁(発行元)の欄から南方報業・光明日報の名前が完全に消え、ともに「中共北京市委宣伝部」の名前に変わっていた。

 これが何を意味するかはすでに日本のメディアが報じている。

 7月23日に浙江省温州市で発生した高速鉄道事故の報道統制に2紙があからさまに抵抗したことを受けての措置であるとの見方だ。つまり、この2紙は今後、市の宣伝部が直接管理し、読者至上主義から党の宣伝機関としての役割を第一とする新聞に変わる、ということである。

 新京報を創刊当時から愛読していた者としては、少し感傷的な気分で「さよなら、新京報」とつぶやいてしまう。

輪転機を回す直前の通達

 高速鉄道事故の報道統制については、日本の新聞、テレビもそれなりに報じていた。簡単に繰り返すと、インターネットの微博(中国国内で2億人以上が使用するツイッターのようなSNS)などを通じてずさんな事故後の処理や鉄道部の対応のいい加減さがリアルタイムで広がる中、読者の悲憤に答えるべく、新聞各紙も事故原因を追及し鉄道部を批判する論調の記事で紙面を作った。

 これに対し党中央宣伝部からは24、25日と事故については「プラス報道」を中心とし「独自の論評を控えるように」という通達が出ていた。しかし、温家宝首相が28日に現地に行き、記者会見で「調査過程を公開し、社会の監督を受ける」と発言、これを事故の批判報道に対するゴーサインと受け取った各紙は翌日の29日、温首相の会見の内容と共に厳しい批判論調の事故報道を展開した。29日は事故の犠牲者の初七日であり、その流れで各紙も30日付紙面は「事故犠牲者哀悼特集」の紙面を用意していた。

 ところが29日夜に党中央宣伝部から急に「一切の独自報道、論評を禁止する」という厳しい報道禁止命令が出た。米国に拠点を置く華人向け放送・唐人テレビによれば、この通達が出たのは原稿の締め切りが過ぎ、輪転機を回す直前の午後9時過ぎという。

幻の4紙面はネット上に流布された

 日刊紙の編集の仕事を理解している人ならば、この通達がどれほど無体なものかは分かるだろう。

 各紙編集局の怒りとパニックはすさまじいものだったようだが、翌日の紙面はおおむね4種類に分けられた。何とか紙面を無難なものに差し替えた新聞。あえて報道統制に逆らった新聞。差し替えが間に合わず一部、あるいは早版だけが事故報道の紙面になった新聞。通達には一応従ったが白紙の紙面や暗喩で抗議の意を示した新聞。

 あえて通達に抵抗し、そのまま予定していた紙面を掲載した数紙のうちの1紙が京華時報だった。新京報は1面を無難な豪雨の記事に差し替えた。しかし、新京報のある編集幹部は微博で、この差し替えがいかに苦渋の判断であったかを、次のように暴露した。

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「さよなら新京報、中国メディアの行方」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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