• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日本の“メタボ経済”を反面教師に

【第5回】渡辺利夫氏(拓殖大学学長)

  • 川村 雄介

バックナンバー

2011年9月16日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 今回のゲストは、アジア研究の第一人者で拓殖大学学長の渡辺利夫氏である。学者、研究者は無論のこと、アジアにかかわりを持つビジネスパーソンの多くが渡辺氏の著作に触れていることと思う。私も大学教員時代に、大学院のアジア証券論の基礎テキストとして渡辺氏の著書を活用させていただいたものである。

 渡辺氏はまた、広い意味でのリスク管理についても深く研究をされている。東日本大震災に際しての日本の危機管理のあり方についても、一家言をお持ちだ。

 拓殖大学の創業は1900年にさかのぼることができる。建学の精神は当時の台湾開発への寄与にあったということだが、現在では中国を含め多数の留学生を受けている。東京都文京区茗荷谷を行き交う日本人の学生諸君の姿は、まさに「標準的日本学生」と言えそうだ。

中国の発展方式の魅力に取り込まれた

 渡辺氏と中国の関わり合いはどのようにして始まったのか。実は、渡辺氏のアジア研究は韓国を出発点としている。だが、研究を始めて10年も経つと、急成長した韓国は、氏の追求している「開発経済学」の対象にはなりにくくなってきた。

拓殖大学学長の渡辺利夫氏

 「私は開発経済学の理論体系を作りたいと考えているわけですが、1985年当時の経済企画庁(現内閣府)が、アジア太平洋についての研究会を開こうということになり、生まれて初めて中国に行きました。香港に入り、九龍半島を九広鉄道に乗り、深センで重い荷物を下ろして電車に乗り換え、広州、上海、北京と回り、私は大変強い印象を受けました」

 「鄧小平の開放政策が始まって間もない頃でしたね。農村もいくつか見せてもらいましたが、あの時は、歴史的な最高値を毎年更新するダイナミックな時でした。制度を集団的農業から個人・家族農業へと変えただけだったのに、それだけで変わるものかと本当に驚きました。巨大な国だし、中国も研究対象の一部に入れなければ開発経済の体系さえできないと思ったものです。中国の発展方式の魅力に取り込まれたように、以後毎年のように訪れました。いろいろ会議にも招待いただき、ことあるごとに出席しています」

川村雄介(筆者)

 渡辺氏の初の中国入りの模様は手に取るように想像できる。筆者が初めて中国大陸の土地を踏んだ1978年も全く同様の光景だった。ネオンまぶしく、最新ファッションが通りを闊歩(かっぽ)する香港を出て、乗り換えのため小さな漁村の深センに降り立った時のギャップの大きかったこと。

 人民解放軍が小銃を肩に線路の周囲を警備し、列車は蒸気機関車だった。1等車にBGMで流れるモーツァルトを聞きながら到着したのが広州駅。大都市の広州は人ごみでごった返していたが、道路を埋め尽くすのは自動車ではなく自転車だった。人々が着用するのは例外なく人民服。お化粧している女性はついぞ見かけなかった。路上の男性たちが老若問わず、若竹のような棒をかじっては吐き捨てていた。おやつ代わりなのだろうか、サトウキビの茎であった。

 鄧小平の改革開放路線が喧伝されていたとはいえ、果たして鎖国のような時代が続いていたこの巨大な国が先進国入りするのに何年かかるのだろうか…。当時の中国を知る外国人の多くがそう感じたと思う。

経済発展には1つの王道がある

 あれから30年余り。GDPは日本を追い越し、いまや世界第2位の経済大国。外交面でも存在感を強めるのが今の中国である。こうした中国の発展過程はほかのアジア諸国と異なるタイプなのだろうか。

 「基本形において、そんなに変わるものではないと思います。経済発展には1つの王道があると信じています。まず熟練労働者を蓄積する。あるいは企業家的能力を蓄積していく。それから優れた経済官僚を作っていく。そういう人的資源の能力向上。それからインフラの建設。生産性の向上…。こういったことを考えてみると、中国が台湾や韓国、あるいは日本の過去と比べ、特段違ったことをやってきているようには思えません。ただ、規模が大きいので周辺諸国に及ぼす影響が大きいということが、中国の大きな特徴でしょう」

 政治体制の違いは別として、中国や生きの良い新興国には政府の果敢なリーダーシップを感じる。この点、日本はどうにもお寒い感じがしてならない昨今だが、渡辺氏はどう感じているのだろうか。

コメント1

「アジア太平洋「三人行」 日中関係を語り尽くす」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

機械を売るんじゃなくて、電気が欲しい方に電気が起きる装置をソフトも含めて売るビジネスをしていこうと。

田中 孝雄 三井造船社長